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仲間になりたそうに見ないで下さい  作者: ヒコしろう


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第50話 祭り囃子が聞こえる…

ブックマークに評価、誠にありがとうございます。

引き続きお楽しみ頂けると幸いです。

草原地帯の購入も無事に終わり、牧場と農地の区画や水路の整備を既にアンリに頼んである。


牧場拡大に伴い、ポプラさんに乳製品加工工房のアイデアを話したら、ヘンリーさんと相談して、商会に来てくれる人材も各地に行った時には探してくれる事になり、ポプラさんが、


「新しいチーズ料理が作れるの!?」


と、俺に聞くので、


「ヨーグルトやクリームチーズやバターが出来たら〈チーズケーキ〉とか、モッツァレラチーズがつくれたら〈ピザ〉なんかも作れるかな…」


と、答えると


「チーズケーキ?…ピザ?…何だか分からないけど、多分美味しいと思う!私食べたいから頑張る!!」


と、やる気になってくれていたので大丈夫だろう。


俺は、幾つか冒険者ギルドの依頼をこなしてから、アゼルとメリザと合流して、大きな依頼を受けようかと考えている。


しかし、まずは、冬の難易度の高い依頼をソロで受けて、冒険者としての自信と誇りを取り戻すのだ!と、やって来た冒険者ギルドだが、この季節デフォルトで酒場で飲んでいる夢の狩人のメンバーに、


「ポルタぁ、冬に働くなんてご苦労なこった。」


と軽くからまれた後にクエストボードを眺める。


『スノードラグーンの討伐』に『オーガの里の殲滅』…なんか以前にも似たような依頼があったな…冬の度に殲滅依頼を出されているオーガさんって…少し気の毒だな…

たしか、オーガって鬼だよな?と思った俺は、記録と検索のスキルで帝都の図書館で仕入れたオーガの情報を脳内で調べる。


頭に浮かぶ本のオーガの記述には、原始的な家を建て生活を営む亜人種の魔物、力が強く、狂暴、上位種は人語を使い、

鍛冶の技術も…って、これは魔物で良いのか?

家を建てて、鍛冶仕事が出来て…亜人種の魔物…というか癖の強い種族の人ではないのだろうか?

近場にっ越してきただけの優しい、人間好きの泣いた赤鬼みたいな鬼かもしれない…


『村の近くに住み着いたオーガの里の殲滅、または追い出して下さい…』


って、別に『娘が拐われた』とかではないのか…と、依頼の紙を眺めて、あーだこーだと考えてみるが、いまひとつ俺の中でモヤモヤしたままなので、


『一応、窓口で詳しい話を聞いてから決めるか…』


と、窓口の職員さんに詳しい話を聞くと、冬前まではご近所でも我慢出来たが、獲物が少なくなり、村人と狩り場で逢うことが増えて、少ない獲物を取り合っていざこざが起こり、追い出してくれ…みたいな依頼らしい。


って、なんと勝手な!全く悪く無いじゃんオーガさん達…

なんか、他の種族を下に見る人間様の悪い部分を見た様で、嫌な気分になったが、オーガが気になったので、依頼を受ける事にした。


最悪ウチの裏山の上半分に引っ越してもらっても構わないし…と考え、窓口の職員さんも


「オーガの全滅させなくても、()の殲滅ですので、長に戦いを挑み、勝てばオーガは指示に従いますから、引っ越しをさせれば依頼達成です。」


と、言っていたが、


『ますます、律儀ないい鬼じゃねぇかよ…』


と思ってしまう。


獲物の取り合いでご近所トラブルを起こしたら有無も言わせず討伐対象って、可哀想すぎるだろ!?

と、俺は、人間が少し嫌いになりながらクレストの町から馬車で3日程の小さな村に移動して、依頼主の村長を訪ねた。


林業と狩りで成り立っている数十人の村の近くに、数十のオーガがやって来て、単純計算で倍の鹿や猪を消費していく…簡単に言えば口減らし的な討伐らしい。


村長もオーガ達と狩り場件でイザコザをおこした村の若い衆にゴリ押しされて、依頼を出したが、オーガの集落自体はかなり気を遣って村の周辺まで狩りに来ることは避けていたそうだし、村長はかなり話が解る鬼らしく、


「出来れば殺さないでやって欲しい…」


と、言っていた。


俺は内心、


『村長も何とかしろよ、そんな話の解る鬼となら話し合いで何とかなっただろうに…』


と呆れていたのに気がついた村長は、「はぁー」と、ため息をついて、


「数少ない若者に、アイツらが居なくならないのなら、俺らが村を出る!と言われまして…」


と申し訳なさそうに答えた。


やっぱり気乗りしないが、村の側の林を抜けて、半日ほど歩いた距離のオーガの里に着いた。


帝都の図書館の資料には『原始的な…』と書いてあったが、実際は、石と丸太に狩った獲物の皮を加工した屋根の遊牧民のテントみたいな建物が並び、赤色っぽい肌の背の高い人影が見える。


裁縫の技術も多少有るのか、狩った獲物の皮で作ったパンツや、声が実体化するはじめ人間の母ちゃんみたいな皮の服等を着ているのが確認できた。


なおも集落を目指して進むと、


「キサマ、何者だ!」

「ウガ、ウガ!」


と目の前に背丈のわりにガッシリした体格で、金棒を持った鬼を引き連れた、少し背は高く、赤みがかったくらいの肌の弓を持ったかなり普通の見た目の女性が現れた。


えっ?オーガの集落と聞いていたので、勝手に人間が大好きな(泣いた赤鬼)みたいな見た目の鬼ばかりの集団をイメージしてきたが、俺の目の前には、青少年から好かれそうなヌける…いやもしかしたら既に抜いたかも知れない様な赤鬼っぽい女性が、野生的なラムちゃん風の格好で出てきた。


ますます、この世界が解らなくなってきた俺は、2人のオーガ族に、


「すみません、村長とお話がしたいのですが…」


と、お願いすると、オーガ族の革のタンクトップにホットパンツの女性が、俺を品定めするように見てから、


「こっちだ!父に合わせる。」


と言う。


長の娘さんか…と理解した俺に、隣のザ・赤鬼も、


「ガウ、ガウガっ!」


と…『大人しくしてろ!』と言わんばかりに、軽く睨んだあと歩きだす。


とりあえず、長と話しは出来そうだな…と安心して歩きだす俺は、今回は可能な限り戦わないと決めて、従魔達を拠点に返している。


遊牧民のテントの様な住居に通されると、ゲホゲホっと咳き込み横になる厳ついオッサンがいる。


鬼娘が


「父は、病に伏せっている、用が有るなら手短に…」


というと、厳ついオッサンは、


「すまんな客人、風邪などひいたことが無いのだが、どうも年らしい…」


と起き上がろうとするのを、俺は、


「オーガの里長よ、どうかそのまま。」


と言って、家の中にクリーンをかけて、里長であるムキムキのおっさん本人にはクリアをかけた。


里長は、


「なんと、状態回復魔法か!?

有難い、我々オーガ族は回復属性の魔法が使えないのでな…」


と言いながら起き上がった。


俺は、


「クリアの魔法一発で治ったのならば、簡単な病気だったようで、良かったです。」


と伝えると、


「はじめて寝込んだので、もうダメかと思ったが、嘘のように楽になった」


と笑うパンイチの里長を見て、雪は未だ降ってないとはいえ、冬場にパンイチの姿なら風邪をひいても仕方ないと思い、俺は少し呆れていた。


しかし、鬼娘も、


「父上、良かった。」


と里長に抱きついて喜んでいるので、水を差さない様に大人しくしておく。


まぁ、鬼の撹乱というヤツかな?…普段の里長からは考えられない姿だったのだろう。


入り口にいる鬼娘の子分っぽいザ・赤鬼もホッとしている様子だ。


そして、里長は、


「話の前に、全快祝いに酒でも飲むか!」


となってしまい、


「客人もどうぞ。」


と誘われた。


ますます、ギルドの依頼を受けて来たと言い難い空気だ…

俺は、山葡萄のワインにアタックボアの串焼きでもてなされ、里長からオーガについて色々と教えてもらった。


オーガは基本、ザ・赤鬼君みたいな感じに「ウガウガ」言っているヤツなのだが、進化して上位種になれば人語を理解し、魔法が使えたりする〈魔族〉の部類に入るらしい。


因みにゴブリンキングも魔族種の魔物らしいが、オーガの里長の〈ゴルグ〉さんに言わせれば、


「ゲスが、知恵をつけたとてゲスのままだ。

あんなのが居るから魔族が見下される…」


と言っていた。


魔族にも色々いるらしく、魔物から進化した者と、上位の悪魔や魔王と呼ばれる魔界の神様と人間の末裔等で、

人間で言うと、前者が平民で後者が貴族的な存在らしく、正式な魔王様の配下になれば、力が与えられて一般的な魔物も進化して魔族種に進化させる力が魔王様にはあるそうだ。


あれかな?俺の虫の王のスキルで配下の虫が進化するみたいなのの、上位の魔族版のスキルとかでもあるのだろうか?…などと考える。


オーガ族は300年前の魔王様の、


「人類を滅ぼして、魔族の世界にする!」


という政策に反対して魔族から離れて隠れ住んでいたが、この300年、人間に迫害され続けて各地を転々としているそうだ…

そして、村長のゴルグさんは、近々冒険者が来ることも予感していたらしい。


それは、少し前に鬼娘の〈ルル〉ちゃんと子分のザ・赤鬼のドテくんが狩りをしていた時に、仕留めた跳ね鹿を巡って、村の若者が、


「俺の獲物だ!」


と言い掛かりをつけてきて、ドテチン…いやドテくんが仕方なく鹿を渡して衝突を避けようとしたのだが、


「許して欲しければ、鬼娘の体で詫びろ。」


と脅してきたらしい…


最低だな村の若者…ドテチンの体でわからせてやれば良かったのに…そんなヤツ!と俺は思うが、それならば、狩り場を巡ってのイザコザでもない…

しかし、あまりに失礼な条件にドテチンが怒って威嚇したら逃げて行ったらしいが、これまでの経験から立ち退きの依頼を受けた冒険者が来る事を予感していたそうだ。


『なんだよそれ!亡命しても定住できずに数百年…これじゃ、彼らは遊牧民ではなくて難民だ。

ならば、孤児の俺の親戚も同然!』


との意見に至った俺は、村から討伐依頼が出ている事、ウチの拠点の山の土地が空いている事などを全て説明して、


『一緒に拠点で暮らそう』


と誘うと、里長のゴルグさんは暫く考えたあと、


「差し出すモノなど何も有りませんが…土地をお借りしても良いでしょうか?」


と、聞いてきたので、


「俺が、困った時は手を貸して欲しいし、楽しい事をする時は一緒に楽しみたいくらいかな?俺としては、串焼きも酒も美味しかったから、またゴルグさん達と飲みたい。」


と、答えた。


すると、ゴルグさんは、


「世話なる領主殿。」


と頭をさげ、俺は、


「別にウチの土地だが、領地ではないからポルタで頼むよ、ゴルグさん」


というと、ゴルグさんは、


「人に親切にされたのは生まれて初めてだ。」


と、喜んでいた。


そして、俺は、ガタ郎とコブンを召喚して、二つの作戦を実行する。


1つは、コブンに現在地と、拠点の場所説明して、オーガ族の誘導を頼んだ。


そして、もう1つは、糞な村人に天誅を加える!


ガタ郎にメンバーを集めて貰らい、軽く打ち合わせをしたのちにダッシュで村に帰り、村長を呼び出し、


「村長!依頼内容に嘘が有ったぞ!!

狩り場を荒らして、村人に暴力を振るおうとしたのではなくて、オーガ達の狩った獲物を(俺達の獲物だ!)と、言い掛かりをつけて、獲物を巻き上げるだけでは飽きたらず、

オーガの娘の体で詫びろと言い寄ったらしいじゃねーか?!

おめぇの所の若者とやらはよぉ!

良いからここに連れてこい!!」


と、怒鳴ってやった。


村長は慌てて三人の馬鹿者を連れてきたのだが、若者達は、


「俺らは被害者だ」とか、


「あのオーガ娘がバラしたのか?」とか、


「未遂だから悪くない」などと馬鹿な理論を並べている。


しかし、その態度を見た俺の気持ちは決まった。


とりあえず、嘘の依頼をしたヤツにはペナルティだ!と…

三人には有罪が確定したので帰ってもらい、心の中でガタ郎に、


『奴らの家と顔を覚えて、実行委員会に報告を頼むと、』


と伝えると、


『了解でやんす。』


と影を渡って後を追っていくガタ郎を見送り、俺は、村長に、ペナルティの相談をする。


「嘘の依頼と冒険者ギルド報告すれば、今後この村からのギルドへ依頼は難しくなる…

あの三人のしたことは許されないし、オーガ達は呆れて出ていくらしい。

そして、何よりこの土地のヌシがこの事を許していないので、あの三人は罰が与えられる…心から謝らない限り許されない罰が…」


と伝えると、村長はオロオロしていた。


そこで、村長に、


「今回だけ偽りの依頼をギルドにしたことだけは黙ってやる…代わりに、あの三人が改心したかどうかの手紙を後日、俺宛に冒険者ギルドに渡してくれる?」


と聞けば、二つ返事で了解してくれた。


さぁ、祭りの開催だ!!


読んでいただき有り難うございます。

頑張って投稿しますので応援ヨロシクお願いします。


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