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仲間になりたそうに見ないで下さい  作者: ヒコしろう


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第26話 虫嫌い、人間不審になる

サムさんとミーシャさんに即刻三者会談を申し込み、話を擦り合わせた結果、マリアーナ姫様とサムさん双方に行き違いがあり、忘れて次に進もうともがいたマリアーナ様はあらぬ方向に拗らせ続け、サムさんは一刻も早く姫を迎えに行ける立派な騎士に成るために姫との面会も避けて、業務に励んでいたらしい…


そんな負のループを7年以上…聞いてるだけで、もどかしい…


そんな中、姫は俺に待ち望んだ魂の乗った一撃を食らい嬉しくて、嬉しくて、震えたらしい…全くもって、迷惑な話だ。


サムさんが、さっさと「好きだぁ!」と一撃入れれば、とっくに夫婦の出来上がりでハッピーエンドだったのに…

サムさんを引きずって皇帝陛下に面会を申し込んだら、皇帝陛下が、


「ポルタくん、案外早く気が付いたね…」


と…あんにゃろめ!解った上で俺に、この二人に心の変化を促す起爆剤にしやがったのだ!!


皇帝陛下の立場的にサムさんに直接姫との関係を問いただすと、良くない圧力を感じて姫とくっついたと、誰かに思わせる行動は避けたらしく、だから、追い込んで困った俺が、駆けずり回り、二人を何とかするのを期待していたらしい。


まぁ、一番の理由が、数年ぶりに姫様の恋愛スイッチをオンにした俺をサムさんに見せて焦らすことを目的としようと、皇帝陛下と仲良し婦人チームの共同作戦だったようだ。


『ふっざけんなし!!』


全ては皇帝陛下の作戦通り…

俺は、見事にピエロを演じきった形になってしまった。


よし、地下に潜む三千の闇の住人に、皇族とサムさんのベッド周りをカレンダーに3のつく日は走り回る依頼をして、マリー達みたいに現地採用組として配下にすることを前向きに検討しようかな?と、真剣に考えながら皇帝陛下の話を聞いていた。


皇帝陛下にサムさんは、


「陛下、私のような小隊長が、姫様に愛を伝えても…」


と自信なく聞くと、皇帝陛下は、


「余は、本気で姫に向き合ってくれるのであれば、それこそ冒険者のポルタ君にでも嫁に行かせる気であったのだぞ。」


と俺にウィンクする。


『イラッ、ウィンクすんなし!こっち見んなし!!

あっ、俺、この皇帝陛下苦手だわ…うん、今気がついた…』


と、なぜかモヤモヤしていたモノに結論がでてスッキリした俺は、もう、さっさとマリアーナ姫をサムさんがシバき回してドMをトキメかせてくださいな…

俺は、もう、普通の冒険者に戻りたいです。


と、上の空で二人の語らいを聞き流しながら、


『今晩のご飯はなにかなぁ?』


と、遠い世界に意識を飛ばしていた。


結局、夜になってしまったが、宮殿からガイナッツ王の館にサムさん達に送ってもらった。


行きとは違い、近衛騎士団のサムさんの部下達は和やかなムードで、


「朝はすまない、小隊長の恋敵かと思ってまして…」


と頭を下げられたが、


『てめぇらも、このややこしい状態を解っていながら行動に移さずに…

近衛騎士団の宿舎も3のつく日はカサカサの日にしてやろうか!?』


とウッスラ怒りを覚えながら館に戻り、結局、楽しみにしていた晩御飯も食べずにふて寝をした。


翌朝、早くに目が覚めてしまい、色々考えたが、イライラが続いている。


俺は、


「よし!二度と帝都に来なくても良いように、帝都を満喫して帰ろう!!」


と心に決めた。


何故、帝都を目指したかというと、図書館でこの世界の知識と、スキルの情報などを知りたかったからだ…


しかしあと半月で全てを吸収するには時間がない。


〈並列思考〉で読み続けても2倍速…


速読みたいなスキルあるかな?

アホみたいな情報量を仕入れても、頭に収まり切らないかもしれないし…

困った、残っているトレントボーナスが大金貨二十六枚…まだ、商業ギルドに貯金もあるし、追加で〈暗記できるスキル〉とかをスキルショップに買いに行っちゃおっかな?

いや、そもそも、そんなスキルが有るか?朝食の時に〈ペアえもん〉に聞いてみよう、スキルの事なら何でも知ってるペアさんに相談だ。


と、いうことでスキルの自棄買いに、もう装備が出来るまで誰にも会わずに〈本の虫〉になる!!と考えてたら、


『遂に旦那様が身も心も虫の王になるでやんすか?』


とガタ郎が寝ぼけ半分で影の中から話かけてくる。


「うん、色々やってスッキリしなかったら、闇の虫まで配下にする王様になって皇帝陛下に戦いを挑むかもしれないよ。」


と言ったら、ベッドサイドのミヤ子が、


『ふぁ~…王様、誰かに死の粉ならワタクシに言って下さいまし…』


と起きてしまった。


俺は、


「ミヤ子も有り難う、もしもの時はよろしくね。」


と言ってから、


「あっ、もう一匹にも挨拶に行くか!?」


と、クマ五郎のいる厩舎に向かい、


「クマ五郎、ごめんね、あんまり来れなくて、」


というと、


『別に良いんだなぁ、ご飯美味しいしぃ~、安全だからぁ』


と完全にだらけているクマ五郎…聞けば、最近は女性騎士団員の方々が撫でてくれるのでストレスなしでマスコット生活を楽しんでいるようだ。


まぁ、満足してるのなら良いか…

満足してないのは俺だけかもな…ちくせう!!



さて、当面は帝国で一番大きな中央図書館で、朝から晩まで過ごして、館で眠り、また中央図書館で過ごす生活をしている。


完全に人間不信になった俺はもう、誰とも話したくなかったからだ。


ペアさんに相談した結果、


記録という、見た目モノや事柄を鮮明に思い出せるスキルがあると教えてもらい、その日の内にスキルショップで購入して、並列思考と合わせ技で、もう、二冊同時に速読のようにページを記録している。


あとは、検索というキーワードで記憶を呼び起こすスキルで、ページを鮮明に呼び出して読めば、脳内ウィキの出来上がりとなる。


スキル、素材、魔物に地図…


もう、手当たり次第に本をペラペラする作業をする日々…

そして、誰にも会いたくないと、ついでに購入した隠密という気付かれ難くなるスキルと、

忍び足という音で察知され難くするスキルに、気配消しという感知系のスキル等から、感知され難くなるスキルという、暗殺者の基本スキルの様なスキルも買った。


おかげで財布は軽くなったが、館から誰にも気付かれずに出かけられる。


もうヤケクソで、不意打ちという、不意打ちの際の攻撃が上昇するスキルに、

中級炎魔法のフレアランスという炎の槍を射ち出すスキルと、中級土魔法のピットホールという穴堀りスキルを取得した。


おかげで、財布はただの布袋になってしまったが、後悔はしていない。


むしろ、鑑定系のスキルを後々手に入れれば、鑑定と知識とアイテムボックスで貿易でもすればお金儲けがなど楽に出来そうだからだ。


だから今は、一心不乱に知識を吸収することに集中している。


そう、全てを忘れる様に…


行き帰りの街中で、


「マリアーナ姫が婚約したらしいぜ!」


との噂を耳にしたとしても、


『はい、はい、良かった、良かった。』


と思う程度で、もう、暇な貴族の遊びに付き合うのは、まっぴらごめんなので、関わりたくないと、無視している。


もう、今は一刻も早く装備が仕上がるのが待ち遠しい。


帝都に来て一番の後悔は皇帝陛下に謁見など、平民に似合わないイベントに参加したことだ。


とっとと帝都から出て行かないと、益々俺はダークサイドに落ちて行き、黒い鎧でシュコー、シュコーと言いながら息子と斬り合う未来に進みそうだ…


しかし、そんなある日館に帰ると部屋の中に


『明日には装備が出来るぞ。』


とタッグさんからのメモが有った。


やったー!もう、帝都に用は無くなったぞ!!と、久しぶりに心からの笑顔になる俺に


『少し安心したでやんす…』


とガタ郎が呟いていた。


…心配させていたようだ…反省…



そして、翌日…

なんか気色の悪いくらい笑顔の王様達の見守る中で、装備の御披露目が始まった。


タッグさんが、


「ウォッホン、まずは私の作品から、ミスリルとサンダードラゴンの爪を使った片刃の剣で、〈耐久力〉と、〈切れ味〉に、〈修繕〉スキルと、固有スキル〈飛爪〉、それと固有魔法〈サンダー〉に、気合いを入れて作ったので、追加で〈武器速度上昇〉も付与された逸品…〈雷鳴剣〉と名付けました。」


と紹介すると、わーっと拍手が起こった…何か王様まで必死だ。


続いてビューティーさんが、


「私は、ミスリルと宝珠を使い、腕輪を2つ作りました。

1つは、ミスリルと宝珠の魔力の腕輪で、3つの宝珠は魔力タンクとして、しかも、〈魔力上昇〉と〈魔法防御力上昇〉が付いています。

もう1つは、ミスリルの守りの腕輪です。

魔力を流せば約3分〈防御力上昇の加護〉が発動し、クールタイム30分です。

その他、〈即死無効〉と〈状態異常軽減〉の高性能な腕輪です。」


と発表すると、また拍手が起こるが、もう、ガヤを無視でいく…


しかし、全部想像以上だ…すばらしい。


最後にペアさんが、


「アタシも付与をがんばりました。

魔鉱鉄の鎧シリーズには、全て〈耐久力〉と〈防御力上昇〉が付与してあります。

魔鉱鉄の盾には夫にミスリルコートを施してもらい、〈重さ軽減〉と〈耐久力〉〈防御力上昇〉に〈衝撃軽減〉が付与してあります。

そして、魔鉱鉄のスコップとツルハシには〈作業効率上昇〉と〈耐久力〉を付与して、魔鉱鉄の斧には〈耐久力〉と固有スキル〈大木斬〉という草や木の魔物に大ダメージを与えるスキルと、魔鉱鉄の槍には〈耐久力〉と〈貫通力上昇〉が付与されています。

ポルタ君、これで冒険に、打ち込んで…失恋を忘れて下さい…」


と、ペアさんは涙ながらに抱きしめてくれた。


何故かゴング爺さん達も、


「ワシらの知らない間に…辛かったろう…」


と、俺を慰める…

王様はうん、うんと頷き、


「よーし、今夜はパーティーにしよう!」


と…


「なんで、俺が、フラレた事になってんだよぉぉぉぉぉぉ!!!」


と叫ぶ俺を皆、可哀想な子を見る目で生暖かく見つめている。


もう、穴が有ったら入りたい…なんなら、今この場でピットホールで穴を空けて入りたいよ…最悪だ!…最悪な気分だ!!


読んでいただき有り難うございます。

頑張って投稿しますので応援ヨロシクお願いします。


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