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仲間になりたそうに見ないで下さい  作者: ヒコしろう


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第42話 温泉を探そう

春の終わりに出発したが、拠点に戻ったのは秋本番と、かなりの期間留守にしてしまった。


俺達は装備が新しくなったり、冒険者のランクが上がったり、ついでにドラゴンスレイヤーになったりと、いろいろ有ったが、拠点でも変化が有ったようだ。


蜂蜜事業に大口の注文が入り大騒ぎだったらしい。


パーシーさんの弟さんもクレストの街から呼び寄せて、ウチ家族もアルバイトとして雇い納期迄になんとか間に合わせたようだ。


お届け先は帝都マルス…姫様のご婚礼の引き出物にロイヤルハニーとパーティーの食材としてビックハニービーの蜂蜜を大量購入されたらしい…

マリアーナ姫様とサムさんが結婚するのね…はい、はい、良かった、良かった。勝手に他所で幸せになって下さいまし。


それより大事なのは、ウチの子供組のリーダー〈シェラ〉が10歳となり、教会で以前受けれなかった祝福の儀を受けた。


大層な名前だが、一生に一度、無料でスキル鑑定をしてあげるから教会を宜しくね。


みたいな行事だ。


そこで、シェラはテイマースキルと身体強化のスキルがあると鑑定されて、いまでは、シェラはライラさんのお手伝いをしたり、ノーラさんの家事の手伝いを頑張っている。


テイマー人口が増えたし…本当に卵鳥を探しに行くか?と悩む。


卵鳥自体はそんなに強い魔物ではないから、シェラ自体にフィジカルとかの複合スキルを取得させてレベル上げがてらクイーン卵鳥をスカウトに出掛けても良いかもしれない。


アゼルとメリザは暫くワイバーンと拠点で過ごすらしいし、シェラに卵農家兼冒険者にならないか?って聞いてみよう…と、決めて、牧場を手伝っているシェラに、


「冒険者登録してレベルを上げて、クイーン卵鳥と契約して、拠点の中で卵農家として頑張ってみないか?」


と聞けば、シェラは、


「ポルタ兄ぃの手伝いが出来るし、ノーラ母さんの手伝いもしたいから、ここで暮らしたい。」


と言ってくれたので、


よし、シェラを鍛えて一流の卵農家にするぞ!と、今後の予定をたてた。


秋の蜂蜜の出荷をこなしたパーシーさんと、ポプラさんに「お疲れ様」を言いに行ったら、


パーシーさんの弟の〈ヘンリー〉さんを紹介してもらった。


ヘンリーさんは、街の商会で働いていたけど、パーシーさんが蜂蜜事業の助っ人として呼び寄せた好青年だった。


お客様対応などが上手なセールスマン的な人材で、今回の帝都からの依頼も上手にこなして、各地の貴族の方々と仲良くなって、蜂蜜の販路を広げてくれたそうだ。


有難い人材だ…


ポプラさんが、


「ポルタ君、一度一緒に商業ギルドに行って、商会として登録しませんか?

牧場も、また新たな工房を開くにしても登録や報告資料の作成が楽になるので…」


と提案された。


俺は、


「木工工房や鍛冶工房なんかも作れる?」


と聞けば、パーシーさんが、


「勿論、個別でギルドに登録は必要ですが、商会の傘下として簡単な手続きで工房が開けます。」


と教えてくれた。


シェラを鍛える以外は、暫く遠征の予定もないので、パーシーさんとポプラさんと一緒に商業ギルドにきて手続きをしているのだが、しかし、商会の名前をなど全く決めておらず、悩んだ末に、パーティー名の〈ウチの大家族〉に、ちなんで、


〈ファミリー商会〉に決めた。


会長は俺で、

副会長はパーシーさん、

経理はポプラさん、

営業はヘンリーさん、

蜂蜜工房長はマリーと仲が良いのでノーラさん、

牧場長はライラさんで登録した。


〈ファミリー養蜂場〉に〈ファミリー牧場〉…

何とも休日に家族で遊びに行く施設みたいな名前に成ってしまった。


折角商業ギルドに来たのだから、残高照会をして見ると、特許使用料と遠征で稼いだ物を合わせた貯金額が大金貨230枚以上有ったが、


山を買うにはほんの少し足りない…ポプラさんに、


「残念でした。

裏山を丸ごと買うには少し足りませんでした。」


と、言って残念がると、


ポプラさんは、


「ローンを組んだらどうですか?」


と提案してくれた。


パーシーさんとも相談すると、


「裏山を買って、ハニーちゃん達の住み処を作れる様に整備したら、蜂蜜の生産量も上がりますし、今回は例の引き出物の件で販路は拡大しましたから、十分支払いが出来るかと…」


との意見だった。


よし、山を買って、蜂蜜用の花畑と温泉を整備するぞ!と決心して、頭金を払いローンを組んだ。


農機具の購入や花の種や色々な苗木仕入れの予約をしてから拠点に帰り、当面は冒険者はお休みして、クマ五郎やクマ美と裏山に温泉までの道を整備して、道の周辺を開墾して花や木を植えて、蜂蜜の生産量向上と、温泉を整備したい。


あとは、シェラの追加スキルをダンジョンショップで買って、装備は…メリザのお下がりで良いかな?忙しくなりそうだ。



と、手続きなどなんやかんやの書類のやり取りも終わり、裏山が我が家の敷地になったのだが、何より先ずは温泉の確認だ。


ガタ郎とクマ五郎と一緒に道も何もない山を登る。


話では、ふもとの林を抜けた辺りにの谷合の小川辺りらしいが、それらしい小川自体が見当たらない…


ガタ郎が、


『ひとっ飛びして見てくるでやんす。』


と飛び立ち、クマ五郎は、


『王さまぁ、栗を見つけたんだなぁ』


と、嬉しそうに栗を拾っている。


ふもとの辺りを開墾して栗林を作ってやろうかな?などと考えながら、ガタ郎の帰りを待つ間に、沢山の栗を拾えたみたいで、俺の所までクマ五郎が帰ってきた。


こういう時の四本の腕は便利そうだな…と、両手いっぱい×2の栗をアイテムボックスにしまいながら、クマ五郎に、


「栗の苗木って有った?」


と聞くと、


『小さい栗の木?、うん、あちこちに有ったんだなぁ』


と報告してくれたクマ五郎は、


『小さい木は、まだ栗はならないんだなぁ』


と、何故そんな実のならない木に興味が有るの?みたいな顔をしている。


俺が、


「家の近くに小さい木を引っ越しさせて、お水や栄養をあげて、大きな木にして栗をいっぱい取れる様にするんだよ。」


というと、クマ五郎は、


『いっぱい、お手伝いするんだなぁ』


とやる気十分だ。


そうこうしていると、ガタ郎が戻ってきた。


ガタ郎は、ブウゥゥゥゥンと飛んできて、近くの木にとまると、


『旦那様、もっと下でやんしたよ…登り過ぎでやんす。』


と報告してくれた。


商業ギルドが昔調査した時より林の生え際が山頂の岩場に向かって前進したようだ。


時間が経って生え際が、前進なんて…なんて羨ましい…裏山だけに…なんつって…


しかし、禿げる一方だった前世の俺が、血の涙を流して羨ましがっているよ…


それから、ガタ郎の案内で、

そんなに高くない裏山の中程の谷合に小川が流れている場所に向かう。


その小川の河原の地面の一ヶ所から湯気が立ち上っているのが見えて、


「有った!」


と、思わず声をあげたが、これでは床暖房ていどの威力しかない…


試しに暖かい地面を〈ピットホール〉で直径1メートルで深さ1メートルほどの穴を空けてみると、


熱いお湯が湧き出して、穴を満たしていく…しかし、今度は滅茶苦茶熱くてそこに入れたものではない。


一旦スコップで溢れたお湯を小川に流す溝を堀り、『さて、どうしたものか?』と悩む…

ガタ郎は辺りの警戒を樹液を舐めながら行って、クマ五郎は熱々のお湯をボーッと眺めている。


俺が、アイテムボックスから栗を取り出してお湯に沈めると、クマ五郎は不思議そうに俺を見て、


『栗を捨てちゃうのかなぁ?』


と寂しげに聞く、俺が、


「お湯で茹でているんだよ。

暫くしたらホクホクになるよ。」


と言ってアイテムボックスから鉈をとりだして、近くの枝を払い、木の棒をクマ五郎に渡すと、楽しそうに、


『まだかなぁ、まだかなぁ?』


と栗を突っついて、たまに味見もしている。


しかし困った…

どうやってお湯を冷まそう…

小川の水は季節や天気で水位が変わるし…

段々畑みたいにして冷ますか?などと考えていたら、ガタ郎が、


『旦那様、面会希望でやんす。』


と報告してきた。


『ん、山の奥で面会?』


と、考えたが、お湯を冷ますアイデアも出ないので、


「いいよ、呼んで。」


と答ると、低木の影から、


『陛下、お目通りが叶いました事、感謝いたします。』


と柴犬サイズの蟻が行進してきて、ズラリと整列して頭を下げている。


『おぅ、…マジマジと見なければ、大丈夫な訪問者で良かった…しかし、この数は…ちょっと引くな…』


と、少しホッとするが、何とも言えない気持ちで、


「何か用かい?」


と、聞けば、他よりデカい蟻が、


『陛下、我々塹壕蟻の一族は穴堀りスキルに長けた蟻にございます。

我が娘が、陛下が植樹をして栗を栽培する計画を耳にしまして、我々がお手伝い出来るのではと馳せ参じました。』


と、言っている。


うーん、蟻さんかぁ~、従魔の枠はあるけど…と考えながら俺は、


「君たちは、穴掘る以外に得意な事ある?」


と聞けば、蟻さんは、


『我々は元より、苗木を傷つけずに掘り起こし、巣の側に植え替えて、食糧とする事をしておりますので、陛下のお役に立てるかと…』


と、頭をさげる。


植え替えと栽培もするんだ…よし、採用!!と決めた俺は、


「では、君達一族は俺の配下になる?」


と、聞けば、


蟻は、


『我々一族は、元より陛下の配下にございます。

どうか、陛下の望まれますように、お引き回しのほどよろしくお願い致します。』


と答えたので、一際大きな一匹に向けて手をかざして、


「アンリ!」


と命名すると、先頭のデカい蟻は勿論、後方の蟻まで光りだして、全体的に少し大きく変化した。


そして、


「陛下、我々一族に新たなる力をお与え頂き感謝いたします。

〈築城蟻〉の女王〈アンリ〉、

一族をあげて陛下のお力に成れます様に働かせていただきます。」


と頭をさげた。


『アンリも喋るタイプか…』


と、感心しながらも、


「みんな宜しくね。」


と蟻達に声をかけた。


それから俺は、、進化した〈築城蟻〉の実力に驚く事になる。


彼女らは穴堀りスキルで、思い通りの穴や溝を掘る事が出来て、更に接着スキルで、同じ素材をくっつける事ができるのだ。


つまり指示さえだせば、拠点に堀や石壁が作れるのは勿論、道に指定した土や石を接着して舗装したり、それこそ細かい指示さえだせば、湯船も作れた。


そして、農機具いらずで土を耕し、大木も掘り起こして抜いてしまう…

優秀な土木作業会社をまるまる手に入れたような働きであった。





読んでいただき有り難うございます。

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