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仲間になりたそうに見ないで下さい  作者: ヒコしろう


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第28話 激突デカゴーレム戦

さぁ、残るは一番奥の壁が崩れた近くのデカゴーレム君だけになったが、ノーマルゴーレム君も二メートルぐらい有ったけど、プラス30センチ有るか無いかで、迫力が雲泥の差だよ…


『王さまぁ~、大丈夫なのかなぁ?』


と、心配してくれるクマ五郎に、俺は、魔鉱鉄のツルハシをクイッと見せて、


「ガツンとやって殺るから、クマ五郎達は見てて。」


と、言って採掘現場の奥へと進む。


ゴーレム君達はあの崩れた壁の土の中から生まれたのか、はたまた封印されていたのか?…などと考えながらデカゴーレム君に近づくと、


「ゴゴゴッ」と、音がなり項垂れながらヤル気なく立っていたデカゴーレム君は、背筋ピーンで俺をロックオンしてくる。


『ひぇー、近づくと更に怖ぇぇぇぇぇ!』


と少しビビるが、ブレイブハートする程ではないようだ。


ゴーレム君は近くの崩れた壁の圧縮されて固まった岩の様な土の塊をヒョイと掴み、俺を目掛けてソレを投げつけてくる。


「おいおい!そんなパワフルボディーなのに遠距離攻撃かよ?!」


と俺が文句を言いながら必死で避けているのだが、元が土の塊の為に空中で割れて拳程の土の無数の弾丸となって降り注ぐ…

そうなると避ける事も難しく俺は仕方なくこの雨に打たれる羽目になる。


しかし、盾を構えるとツルハシを片手で扱う事に成ってしまうが…どうしよう…と考える暇も与えて貰えず、土塊の雨が体に当たりだす。


体を縮め盾を構えて、ただその攻撃が止むのを待ったのだが、ペアさんに付与してもらい生まれ変わったゴング爺さん作の魔鉱鉄とアーマーリザードの鎧は、そんな運任せの土団子ではビクともしなかったのだ。


『イケる!デカイ塊を直撃でもしない限り問題なくイケるぞ!!』


と、鎧の性能に驚きながらも、俺は魔法の射程まで進み、アクアショットを奴に打ち込みまくる。


ジュワリと染み込む1.5ペットボトル程の水の弾丸は、次々とターゲットのスキルで俺だけに見える赤い点に向かい飛んで行ってはデカゴーレム君のボディーに染み込み続ける。


ヨシ!そろそろかな?と心を決めて、


「やぁーってやんよぉぉぉぉ!」


と魔鉱鉄のツルハシに魔力を纏わせて、デカゴーレム君に駆け寄り、渾身の一撃を叩き込む!!


「ガキン!」


と甲高い金属音と共に、デカゴーレム君に亀裂が入る。


ヒビはゴーレム君の全身を駆け巡り、そして、中からかなり武骨な銀色の塊が見え、その塊は土の鎧をパージしてスッと地面に立ったのだ。


「ゴーレムが出てきたぁぁぁぁぁ!!」


驚きながらも俺はツルハシを構え直し、銀色のゴーレムを睨みながら、


『どこぞの民芸品かよ!

ケンリュウが割れて中から武骨なロム兄さんが…

あと、車田先生の専売だろ脱皮ネタは!!』


と心の中でも散々文句をつけてやった。


決着がついたと思って近づいたガタ郎が、


『羽化したでやんす?…虫仲間でやんすか?』


と言って騒いでいる。


俺は、


「まだだ!まだ、終わってないから!」


と、ガタ郎の接近を制止して、アイテムボックスから、先ほど撃ち過ぎた魔法で少し気だるいのでマジックポーションを念のために飲む。


何故なら、先ほどの一撃でも銀のゴーレム自体には魔鉱鉄のツルハシで傷が付けれなかった時点で、残された手段が魔法しかない。


ミスリルの剣でビリビリさせたり、飛爪を放つにも魔力頼りだし…さて、どうするかな?…と知恵を絞りながら、俺は、ツルハシをアイテムボックスにしまい、かわりにミスリルコートの盾と、腰の〈雷鳴剣〉を引き抜き構える。


土のボディーをキャストオフした銀のゴーレムは、スピードを上げて体術を繰り出してくる。


俺は、盾でいなしながら、


『武骨なロム兄さんだけあって、天空宙心拳かよ!』


と、古い例えでボヤキながら、試しに間合いの外からミスリル製の新たな相棒で飛爪を放つと、


ギン!と見えない刃先がゴーレムボディーに弾かれる。


『んだよ、駄目なのかよぉぉぉぉ。』


と、奥の手を一つ潰された俺は、悪態をつきながらも次の手段を考える。


やっぱり少し装甲の薄い関節かな?狙うとしたら…あとはスピードが厄介だな…どうするかな?とパンチやキックを盾で受けながらも並列思考で考え続ける。


たまに入る攻撃は装備が有っても衝撃が、駆け抜け、


『チョー痛いじゃねぇか!』


と、もう半ばヤケクソで、奴の、膝関節に向かってフレアランスを叩き込むと、



ジュルリと奴の関節を少し溶かしてダメージを与えた。


急に移動が鈍くなる銀のゴーレムに、


「どうした?グルコサミンが必要かい?」


と、声をかけ、ここぞとばかりにサンダーを纏わした雷鳴剣の峰を


「シビレステッキぃぃぃ!」


と、気合いを込めて奴の首筋に当てると、


壊れた人形の様にビックン、ビックンしたのちに銀のゴーレムは動かなくなった。


「フッフッフ。

銀は金属の中でも電気を一番通すんだよねぇ。

あぁ、記録スキル買って良かった…有り難う、理科の教科担任の松田先生、あの時の授業、今、やっと今、役にたちました。」


俺は、中学時代の理科の授業に感謝したのちに、仲間の皆にグッと親指を立てて、勝利を報告し、銀のゴーレムをアイテムボックスに回収しながら、銀の塊を手に入れた喜びと、やっと終わった安堵感が俺に押し寄せる。


ガタ郎は、


『ヤったでやんすね。』


と言いながらチャプンと俺の影に潜り、クマ五郎に乗っかったミヤ子が、


『お疲れ様でございます。次回は即死毒の効く相手を希望しますわ。』


と不完全燃焼ぎみなのを訴えクマ五郎は、


『王さまぁ、凄いんだなぁ~。』


と、誉めてくれた。


皆で一応、辺りを確認して、他のゴーレムが居ないか調べるついでに索敵もかけて、安全が確認できたので、鉱山の関係者が降りて来ないかを念のため確かめたのちに、鉱物資源感知もかけて、チョイチョイとナイショで銀鉱石を採掘した。


『べっ、別に、盗むんじゃないんだからね!迷惑料なんだからねっ!!』


と、言い訳をしながらツルハシを振り満足したので、また、二時間以上かけて坑道を登り地上に戻り、鉱山の現場監督に報告したのだが、


「では、一緒に確認を…」


と言われて、また最下層に引き返す羽目になつた。


地味に討伐よりキツい移動を我慢して、再び最下層に着くと、ゴーレムの要らない土と、こっそり採掘の要らない土を捨てた小山を指差されて、


「これは?」


と質問された。


マズイ、コッソリ採掘がバレたかも…と焦りながらも俺はポーカーフェイスを保ち、そして、わざと少しイラついた声で、


「監督さん、何が一体だよ?!…見てみろ!!」


と言って3つのゴーレムコアを見せる。


「えっ?」


となる監督さんに俺は、


「間違った情報で依頼を出すと冒険者が危険な目に合います!!

ゴーレムは大小合わせて四体でした。」


とわざと怒りながらゴーレムコアを再びしまう。


監督さんは、ヘコヘコ謝りながら、


「追加の報告と報酬を冒険者ギルドに渡しますので、ご容赦を…」


と言っていた。


セーフ!と俺の心の中で審判が両手を横に伸ばしているが、それすらも顔に出さずに、監督さんが辺りを確認をして、やっと依頼達成となり、また二時間かけて坑道を


『トロッコとか無いのかよ…』


と、心の中で文句を言いながら地上に戻り、早く倒したゴーレムの銀の塊を現金化したいなぁ…とワクワクしながら帝都まで戻ってきた。


冒険者ギルドで依頼達成報告と、依頼内容の変更の書類を提出し、ゴーレム素材と、銀鉱石の買い取りを依頼した。


しかし、あれだけ『高く売れるのでは?』と、必死に成った銀のだが、正直あまり高値で買い取っていないことをこの時知った。


一キロ、小銀貨五枚…ゴーレムの銀の体も、小金貨五枚ほど…百キロぐらいあるのに…むしろ、ゴーレムコアの方が、一個で小金貨五枚と高価であた。


結果、討伐依頼の達成報酬と合わせて大金貨三枚程度だった。


うーん、大変さに見合っているのかもしれないが、二度とやりたくない依頼だった。


そして、俺は、


『どうしよう思いの外早く終わったのでゴング爺さん達の技術指導の日にちが少し残っているよ…もう、正直旅立ちたい…』


と、再び人に会わずに時間が潰せる方法を考える事になってしまっている。


パーティーなんていいから…旅立ちたい…もう、俺の帝都アレルギーが酷いから…と項垂れながらガイナッツ王の館に帰ったのだった。


そして、それから数日、街の近くで狩りをするか、また図書館で時間を潰し、やっとゴング爺さん達の技術指導期間が終了して、皇帝陛下専用の板バネシステムの馬車も完成したらしい。


…で、何で、技術指導のお疲れ様会がガイナッツの館ではなくて、宮殿で行われるのでしょうか?

腹黒の住む伏魔殿に近付きたくないのですが…とムスッとして会場の端にいる俺に、楽しげな皇帝陛下が、


「ポルタ君、楽しんでおるかな?」


と、話しかける。


『五月蝿いわい…』


と思いながらも俺は、完璧に感情の死んだ顔で、


「ガイナッツの館で簡単なパーティーをして、明日には帝都から出られると思ってましたから…

正直、再び宮殿にお招き頂いて…嫌な思い出がまた鮮明に甦り大変不愉快に存じます陛下。」


と、機械のような抑揚のない声で淡々と答えると、皇帝陛下は、ニコニコしながら、


「あぁ、悲しいのぅ、余の住まう帝都を、知恵の神の使徒様はお気に召さなかった様だ…」


と大袈裟に泣いているふりをする。


完全に心を閉ざした音が聞こえてきそうな顔の俺が、


「帝都がお気に召さないのではなくて、皇帝陛下と、宮殿の皆様のおかげで、人間不信になったからです…」


と死んだ目で皇帝陛下に伝えるが皇帝陛下は、


「それに関してはスマンと思っておるが、見てみろポルタ君、長年、人を信じられなくて空回りしていた娘が、なんとも幸せそうではないか。

あの笑顔を守ってくれたのはポルタ君なのだから、出来れば、ポルタ君からも祝ってやって欲しい…。

ぷっ、何故か娘にフラれた事に成っておるそうじゃの…ぷひっ、…だか、そんな事は無いと知っている者は知っておる…気にするでない。」


と笑いを堪え…いや、笑いながら話している。


『絶対この皇帝って性格悪いだろ…』


と呆れながらチラリと見たマリアーナ姫とサムさんは幸せそうに皆と話している。


『まぁ、幸せそうだから…』


と、一瞬全てを許しそうになった俺だが、再び皇帝陛下を見ると…何故だろう…嫌いだ。


もう、皇帝陛下と陛下に付属するもの全てに嫌悪感を覚える。


マジで、このパーティー会場の料理をアイテムボックスにしまいこみ、牢獄まで移動し、料理を対価に闇の一族をアルバイトに雇い、今夜陛下の部屋で、カサカサ祭りを開催してもらおうかな…と本気で悩む俺がいた。


「はぁー」とため息をつく俺に、皇帝陛下は真剣な顔をして、


「余は、そなたに甘えすぎてしまったようだ…許して欲しい…初めはたまたま、そなたが姫に変わるきっかけをくれたからだったが、影の者が集めた情報やそなたと直接話す度に、何故か成人前の少年なのに、頼れる年上の様に感じてしまう…そなたなら姫に幸せな道を指し示してくれるのではと…」


と頭を下げる皇帝陛下に、俺は、


「陛下、何歳ですか?」


と聞くと、皇帝陛下は、


「余は、四十九だが?」


と答える。


若っ!第三皇女が26だろ…!?

…まぁ、長男が16の時の子供らしいし、複数の奥さんなら…あり得るのか?

でも、前世と今世を合わせたら、俺は正確な事は解らないが、確実におっさんを拗らせて、爺さんに成りかけている自信がある…と思いつつ、俺は、皇帝陛下に、


「陛下は確実に俺より年下ですよ。

前世の分と合わせたら確実に60手前ですから…俺」


と教えてあげた。


皇帝陛下は、キョトンとして、


「前世?」


と聞くので、


「もう、二度と帝都に来ることも無いだろうし、皇帝陛下と平民の俺がお話する機会もないだろうから特別ですよ。

俺は、生まれ変わる前の記憶を持っています。

それも、この世界とは違う、魔法もスキルも無い世界…その代わり科学という学問が進んだ世界でした。

その記憶も合わせれば、皇帝陛下より年上です。なんならゴング爺さんと近いくらいです。

皆にはナイショですよ。」


と、教えてあげた。


皇帝陛下は、


「では、新型の馬車も?井戸の摩訶不思議な装置もか?」


と聞くので、俺は、


「前世ではアレらの技術はかなり古い技術で、田舎の片隅にある程度の物ですよ。

もっと凄い技術がゴロゴロありますが、再現する事すらコチラでは困難でしょう。」


と言うと、皇帝陛下は、


「信じられない様な内容だが、ポルタ君の事を考えると、むしろ府に落ちるな…」


と考え込む。


俺は、


「だぁかぁらっ、今回の皇帝陛下の酷い仕打ちは、後輩のイタズラと諦めて今回だけは許してあげます。

本当は、この宮殿に住み着く、とある魔物を使役して、仕返しでもしてやろうかと考えてましたが勘弁てあげましょう…

だって年上の、(お兄さん)だからね。」


と、いうと、皇帝陛下は、


「恩に着る、ポルタお兄さん。」


と言って笑っていた。


仕方がない、もう会うことも無いだろうし、ガイナッツ王の顔を立てて許してやるか…


まぁ、これ以上なんかして来たら、ガタ郎をお使いにダッシュさせて宮殿をカサカサ祭り会場に変えてやるからな!


読んでいただき有り難うございます。

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