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仲間になりたそうに見ないで下さい  作者: ヒコしろう


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第39話 予定外の遭遇戦

ドラゴンの中でも弱いとされている、緑色のグリーンドラゴンだが、ブレスも吐くし、ちゃんと固い…

多分、メスのドラゴンに良い格好を見せたくて、一匹で全てのワイバーンを相手にしているイキりドラゴンを、俺達は可能な限り身を低くしながら、息を殺して怪獣大決戦を見守っている。


ワイバーン達もただ殺られている訳ではない、数に勝るワイバーン達は『強い俺を見とけ!』とイキり散らかしているグリーンドラゴンに取り付き、翼膜を破き、鱗を剥ぎ取り…命をかけた攻撃を加えている。


攻撃を加えられて怒ったグリーンドラゴンに噛み砕かれ、ブレスで倒され、地面へと次々と落ちていくワイバーン達…

もう一匹のドラゴンは、落ちたワイバーンをムシャムシャと食べている。


傷つきながらも、『まだ食べるのかい?』みたいに余裕の雰囲気で、移動しながらワイバーンを落とすドラゴンと、

無感動にワイバーンを食べる、もう一匹のドラゴン…

仲間や、家族を殺された何十匹のワイバーンが敵討ちに巣から飛び立つという地獄絵図の怪獣大戦争を


『どうしよう?逃げるなら今だけど、ワイバーン素材は欲しいし…』


などと考えながら眺めていると、ミヤ子が、


『王様、いつ仕掛けます?』


と、やる気十分だ…


えっ?やるの!?ドラゴンだよ…とビビる俺が、ミヤ子に


『ドラゴンだよ、大丈夫?様子を見た方が…』


と心の中で聞くと、ミヤ子は、


『麻痺状態にするのは難しいですが、殺す事は容易いです。

その代わりドラゴンの肉もワイバーン肉も利用価値が無くなりますが…』


と何やら怖い事を言っているが、こうなったらヤケクソだ!混戦に乗じてドラゴンもやってやる!!


と、腹をくくり、


「ミヤ子は暴れているドラゴンとワイバーンの群れに鱗粉攻撃を仕掛けた後に離脱!

フルアーマークマ五郎は食事中のドラゴンをパニクらせてくれ、逃げてくれたら儲けものだからアイツをマークして。

ガタ郎はクマ五郎のサポートしながらでワイバーンを羽チョンパして地面に落としてくれ!

アゼルとメリザは落ちたワイバーンの討伐に集中、可能な限り安全に、逃走経路を確保しながら決して奥まで進んではダメだからね!!

俺は、ミヤ子のサポートをしてから、もう一匹のドラゴンが帰らなかった場合は加勢する。

皆、出来るだけミヤ子の戦闘エリアには近づくな、ヤバイな粉を撒くらしいからな。

死ぬなよ!」


と指示を出して、アイテムボックスから着替えを出してマスクがわりに口元を隠し、フード付きマントを羽織り、ミヤ子と共に左手の細かい傷だらけのドラゴンへ向かう。


右手奥の食事中のドラゴンはクマ五郎達に任せ、ワイバーンの巣は、ほぼ空になり幾つかの巣に卵があるだけだ。


産卵の季節のはしりかな?…

産卵を控えたワイバーンはさぞ美味しいのだろう…と考えながらも、要らぬ手間を増やしたグリーンドラゴンを恨みつつ、

傷を負いながらも自分の分を確保するためか、攻撃を続けてワイバーンを落としているドラゴンへ向けて、腹いせの一発をぶちかましに走る。


するとミヤ子が、


『王様はここでご覧になって下さいませ…』


と言ってミヤ子か空高くを目指して舞い上がり、そして、ワイバーンに夢中のドラゴンとドラゴンに夢中のワイバーン達の上空でクルクルと円を描くように飛び、キラキラと輝く粉を降らすステンドグラスの様な神々しい羽の蝶々…

あまりの美しさに見とれながら遠くの空を見つめる俺だったのだが、キラキラの粉はゆっくりと降り注ぎ、ドラゴンやワイバーンに付着する。


するとミヤ子は疲れきりフラフラと離れた俺の元に帰って来て、


『王様、終わりましたわ。

どうか、クマ五郎達の加勢に…

すみませんが、私は拠点に戻りたく存じます…』


と告げる。


え、終わったとは?と思う俺だったが、クタクタのミヤ子に、


『お疲れ様』


と、労いの言葉を送ってから送喚して、まだ、争っているドラゴンとワイバーンをチラリと見た…

まぁ、ミヤ子が終わったと言ってたから大丈夫だろう…ヨシ、クマ五郎達に合流だ。


と、粉をかぶった奴らを無視してクマ五郎が相手しているドラゴンに向かう。


ガタ郎に、アゼルとメリザのチームはワイバーンを次々と倒しているし、このままで大丈夫だろう。


そしてフルアーマー・クマ五郎ゼットは、セミ千代パニクウェーブをドラゴンに当てながらブレスや尻尾をコブンバリアーで回避して飛び回り、ドラゴンを追い詰めている。


しかも、ドラゴンは既に高速で宙を舞うクマ五郎の鋭い爪により両目をえぐられて、パニックを更に加速させている。


岩に頭から激突し、空に舞い上がり、何かを振り払おうと、空中でのたうち回りながらブレスを撒き散らしている。


そして、まっ逆さまに地面に突進し自滅してしまった…

錯乱攻撃の恐ろしさを実感しながら、舌を出して失神しているドラゴンに


『舌出し失神KOは藤波(ドラゴン)でなくて猪木さんなのよ』


と心で呟きながら、盾と雷鳴剣を構えてドラゴンに走り寄り、

フルパワーの飛爪でドラゴンの喉の奥を狙い、口の中へと刃を伸ばし掻き切る!!


喉の奥を切り裂かれ、ゴボリと血を吐き、余りの痛さに目を覚ましそうになるドラゴンに向けて、


「もうしばらく寝とけや!!」


と、雷鳴剣に雷を纏わせて、まだ、だらりと垂れた舌を切り飛ばすと、感電し再び地面に沈んだドラゴンはドクドクと血を流し続けているが、すでに脳への電撃と大量出血でユックリ死へと向かっている。


残るは、傷を負っているイキりドラゴンのほうだが、既にその姿は空中になく、地面に落ちたドラゴンやワイバーンからは紫色の煙が立ち上ぼり、


体は、まるで脱ぎ捨てられた衣類の様にダブついた皮が肉が消えて無くなった事を物語っている。


『ミヤ子の粉…怖っ!!』


と、俺の中でゾワリと恐怖が芽生えてしまったが、何とかとんでもない遭遇戦で、無事に勝利を納める事が出来たようだ。


戦果としては


ドラゴン1体にワイバーン20体…

ドラゴンだった物1塊に、ワイバーンだった物 40程、

食い散らかされたワイバーンの残骸は…どうしよう?

まずは、ドラゴンとワイバーン20体は持って帰るとして、

だった物もどうしよう?

そもそも触って大丈夫なの…アレ…などと対処に困る状況に、


『休憩中に悪いけど、ミヤ子に来てもらうしかないな?』


と、いう事で、ミヤ子を召喚してみると、一休みしたからか少し元気になっており、


『王様、何かご用でしょうか?』


と聞いてくる。


俺は、グニョグニョのドラゴンだった物を指差して、


「あれなんだけど…」


と、聞くと、ミヤ子は指の差す方向を見るなり、


『煙が消えたら、食べ頃ですわよ』


と答える。


…食べ頃…とは?と、俺が首を傾げていると、ミヤ子は、


『るんる、るーん』


と鼻歌を歌いながらドラゴンだった物にヒラヒラ飛んで行き、ドラゴンの小さな傷口からホースの様な口を差し込み…


ごっくん、ごっくんと…


『……?……えっ!イヤァァァァァァ!飲んどるがなぁぁぁぁ!!』


と声に成らない心の叫びを出しながら、地獄の様な光景を見ていると、


『ミヤ子先輩、僕も良いですか?』


と、マサヒロまで「ごっくん」しだした。


まぁ、キリギリスもトンボもおっさんを食べてたし…解るんだよ…魔物だからお肉くらい食べるって…

お口小さいから溶かしてから食べるって、解るんだけど…いざ、見せられると…引くわぁ~。


ガタ郎達は遠巻きに見ているので、食べないのかな?…あっコブンが行った!


と、そんなこんながありましたが、お腹いっぱいになり元気も出たミヤ子に、


「あの皮とか使える?」


と、聞くと、ミヤ子は、


「鱗、角、爪、骨は溶けていませんので、普通に使えますわ。

皮は防御力は少し落ちますが、伸縮性はかなり上がっているはずですわ。」


と、答えてくれた。


たしかに、溶けた中身がしっかりと中にキープされているので、皮は伸び縮みするようだ。


中身の水肉を捨てれば使えるかな?と考えながら、だった物はたちの水気をとりつつ、皮と爪や角に歯を回収してはクリーンをかけてからアイテムボックスにしまい、ドラゴンの食べかけの噛みくちゃワイバーンは…魔石だけでも抜くかな…と、かなりの時間をかけてアイテムボックスもマジックバッグもパンパン状態にしたのだが、ドラゴンの骨等かなりの素材を放棄する事になってしまった。


結局、百近い群れは壊滅状態で、残ったワイバーンも巣を放棄して飛び去った。


残された巣にある卵はアイテムボックスに入る物と、孵化寸前生き物としてカウントされてアイテムボックスに入らない物が2つ有った。


仕方ないので、卵2つはクマ五郎に抱き抱えてもらい、森を出る事にした。


とりあえず、森の入り口まで歩きで移動するのだが、ノーラさんが待ってるかもしれないので、飛行ユニットのマサヒロとチャイム係のセミ千代は送喚して、


コブンは三日間だけ、索敵係としてついてきてもらうことにした。


ミヤ子も回復の為に自宅待機で再び送喚して、残りのメンバーで、森の入り口まで歩いた。


正直、ドラゴンを倒したぞぉ!


といった喜びより、早く帰って、暫く休みたい程に精神的に疲れはて…帰り道は俺達だけでなくガタ郎達も口数少なかった。


馬車移動にかわり、アゼルとメリザは、ワイバーンの卵を一人一個抱き抱えて、ミルトの街まで帰った。


ゴング爺さんに素材を見せると、


「誰がドラゴンを取って来いっていった?!

ワイバーンでも良いが…よく倒せたな!

あと、何だこの量は!!」


と、驚き半分、呆れも半分の様子であった。


ゴング爺さんは、


「予定変更だ、ドラゴンの皮と鱗、爪と牙、角と魔石、柔らかいドラゴン皮は売らずに全部持って来てくれ。

ワイバーンの、皮と爪と、柔らかい皮はウチの工房がまとめて買い取るからこれも売らずに持って来てくれ。

あと、追加でミスリルを購入するから、ワイバーン皮の支払いと相殺するがいいか?」


と言って来たので、「了解」とだけ伝えて冒険者ギルドに向かった。


ギルドに到着して、クレモンズさんに、


「ワイバーンの巣にドラゴンがワイバーンを食い荒らしにきました。

もう、ワイバーンは一匹も居ません。」


と、報告したら驚いていた。


クレモンズさんは、


「それは残念だったね…ワイバーンの素材は取れずじまいかい?」


と、心配してくれたので、


「全部倒しましたよ。」


と言って倒したドラゴンの解体を依頼したら更に驚いていた。


解体料を差し引いても、ドラゴン肉に、血や、肝や、心臓

ワイバーン肉にワイバーンの魔石だけでも大金貨50枚近くになった。


ドラゴンの新鮮な血・肝・心臓は錬金術の素材になるし、肉は貴族がパーティーの主役として買い付けて、ワイバーン肉は少し高級な肉として街の肉屋に卸される。


鎧の素材分も全て売れば、軽く百枚以上に成っただろう…


そして、驚いたのが卵だ。

特別依頼という枠で、騎士団から〈ワイバーン騎士用のワイバーンの卵の納入〉という依頼があり、


有精卵一個で、大金貨5枚で個数制限無し、という依頼が有った。


10個ほどの卵を売って、アイテムボックスに入らない2つは、アゼルとメリザが愛着がわいてしまい、


「売らないで!」


と言い出したので、売らない事にした。


テイマーのスキルスクロールがあれば、二人の遠征用の足になるかもしれないし…良いかな…


そして数日はギルド宿でのんびり過ごして、凄い買い取り金額を手にして、解体も済んだので、素材をゴング爺さんにの工房に渡すと、ゴング爺さんは、


「他の冒険者が驚くほどの鎧を作ってやる!

タッグのやつも、予定変更で、ドラゴン素材とミスリルの武器にするそうだ。

ペアさんは付与の数が変わるし、買い出し前で良かったと、言っておったぞ。」


と笑いながら言っていた。


俺は、こっそりビューティーさんに、〈守りの腕輪〉と、〈魔力の腕輪〉を一個ずつアゼルとメリザの為に注文し金貨十枚を預けておいた。


すると、ビューティーさんは、


「ポルタ君のを二人に渡してあげて、

ポルタ君用にはドラゴン素材と合わせてえげつないの作るから!」


と張り切っているので、


「預けた金額全部使うつもりでやっちゃって。」


と、お願いしておいた。


ペアさんは明日から早速、付与するスキルとビューティーさんからの依頼の宝珠の買い付けに、帝都に向かうらしい。


あまり乗り気はしないが、品揃え的に帝都に行かなければ揃わない物も有るので、仕方ない…と、俺達も、ペアさんと帝都に行くことになった。


読んでいただき有り難うございます。

頑張って投稿しますので応援ヨロシクお願いします。


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