表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仲間になりたそうに見ないで下さい  作者: ヒコしろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/74

第49話 戦争の後始末

ワルド王国の一方的な負け戦から2ヶ月…王子の手紙を呼んだワルド王が、全面降伏という形で、終戦となった。


現在、ヨルドの町で終戦の調印式を行っている。


ヨルドの町のパンイチ達は、調印式前に、ワルド本国に送り帰されたのだが、ワルド軍のアイテムボックス持ちから没収した食糧が尽きる前に決着して良かった…

それもこれも、生死の確率二分の一の戦場でリード王子が生き残ったのと、フェルド国王のカーベイル様が銀狼騎士団を処刑せずに我慢してくれたから話がこじれなかったのが大きい。


フェルドナ自体に食糧が足りていないのに、数ヶ月銀狼騎士団を食べさせた王様の決断力は素晴らしいと思う。


カーベイル様は、


「どんな喧嘩でも落としどころが要るだろう…」


と、言って笑ってみせた。


先が見えている人間とは、こうも器がでかいのか!?と、感心した。


どこぞのクソ皇帝に爪のアカを煎じてドラム缶一杯飲ませてやりたいよ…と、本気で思う。


先の戦で自国の貴族や騎士を倒しまくり、今回も密命で潜入していた工作員の銀狼騎士団だ…気持ちで動けば処刑していてもおかしくない。


しかし、カーベイル様は、


「戦場以外で死ぬことは無い。」


と、投獄だけで我慢したのだ。


器のデカさに、国としても漢としても負けたワルド王が、フェルドの属国となる事でひとまずの決着となった。


あとは、放っておいても、カーベイル様なら大丈夫だろうし、ワルド王国のリード王子も頑張ってくれるだろう。


困っていた蟲のヌシも根城に帰れたし、


アリスは引き続きヨルドの町の地下に住み魔の森支社の職員として働いて貰う事にして、先ずは、ヨルドの町からワルド王国まで安全に移動出来る地下道の整備を任せた。


地下道が出来れば、人や物が行き交っても、蟲のヌシの根城の側を通っていざこざを起こさなくて済む…


タンバは当面は蟲のヌシの所で厄介になるらしい。


まぁ、いつでも召喚出来るし、タンバが本気で走ったら馬車よりも早く拠点に来れるから、流浪の侍の様に行きたい所で過ごせばいい。


全て片付き拠点に戻ろうと思っていると、ヨルドの町での終戦会議を終えて、フェルドナに帰るカーベイル様が、


「おいおい、功労者が何も受け取らずに帰ってしまってはフェルド王国が笑われる。

城で改めて祝いの宴を開こうではないか、秋の収穫が有ったので以前より豪勢だぞ。」


と、笑っている。


仕方ないから、フェルドナに寄ってから拠点に戻る事にして、ヨルドの町から出発する事にした。


ヨルドの住人からは、


「虫の勇者様行かないで、」


「虫の勇者様、ヨルドの領主様になってよ」


と、引き止められたが…


『何その虫の勇者って…波とでも戦うの?』


と少し困った俺は、


「勇者って柄でも、領主って柄でもないから…俺は、Bランク冒険者でファミリー商会の会長のポルタだから、もしも、仕事が欲しければ相談して、アルトワ王国の王都クレストから南に1日の所に住んでるから、じゃあ、皆元気でね。」


と手を振り、クマ美の引くキャンピング馬車でヨルドの町をあとにした。


そして、カーベイル様の馬車の列の後ろをのんびり走りフェルドナまで移動すると、街の入り口から城まで、戦争で勝利で収めた騎士団を讃える人だかりで、ザックさんが馬の上から手をふり応えている。


正直、従魔に指示をだしただけの俺は、凄く居心地が悪い…もう、食糧を運んだだけの商人っぽい雰囲気をかもし出しながら馬車の列の一番後ろから可能な限り目立たない様に城を目指す。


そして、その日は城の客室に泊めてもらい、翌日に、謁見の間で褒賞式とやらが行われた。


敵の魔物避けを撃ち抜いたバリスタチームには勲章が授与され、バリスタ隊の隊長は男爵位を賜った。


ザックさんも男爵から伯爵になり領地も与えられる事に成った。


そして、全ての褒賞が授与された最後に俺の番になる…

このペースなら爵位を渡されて貴族に成りそうだが、そんな面倒臭いことはゴメンだから、先に俺の褒賞はお願いしてある。


フェルド王国とワルド王国に挟まれた〈魔の森〉の所有権と魔の森で虫魔物に喧嘩を売らない事、蟲のヌシからも人に喧嘩を売らない約束をもらっている。


書類上はアリス・ポルタ・ファミリーという女男爵の領地となる。


つまり、城蟻の女王 アリスが領主だ。


そして、俺には、この後で、魔族の件で帝都で会議をする予定のカーベイル王に、同級生である皇帝陛下に、俺にした仕打ちについて、コッテリとお灸をすえて貰う事を特別報酬としてお願いしてあるのだ。


次、何かを耳にした場合は虫の王の力を存分にお見せする事に成ります…との伝言と共に…

そして、その夜のパーティーで、ドノバン様が、


「ポルタ殿、我が孫娘と結婚して爵位を持たぬか?」


と誘われた。


貴族になる気はないが、一応、一応よ!?


「孫娘さんはお幾つで?」


と聞くと、ドノバンさんは、


「可愛いぞ、きっと気に入るはずだ…七歳になる…」


と…


『アホか!犯罪じゃ!!』


と俺は、ひきつりながら、


「有難いお話ですが…」


と丁重にお断りした。


あと、10年待っても17歳…しかも、面倒なお貴族様の義務付きである。


しかし、ドノバン様の残念そな


「そうか…やはりマリアーナ姫のような年上が好みか…」


との不吉な呟きは、あえて聞かなかったことにして、カーベイル様に改めて、皇帝陛下がチビるほど怒って下さいと頭を下げた。



そして、季節はもうすぐ冬…ようやく、拠点に戻り現在、ゆっくりと温泉を堪能している。


長旅の疲れが溶け出すようだ…

ただ、隣の温泉プリン工房と蜂蜜酒工房が活気が有り過ぎ、騒がしくて少し残念だが…

まぁ、順調なのだから我慢しよう。


久しぶりの拠点で驚いたのは、俺に召喚されてヨルドで働いていたミヤ子やクマ五郎から、俺が、出先で築城蟻の進化形態の蟻を仲間にした。


と聞いたアンリ一族が、『捨てられる?!』と焦り、拠点の森の住人で硬化が使えるミノムシの魔物をアンリの土木会社にスカウトして、


「陛下、城蟻になんか負けませんわよ!」


と、意気込み、拠点が知らない間にしっかりとした壁に囲まれ、森の地下には、虫専用の地下帝国を作ったらしい…

本当に城蟻に対抗意識全開だな。


あまりの変わり様に、帰って来た時、


「何処の要塞だよ!」


とツッコミを入れた程だ。


しかも、ポプラさんが実家の果樹園からも壁の依頼を受けて、アンリ達が工事を請け負い、支払われた代金で、なんと、拠点の山のローンを前倒しで払いきったそうだ。


ポプラさん…実の親から施工費をいくらもらったのやら…?


それから、クレストの町のスイーツショップ蜜壺屋も好調だし、隣の紅茶専門の喫茶店蜂の巣も大人気で、材料の生産を上げる為に、ライラさんは追加のミルキーカウを購入したし、シェラは鳥小屋を増設していた。


花畑も追加て整備されて、蜂蜜チームもバリバリ働いている。


そして、商会の職人通りに新たに2軒の工房が建っている。


一件は、母屋や風呂を作ってくれた大工さんの弟子の一人〈ネルソン〉さんが、お嫁さんをもらい、一人立ちしたので、


「是非、ファミリー商会のお抱え大工にしてください!」


と、言ってくれて、結婚祝いと引っ越し祝いとして、師匠の親方と兄弟弟子の大工さん達がやって来て、木工工房付の住宅を建て、奥さんの〈アマンダ〉さんと引っ越してきていた。


これで、拠点の新築、増築の依頼を出しやすくなったし、アマンダさんがミルキーカウの乳搾りをアルバイトとして頑張ってくれるので、ライラさんも助かっている。


もう一件は、アルトワ王国の他の町から、クレストへ来た料理人の〈コルト〉さんが、蜂の巣で食べたプリンやパンケーキやクッキーの味に魅力され、


「この料理を作った人に弟子入りしたい!」


となり、探しに探した末に、ファミリー商会の会長のレシピと判明したので、ウチに来て、


「何でも作るから弟子にしてほしい。」


とパーシーさんに頼み込み、現在、ウチの商会の焼き菓子工房の主任さんになってくれたそうだ…


あとでドーナッツとかチーズケーキのレシピでも教えてあげようと思ったのだが、その時に、バターやチーズの工房を作ろうと思ってすっかり忘れていた事を思い出した。


今は、焼き菓子のバターはノーラ母さんの指揮のもと、子供組のアルバイトになっているらしい。


ライラさん達の搾ったミルクをノーラさんがクールの魔法で冷やして放置し、ミルクタンクの上に分離した生クリームを口の広い水袋に入れて、子供組がフリフリ、モミモミしてバターにしているが、生産量が、焼き菓子工房で使用する分くらいしかない…

それにチーズに至っては全く手付かずだ。


しかし、バターを使った焼き菓子は、蜂蜜の売り込みの時の名刺がわりの手土産的な物として、営業担当のヘンリーさんが蜂蜜クッキーを重宝しているみたいで、貴族の奥さまやお子さまには、直接、


「クッキーを分けてほしい!」


と個別で注文される程らしい。


なんだか、頑張ってるな…みんな…

営業担当のヘンリーさんから、


「扱う商品も増えて、注文も沢山に成ってきたので、マジックバッグと馬を購入し、


信頼できる人間を数名ほど販売部に引き入れたい。」


と、お願いされたので、明日、パーシーさんとポプラさんを連れてクレストの商業ギルドに向かう予定だ。


今回はローンを組んで広い草原部分も購入して、販売部の馬牧場と厩舎に、ライラさんの農場も大きくリニューアルして移動するとして、またまだある敷地は来年は、アンリ達に小麦栽培をしてもらおう。


しかし、結局、俺は何のために遠征に出たのやら…

放っておいても拠点は育つし、山のローンも返済していた…

俺は、食糧買って、フェルドに売って…戦争して帰って来ただけ…

魔の森の一部分の間接的な領主にはなったが、地方に虫の楽園が、増えただけだ…

アゼルとメリザは着実に依頼をこなしてCランク冒険者としてバリバリ働いているし、兄妹揃って、予定通り従魔召喚も手に入れて、狼魔物も追加で従魔にしている。


索敵と追い込み要員が増えて、狩りがはかどっているそうだ…なのに、俺ときたら…

戦争で、従魔を自由に暴れさせた結果、沢山殺してしまった…もっと知恵をしぼれば死人も減ったかもしれないのに…土地を買いに行ったついでに、近場の依頼をコツコツこなそう。


何だか最近ちゃんと働けてない気がする。


新装備の力もちゃんと実感出来ていないし、この半年レベル上げすら出来ていない…自信を取り戻す為にも成功体験が必要だ。


頑張れ俺…


読んでいただき有り難うございます。

頑張って投稿しますので応援ヨロシクお願いします。


よろしけれはブックマークして頂けると幸いです。

〈評価〉や〈感想〉もお待ちしております。

皆様の応援がエネルギーに成りますので、

よろしければ是非お願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ぜひポルタ君には頑張っていただきたいですね。 それこそ冒険者になって三日で魔王を討伐できるレベルくらいになるほどに………
2023/12/10 21:46 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ