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仲間になりたそうに見ないで下さい  作者: ヒコしろう


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第29話 拠点を作ろう

クマ五郎の引く馬車に乗り、マリー達の待つほぼ果樹園のみの集落を目指している。


ゴング爺さん達は酷く残念がっていたが、


「成長し過ぎて鎧がきつくなったら、今度はミスリルの鎧を頼みに行くから。」


と俺が言うと、


「なら、ワシの死ぬ前に来れる様に確り食べて早く大きくなれよ…」


と言って涙を流すゴング爺さん達に別れを告げて、帝都から東にあるアルトワ王国方面に旅立ったのが春の終わり、


そこから約1ヶ月荷馬車の旅をしながら進み、あと少しで果樹園の集落に着くのだが、今までは、秋の終わりから冬にかけての馬車移動だったのでそんなに気にならなかったが、暖かい時期の野宿があんなに面倒臭いとは知らなかった。


特に荷物を運ぶ訳ではないので、幌つきの荷馬車をキャンピングカー代わりにして眠るのだが、ガタ郎とミヤ子が交代制で見張り番をしてくれていると、ひっきりなしに、バッタやダンゴムシは勿論、テントウムシや、カナブン、等が『是非配下に』と集まってくる。


ガタ郎達がさばききれない数、群れで現れる事もあり、酷い時には寝て起きると、荷馬車をぐるりと囲む程のアリの群れがひしめき、あまりの集合体の恐怖にブレイブハートが漏れでてしまった。


説得に諦める者や、数日にわたり食い下がる者、自主的にガタ郎達の配下に入り馬車旅についてくる者と、黒いカサカサ系の奴以外はガタ郎達に判断は任せているが、ただ旅をしているだけなのに、進むだけで非正規の虫が少しずつ増えていく。


ガタ郎やミヤ子は、まだ大丈夫なパーツに視線を合わせれば問題なく接する事が出来るのだが、フランスパンサイズの芋虫等はどこを見ようがキモい…

昼の間は頑張って荷馬車を引くクマ五郎とは一緒に寝れるほど仲良く出来るが、芋虫君と仲良くなる未来が見えない…


『おうさま、ぼく、きらい?』


と可愛い声で聞いてくる芋虫君は、気を遣って荷馬車の隅で小さくなり、あまり視界に入らない様にしてくれているので、あまり嫌ってやるのは可哀想だと思い、周りに居ても見ない様に心がけて旅の同行を許してあげている。


バスケットボールサイズのカナブンは幌馬車の上にしがみつき、『ガタ郎の親分!』と、完璧にガタ郎の子分と化して見張り番をつとめている。


…まぁ、正規の従魔にするにしても、非正規のままにするにしても、広い土地を購入出来れば問題なく俺の従魔牧場で暮らせるだろう。


そして、様々な虫に集られた何とも言えない幌馬車は、果樹園の村に到着した。


早速果樹園の娘さんのポプラさんに挨拶をしようとしたのだが、やはり虫だらけの幌馬車に農園の方々はドン引きだった。


ポプラさんが、


「お帰りなさい、早かったのね。マリーちゃんも喜ぶわ。」


と言って、俺に地図を広げて見せてきて、


「えっとね。ウチがここでしょ、この手前の小さな丘は購入済みよ、その裏の森は足りなくて次回かな?最終的には森の奥の山を丸ごと購入予定よ。」


と説明してくれた。


俺が、驚きながら、


「丘、買えたんですね…」


というと、


「王都クレストから1日程度の場所ではあるけど、何もない未開の地、何と言っても土地が安いのよ。

マリーちゃん達の蜂蜜を春と秋に出荷したら、マリーちゃん達の取り分だけで、大金貨数枚になるのよ。

それだけ有ればこれぐらいの丘は十分手に入るわよ。」


とポプラさんは教えてくれた。


「へぇー」と感心する俺に、ポプラさんは、


「どうして、早めに帰ってきたの?旅が嫌になったの?」


と聞くので、俺は、


「いや、帝都に行って、仲間を呼び出す〈従魔召喚〉っていうスキルを取得したので、本拠地を整備して、仲間をそこから呼んだり戻したりしたいなと…」


と言ったらポプラさんは。


「なら、マリーちゃんもたまには呼び出して旅に行けるのね。マリーちゃんも喜ぶわ。

じゃあ、丘の上に家を建てて、勝手に出入り出来る小屋…そうか、厩舎みたいなのを建てたら良いから、大工さんに牧場を作ってもらったら良いのね!

でも、予算が…来年以降になるかしら…」


と残念そうなポプラさんに、俺は、


「予算なら商業ギルドにありますよ。

ポプラさんからの送金や、ちょっとした不労所得も有りますので。」


と伝えると、ポプラさんは家の奥から旦那を引っ張ってきて、


「こっちは旦那のパーシーよ。」


と簡単に紹介してくれたのちに、


「ポルタ君と一緒にクレストの街に行くわよ。」


と旦那に指示をだす。


俺と、旦那が挨拶を交わしているのをよそに、


「マリーちゃ~ん!」


とマリーを呼びに行ったが、マリーはマリーで、ミヤ子やクマ五郎と非正規組から挨拶をされて動けない状態だった。


方々の挨拶も終わり、マリーとの再会を喜ぶ…

最近、非正規組のおかげで、虫に耐性がつきつつ有るのと、マリー自体、べっこう飴みたいな目さえ見なければ、デカめの妖精さんなので、俺は平気で撫で撫でもできる。


ミヤ子が羨ましそうにするが、ミヤ子は可愛いとかとは別に〈ヤバい粉〉が気になり大胆に触れないのもあるからである。


それから、マリーに従魔牧場と従魔召喚の話しをすると、凄く喜んでいた。


やはり、蜂の巣が気になり、旅にもついて行きたいが何ヵ月も留守にでない…と、悩んで居たらしい。


マリーもノリノリで牧場の建設を望んでいるので、ポプラさん主導でクレストの街の大工さんに家を依頼に行く事にして、先ずは、非正規組には馬車から降りてもらい、丘の周辺で自由行動とした。


『蜂蜜に手を出したら即死だから、樹液で我慢するように。』


とだけ注意してクマ五郎の荷馬車でポプラさんとパーシーさんと共にクレストの街に向かった。


しかし、馬車の中に非正規組の芋虫君がサナギになってしまっているので、一緒に移動することになっていたのは後から気がついた。


ポプラさんとパーシーさん夫婦に連れられて、久々となるクレストの街に入り商業ギルドにやってきた。


クマ五郎の馬車は、かなり目を引いたようだが、乗っている俺を見て、「久しぶり!」手を振る人も数名いた。


少しの間だったが、この街に見知った顔が出来た事に改めて喜びを感じる。


各種ギルドが建ち並ぶ通称ギルド通りなので、見知った冒険者が冒険者ギルド前に居たので軽く手を振りながら商業ギルドに向かい、お金をおろす事にしたのだが、しかし、商業ギルドの窓口で驚くことが起こった。


俺の預金残高が、大金貨30枚以上ある…

驚く俺より、もっと驚くパーシーさんと何故か興奮ぎみのポプラさんは、


「牧場建てた上に森も買える金額じゃない!」


と言っているし…

窓口のお姉さんに、恐る恐る


「あの~、間違いとかでは…?」


と、俺が聞くと、お姉さんは書類を確かめながら、


「そうですね、ここ数ヶ月での各国の商業ギルドからの特許使用料が殆どですね。


えーっと、ガイナッツの商業ギルドと、本部のある帝都マルスからが多いですが、別におかしな事はないですよ、件数と単価も…はい、合っています。」


と言われた。


馬車関係と井戸の特許か…スプリングとか微妙に入る特許使用料は抜きにしても、馬車何台作ってるんだよ?と気にはなるが、


『でも、間違いないならありがたく使おう。』


との結論に至り、俺は、ポプラさんに、


「森も買って、家も建てちゃいましょう!」


というと、ポプラさんは


「本当に?マリーちゃん喜ぶわよ。

森にはマリーちゃん達のお家が、いくつか有るから。

これで森組も、

丘の近くの本家と一緒にポルタ王国の仲間入りね。」


と、喜んでいた。


なに、そのネーミングの国は…ムツゴロウさんの動物のヤツならまだしも、ポルタの虫王国…痒くなりそう…と、少し〈通称〉に引っかかるモノを感じたが、土地購入も商業ギルドで済ませて、つづいてギルド通りに有る木工ギルドに向かうと、そこはノコギリとトンカチの看板が、目印の立派な建て物だった。


『この技術が有れば大丈夫でしょ?』


と言われているような細かい細工の建物の中を眺めながら、窓口で、大工さんの紹介と打ち合わせを行い大体のイメージを伝える。


母屋に大型の厩舎、放牧エリアに柵を巡らせて、湧水を利用した水呑場が有れば従魔達も暮らせるだろう…

大体の予算を聞くと大金貨十枚程度に収まるらしいので、


『まぁ、少し予算オーバーしても、アイテムボックスのお財布に大金貨三枚程度なら有るし、来月になったらまた幾らか特許使用料が入ると思う…』


と、頭の中で計算していると、ポプラさん夫婦が、


「全ての工事の後で、同じ大工さんにウチ果樹園との境に〈蜂蜜工房と、事務所〉も建て下さい」


と、お願いして見積りを取っていた。


倉庫の様な作りの建物に小さな小屋なので大金貨二~三枚で十分建つそうだ。


自腹で支払いをしようとしたポプラさんに待ったをかけた俺は、


「蜂蜜工房と事務所は牧場の側に俺が建てます。

その代わり、牧場の管理というか母屋の掃除とかをたまにお願いしたいのですが…」


と提案して、アイテムボックスから財布を取り出して大金貨三枚をならべた。


夫婦は、


「管理費として分け前をもらっているから、事務所ぐらいは…」


と口を揃えるのだが、俺が、


「それは、マリー達を気に掛けてくれて、蜂蜜の出荷作業や段取りに対しての対価です。」


と、告げると、パーシーさんは、


「それでは貰いすぎに成ります。」


というので、


「図々しい事を言いますが、

管理費の中で、俺が留守中の牧場の管理人もお願いしたいのです。」


と頭をさげると、ポプラさんは、


「ポルタ君、蜂蜜の出荷量はどんどん増えてるの、管理の手間なんてさほど変わらないのに、取り分が増えるのは悪いわ…」


と困っている。


俺が、


「良いじゃないですか、どんどん儲けて下さい。」


というと、ポプラさんは。


「じゃあ、貰った管理費で私たちの家を建ても良いの?」


と聞くと、パーシーさんは「おい…」と、妻がすいませんみたいな顔をしているが、


俺は


「勿論です。凄いの建てちゃって下さい。」


と、答えると、パーシーさんは、声を出さずに〈マジで?〉と口を動かした。


マスオさん状態でポプラさんの家に居たからな…パーシーさんも婿さんは大変だったのだろう。


俺は即金で、そして、夫婦はローンを組み、全て俺の土地に建てる事にした。


『職場が近いと楽だろう』というのと、義理の父の土地では、一生気を遣うだろうから、せめて自宅だけは借地でも自分専用がパーシーさんもやり易いだろうとの配慮からだ。


そして、家の契約が終わると、何だかパーシーさんのやる気と自信が満ち溢れている…

なんか、今まで色々と大変だったんだろうな…お察しします。


牧場の建設依頼も済んだのだが、建つまでの家がない…3ヶ月ほどで建つらしいが、パーシーさん達に丸投げして旅に出るのは忍びない。


一旦、通称ポルタ王国に戻り、従魔達の仮住まいを設定してから俺はクレストの街で冒険者をしながら完成を待つことにしよう…

従魔召喚もあるから俺一人ギルド宿に泊まれば何とかなるはず。


クマ五郎をクレストの街で一緒に暮らすには厩舎代金がかさむだろうから、その都度召喚だな…

と今後の予定を立ててみた。


読んでいただき有り難うございます。

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