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仲間になりたそうに見ないで下さい  作者: ヒコしろう


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第44話 みんな拠点に住みなさい

母蜘蛛は尻を焼かれ糸が出せないようだ…

あとは、マサヒロが毒霧のダメージを食わない距離で飛びながら攻撃をすれば問題はない。


俺はマサヒロの翼で飛び回りながら、再び、集束・フレアランスを母蜘蛛目を狙い打ち込む。


炎の槍は威力そのままに矢程に圧縮されて、ターゲットの赤い点に向かい飛んで行き、的確に8つある奴の目玉を次々と貫き、盲目と成った母蜘蛛は、足元の蜘蛛の糸が既に焼け落ちているのも知らずに、足を踏み外し、木の先端から根元へと落下する。


地面に頭から落ちて、正に虫の息の母蜘蛛は、俺が無意識で呼び寄せた虫の軍勢に生きながらに食われはじめた…


母蜘蛛の死と同時に、子蜘蛛達が急に弱くなり、集まった虫達に一匹残らず食い尽くされ戦いが終わった…


しかし、落ち着く暇もなく俺は、シェラの元に急ぐ。


コブンのバリアーを一旦消して貰い、ウッスラ蜘蛛の糸でパッケージされたシェラを糸を切り裂き、妹を解放する…

しかし、身動き一つしないシェラに、


「ゴメンよ…守れなかった…」


と泣きながら頬を触ると、彼女はまだ、暖かかった…

身体中の力が抜けて自分の無力さに後悔しながら、


「シェラ…今、自由にしてやるからな…」


と呟きながら糸を妹から取り除いていると、ガタ郎が、


『そうでやんすね。

キツイ麻痺状態だから早く毒抜きをして自由にした方が良いでやんすね…』


と言った


「…えっ?シェラ…死んじゃったんじゃ?」


と、俺が聞くと、


ガタ郎は、


『新鮮なご飯が良いから、ピクリとも動かない様にして保存するんでやんすよ、アイツら。

多分上でまだブラブラしてるアレも生きた獲物でやんすよ。』


と教えてくれた。


俺は、


「ガタ郎さん、とりあえず全部下ろして。」


と頼み、


シェラにクリアとライフヒールをかけると、みるみる顔色が戻るシェラは、大きく息を吸い込み、ハッっと目覚めた…


安堵し気が抜ける俺に、シェラが、


「ポルタ兄ぃ、何で泣いてるの?」


と、呑気に聞いてくる。


俺は、


「可愛い妹が、殺されたと思ったら生きていて、もう、何だか解らなく成った涙だよ…」


と、シェラの頭をワシワシした。


従魔達に礼を言って、


次は、この戦いに駆けつけてくれた戦士達に礼を述べにむかう。


でっかいカブトムシを筆頭にカミキリ虫や、カマキリ、蜂やアブ…様々な虫が並ぶのだが、


『勿論いるよね…コックローチ一族も…』


と、少しビビりそうになる。


しかし、シェラを助けて、蜘蛛を倒したいという俺の願いを聞いて集まってくれた戦士達だ…礼を尽くさねば人としてどうかと思う。


俺は、頭を下げて、


「助力、感謝する。」


というと、倒した蜘蛛の魔石の山を俺の前に並べ、軍団の先頭に歩み出たカブトムシが、


『陛下、ここに集まった者は、家族や友人をあの蜘蛛に食われた者達です…

陛下の(憎い蜘蛛を倒せ!)との思いを聞き付けて馳せ参じました。』


と頭をさげた。


ガタ郎が、


『下ろせたでやんす。』


と、呼びにきたので、戦士達の事は一旦ガタ郎に任せて、保存食を解放する作業にうつる。


跳ね鹿に、アタックボア、あとは卵鳥達…魔物が続くなかで、冒険者が三人現れた。


俺は、彼らにクリアをかけて毒抜きをすると、三人共に無事に復活してくれた。


話を聞けば、Dランク冒険者の三人パーティーらしく、冬越しクランに入り損ねて、焦って冬までに獲物を少しでも狩ろうと森でキャンプしていたそうだ。


今日の日にちを伝えると、彼らは一週間以上ぶら下がっていたとのこと…


本当にお食事の順番が来なくて良かったね…と思った俺だが、三人の方が状況を把握して今更ながらに真っ青になっていた。


それから三人には、冒険者ギルドへの報告をお願いした…なぜならば俺が、街に行くには、まだ、少しかかりそうだからである。


最初にシェラか助けようとした卵鳥には飾り羽根があり、どうもクイーン卵鳥のようだ。


クイーンはシェラに懐いているようで、助けようとしてくれた事への恩義なのか傍らをはなれない…


俺は、続いて保存食の卵鳥達にも、マジックポーションを片手にクリアをかけていく。


アタックボアと跳ね鹿は…どうしよう?と考えるが、


『残念、お前達はお肉だぁ~』


とは、可哀想で言えないので、そっと、クリアをかけて放置しておいた。


保存食チームの解放が終わりさて、次は虫の軍団さんだが…


『ガタ郎さぁ~ん、ちょっと…』


と、ガタ郎を手招きで呼び、


「集まってくれた皆さんに何か御礼がしたいんだけど、何が良いと思う?」


と聞くと、ガタ郎は、


『仲間が沢山居る拠点の森で住みたいみたいでやんすよ』


と教えてくれた。


コックローチ一族もいるが…仕方ない、頑張ってくれたんだもんね…と腹をくくり、俺は虫達前に進み出て、


「皆はウチの森で住みたいらしいけど、色々な種族の皆さんが住みやすいかどうか解りません。

なので、そこのカブトムシ君を森担当のリーダーにします。

何かあれば、彼に相談してください。

いいですか?」


と、カブトムシを見ると仲間になりたそうな目をしながら、


『陛下、私で良いのでしょうか?…

あぁ、何たる幸運、何たる幸せ』


とカブトムシは呟き、


彼は後ろの軍団に向き直り、


『皆私だけすまん…皆の為に身を粉にして働くのでどうか力を貸して欲しい。』


と、頭を下げている。


軍団は拍手をするように地面を叩き、歯を打ち鳴らす。


俺はカブトムシに手をかざして、


「カブ太!」


と呼ぶと、ただでさえ大きなカブトムシは軽自動車サイズに大きくなり、メタリックな色合いに成った。


カブトムシは、俺に向かい低い体勢をとりながら、


『鎧カブトムシのカブ太、この命、陛下と皆の為に…』


と忠誠を誓ってくれた。


そして、シェラは知らないうちにクイーン卵鳥に〈コッちゃん〉と名付けて従魔にし、他の卵鳥と合わせてコッちゃんファミリーとして配下にしていた。


そして、何故か逃げなかった跳ね鹿に〈ピョンちゃん〉と名付け、アタックボアにまで〈ブーちゃん〉と名付けてしまったいた…


どうやらアイツらは助けられた御礼にスリスリしてたらシェラに名付けをされたらしい…


一気に居住者が増えてしまったけど…仕方ないよね…仲間だもの…

ということで、やっと蜘蛛退治も終わり、魔石をアイテムボックスにしまう。


カブ太達の道案内はコブンとマサヒロに任せて、クマ五郎とクマ美には拠点への報告を頼み送喚した。


ガタ郎は俺の影に潜り、


『旦那様、大変お疲れ様でやんした。』


と、俺を労ってくれた。


俺が、苦手な奴もまとめてウチの森の住人にしたから、気を遣っているらしい…


『ガタ郎もお疲れ。』


とだけ、心の中で言ってからシェラと歩いてクレストの街に向かう。


ただ、卵鳥20羽と、跳ね鹿と、アタックボアの大名行列を引き連れてである。


数時間かけて冒険者ギルドに着くと、既にヘロヘロでギルドに着いた三人の若い冒険者が、エイムズさんに報告しながら、温かいスープをゆっくりとすすっている。


エイムズさんが、俺達を見つけて、


「ポルタ…また事件に巻き込まれたのか?

1度教会でクリアの魔法でもかけてもらえ…」


と呆れている。


そして、


「シェラちゃん、大変な目にあったらしいけど大丈夫かい?」


と心配するギルマスのエイムズさんに、


「妹との扱いの差が気になりますが、クリアは自前でかけてみたことが有りますが、この様です。」


と答え、


「ついでに、シェラが従魔を手に入れたので登録を」


とエイムズさんにいうと


シェラの後ろ一団を見たエイムズさんが、


「あんまり冒険者向きな従魔じゃないな…」


と呟いた後に、


「シェラちゃんは、あっちのお姉さんの窓口で登録しよっか?」


とシェラを案内し、俺には、


「じゃあ、ポルタはあっちで、三人と一緒に報告と、蜘蛛の素材があったら提出してくれ。」


と言われて報告を行った。


母蜘蛛の巨大魔石を出したらギルマスは、「レイド対象の死神蜘蛛だ!」と騒いでいた。


「子供は百以上居ました。」


と報告すると、エイムズさんは、


「西の森周辺を立ち入り禁止にして、Bランク以上対象に、調査依頼を早急に!

死神蜘蛛の巣立った個体がいる可能性大だ。」


とバタバタ忙しいそうだ。


残された三人と俺はそこで初めて、自己紹介をしあって、身の上話をした。


前衛の男の子〈マイト〉くん

索敵担当の男の子〈ジル〉くん

後衛の魔法使いの女の子〈シシリー〉ちゃん


三人ともに、アルトワ王国の別の町出身の孤児達で、年も近く、同じ境遇からパーティーを組んで居たらしい。


しかし、今回の事で冒険者の仕事が怖くなり、直ぐ復帰は無理な様子なのだが、宿代も要るし、戻る所もないらしい…


それを聞いた俺は、もう虫を千単位で受け入れた後な事もあり、


「もうついでだからウチ子になりなさい。」


と、三人を誘った。


まだベッドを並べるスペースはあるし、心の傷が癒えて冒険者に戻るのもよし。


足を洗ったとしてもファミリー商会が受け皿になれる。


三人は少し遠慮がちに、


「お世話に成っても構いませんか?」


と聞くので、


「心配するな、ウチは孤児ばかりだ。」


と言っておいた。



諸々予定を早める必要があるので、とりあえず蜘蛛達の魔石等を売り払ったお金で、三人の身の回りの物やベッドなどの寝具を購入し、大工道具や釘と、大量の木材と、サスペンション無しの安い中古の荷馬車とトラベルホースも一頭購入した。


トラベルホースはシェラにテイムしてもらい、シェラに


「トラベルホースも、登録要るのかな?」


と聞くと、


「窓口のお姉さんが、〈家畜〉は登録不要だけど、一応〈ピョンちゃん〉と〈ブーちゃん〉だけ登録しときましょうか?

って言われたから多分要らない。」


と、言っていた。


まぁ、街をつれ歩く場合必要な登録だからな…馬なんか良く見る魔物だし、クマ五郎とは扱いが違うか…と納得し、新人の馬の引く荷馬車にシェラのお供達を詰め込んだ。


ちなみに新人のトラベルホースはシェラに〈パカポコ〉ちゃんと名付けられて元気にシェラと愉快な仲間達を拠点へと運んでる。


俺もクマ五郎を召喚してアイテムボックスからキャンピング馬車を出して繋げて、二台の馬車はガダゴトと、拠点に向かって出発したのだった。



さて、それからが大忙しだった。


まず、新人三名も参加してもらいDIYで鳥小屋を建てる。


築城蟻達が基礎工事をしてくれて、マサヒロと合体して、梯子や足場が無くても屋根の工事が出来た。


お手製と云えど、基礎がしっかりしている大きくて、なかなか頑丈そうな鳥小屋が完全した。


『これで卵の生産の目処がついた。』


と安心する俺の横で、コッちゃんファミリーがぞろぞろと小屋に入って来て、シェラが藁の束を抱えて現れ、


「コッちゃんはここにする?」


などと言いながら藁を地面に置くと、コッちゃんがごそごそと藁の巣を作りはじめ、他の卵鳥も気に入った場所でシェラが藁を持って来るのを大人しく待っている。


まぁ、鳥小屋を気に入ってくれたみたいで大人しいし、オスもメスも要るからそのうち増えて来るだろうから今は広く感じる鳥小屋も、そのうち手狭になると思われる。


そして、半月程経ち、大工の親方達の頑張りもあり、冬の間に温泉の建物と、クマ五郎達の厩舎も建った。


完成祝いに、大工の皆さんも一緒に風呂に入り、鍋を囲んでパーティーをした。


そしてパーティーの最後には源泉の上に築城蟻と親方の共同作品の地獄蒸し釜で蒸した俺特製のプリンを振る舞ったのだ。


ライラさん所のミルクと、ハニー達の蜂蜜、そして、シェラの所の卵で、俺の指導で、元冒険者の三人が協力した力作、


(温泉蒸しプリン!)


バニラエッセンスは無いが、ハニー達の新鮮で芳醇な香りの蜂蜜のおかげで、上出来な仕上がりだった。


大工の親方達も、大満足で、


「次からは、何か建てるなら俺達を指名してくれ、安くするぜ!」


と言って仕事を済ませて、クレストの街に帰って行き、


ポプラさんは、この雪の中、


「早く商業ギルドに行って、温泉蒸しプリンを登録しましょう。

何なら、クレストに小さな店も出しましょう!」


と、興奮している。


これは、春からも忙しく成りそうだ…


読んでいただき有り難うございます。

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