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仲間になりたそうに見ないで下さい  作者: ヒコしろう


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第19話 新しい装備の性能

やっと解放された…

お茶会で、王様達は馬車の話で持ちきりだった。


やはり、お貴族様方も馬車での長旅が苦痛だったらしくて、春先迄に、国の鍛冶師や木工職人などに指示を出して、ガイナッツ王国内の貴族や騎士団の馬車を板バネ式の馬車にする計画らしい。


『見回しただけでも十人以上いる…だから不労所得で、小金貨一枚は、確定か?…まいどありぃ~』


みたいな事を考えて現実逃避していると、


「如何にしてあの様な閃きを?」


と、遂に一番聞かれたくない質問がきた。


「前世です。」とは言えないし、言ったところで…信じてはもらえないだろう…

なので、俺は苦し紛れに、


「生まれ育った田舎の町から帝都を目指して旅をしている最中に馬車の揺れからくる、あまりの腰やお尻、背中の痛みに悩み、毎日の様に何とかして欲しいと願っておりましたら、夢の中で、とある男性に、どうしてもなら、こんな感じの馬車を作りなさいと…」


と、嘘を言ってしまった。


『神様ごめんなさい…』


すると、お貴族様の1人が興奮し、


「どの様な方でした…そのとある男性は?!」


と俺に質問し、俺は、


「えーっと、結構普通の格好で、少し頭の毛が薄めの優しそうなおじさんでしたよ。」


と…ギリ、嘘は言ってません、あまり服装に頓着しない、車大好き、M字ハゲをこじらせ過ぎてチョンマゲみたいな頭の技術の谷口先生から教わりました。


と、自分に言い聞かせながら切り抜けると、


「おぉ、知恵の神の姿そのままではないか!」


と皆さんがザワザワしだす。


『谷口先生…異世界で神様っぽいと言われてますよ…』


と、教科担任と知恵の神様の外見の一致のおかげで他のお貴族様からも、


「あの馬車の腰に響かない椅子は?」


と聞かれて、


「それも別の日に…」


と、すべて谷口先生の仕業にして俺が答えると、


「何度も、夢の中で知恵を…本当に使徒様かも…」


と、誰かが言い出してからはもう…教会の人が呼ばれ、何か話をしたと思えば、王様が、


「過去に夢の中で神からの言葉を聞いた者がいると教会の者も申しておった。

ポルタ君は、本当に使徒様かも…

我が国は使徒様を牢屋に…」


とブツブツ言い出して、お貴族様達まで、どうしよう?どうしよう?と慌て出し、もう大変だった。


どっと老け込んだ気分だ…


ムスッとしながら馬車の窓から外を見ている俺に、ボルトさんが、


「だから、ゴメンって、本当ならモンドールの奴の報告だけだったけど、数日前の馬車の試乗会があったから…

ほら、皆、ポルタ君に会いたいと…」


と俺のご機嫌を取ろうと必死だ。


俺は、ムスッとしたまま、


「王様に会うなら会うで先に言って欲しいです。

騙し討ちみたいに…

寄せ集めのいつもの装備じゃなくて、もう少しマシな格好とか…何より心の準備が…」


と文句を言ってやった。


すると、ボルトさんは、


「怒らないでくれよ、俺も王様からの命令で、仕方なくだよ。

ポルタの驚く顔を少し楽しみにはしてたけど…

絶対俺のアイデアでは無いから…機嫌を直してくれよ使徒様。」


と、半笑いで言っている。


『絶対ボルトさんもノリノリだったんだろう…』


俺は、呆れながら、


「もう良いですよ。

次回からは、ちゃんと言ってくださいね。

俺なんか、王様を見た瞬間にブレイブハートが発動したんだから。

命の危機的状態とスキルが判断したんだからね…あと、使徒様って呼ばないで!」


と抗議したが、ボルトさんは、


「ふふっ、ポルタ君は、謁見の間にビビッてブレイブハートが発動したのかい?!」


と笑われた…


「えぇ、もう、ビビり散らかしましたよ!」


と膨れたまま宿まで送られた。


もう、その日は晩御飯も食べずに布団にくるまって寝た…

数日ウダウダしながら過ごし、たまにゴング爺さんの工房に顔を出す生活を続ける。


ギルマスのクレモンズさんに会うたびに、


「ポルタくん?依頼は…」


と言われて心配される。


『確かに、冒険者が働かないのはギルマスとしても心配だよね…』


と考えた俺は、


「来週ぐらいから頑張ります。」


と、働きたくない奴の言い訳みたいなセリフで返事をして、逆にギルマスを不安にさせた様で、


「やっぱり、あれだよね…

牢屋に入れられて怖いかったから、冒険は…」


と、暗い顔でブツブツ言いながらギルドマスタールームに帰って行った。


いやいや、防具が出来たら頑張りますから…と、思いながら俺は、心配性のクレモンズさんを見送った。


そんな日々を過ごしていると、ようやく装備が出来上がった。


ゴング爺さんの工房に行くと、爺さんは何故かまたギンギンの目で俺を待っていた。


俺が、着くなり、


「待っとったぞポルタ、見てくれ、中々の出来映えじゃぞ!」


と自慢してくれる。


鉄と魔水晶で作った魔鉱鉄と、アーマーリザードの皮で調節可能で動き易くて頑丈な見た目シンプルな軽めの鎧だった。


ゴング爺さんは、


「魔鉱鉄は魔力を纏わせると魔法を軽減したり、少し頑丈に成ったりするから、いざという時は魔力を流せ。」


と言いながら装備を着せてくれ、装備し終わると、うんうんと頷き満足そうにしている。


そして、ゴング爺さんは、材料が余ったからと、盾や 槍や斧に弓は解るが、ナタやツルハシ、スコップまで作ってくれていた。


黒っぽい魔鉱鉄の装備を身に纏うと、


『アッシとお揃いでやんす。』


と影の中からガタ郎が嬉しそうな声が聞こえる。


別にお揃いでは無いと思うが…

まぁ、嬉しそうだから、そういう事にしておくか…

装備が完成したので、やっと冒険者活動を再開するのだが、クレモンズさんに、


「大丈夫なのかい?もう大丈夫なのかい?!」


と、休んでいても心配され、再開したらしたで、やたら心配された。


心配性のお爺ちゃんギルマスに、


「頑張ってきまぁーす。」


と挨拶をして依頼をこなしに出発した。


「見せてもらおうか?ゴング爺さんの新型の性能とやらを…」


と、やってきたのがフレアウルフの撃退と言う、炎魔法を放つ狼の群れが牧場の羊を狙っているので討伐が無理でも撃退して欲しいとの依頼だ。


牧場主に話を聞いて、フレアウルフが来る山の方に向かうと、索敵で、山の麓の洞窟に、30頭ほどの群れの反応が有った。


洞窟の前には見張りが二頭うろついている。


俺は、ゴング爺さん作の弓を構えて、岩影からターゲットの赤い点を頼りに、ストン、ストンと二匹を倒す。


弓の威力が凄い気がする…

一撃で、ひと鳴きする暇も与えずに倒された二頭だが、何かの胸騒ぎでもしたのか、次なる一頭が洞窟から現れた。


俺は直ぐ様に矢を放ち眉間を撃ち抜く。


少しビビって洞窟の側で倒した為に、続く一団に気づかれてしまい、


「ウォーン!」


と警報の遠吠えを上げさせてしまった為に、みるみる洞窟から湧いてくる狼に、ヤケクソ気味に矢を放ち、数頭を倒したが、すぐに殺る気バリバリの20頭ほどの群が配置につき俺を睨んでいる。


『おっ、殺る気でやんすね、受けて立つでやんすよ。』


とガタ郎の、殺る気スイッチもオンになったので、俺もアイテムボックスからダンジョン産の魔鉱鉄の片手剣とゴング爺さん作の盾に持ち替えて構える。


俺は、ガタ郎に、


「少し体のデカい、偉そうな奴がリーダーだ。

アイツを倒せば群れは統率が取れなくなる。

だから、それまでは群れの連携に注意しながら動く様に!」


と、指示を出すと、


『了解でやんす。』と、ウチの暗殺クワガタが、戦場へと飛び立ち、俺も負けじと盾を構えて走りだす。


リーダーの指示で炎魔法のファイアーボールが放たれ、俺に向かって飛んでくるが、若干ユックリに感じる。


盾に魔力を流し、魔法をいなし、魔力を纏わせた片手剣で魔法を切り裂き打ち消す。


しかし、20頭の魔法攻撃をさばききれずに、脇腹に一撃食らい、炎が燃え上がる…

咄嗟に鎧に魔力を流したので、火傷をするかというほどクソ熱かったが、ポーションの厄介にならないで済む程度のダメージで助かった。


魔法を少し軽減する能力だけでここまで心強いとは…と、驚きながらも、リーダーを目指して俺は進むと、ガタ郎が群れの真ん中辺りの影からいきなり飛び出して敵を撹乱してくれている。


この隙に俺は、リーダーに駆け寄り一撃を放つ。


頭の良いリーダーはギリギリ片手剣の間合いをかわしたつもりだろうが、飛爪を発動した一撃は、紙一重で避けた場所も十分間合い内…


余裕で避けた思い、ニヤリとほくそ笑むリーダー狼は、ニヤケ顔のままスーッと首が滑り落ちる。


胴体は血飛沫を撒き散らしながら倒れ、周りの手下は、リーダーの呆気ない最後に動揺し始める。


ここぞとばかりに、ガタ郎が飛び回り、首チョンパしているなか、数頭の狼が果敢にも俺に襲いかるが、リーダーを失って連携などまるでない攻撃は、飛爪を使うまでもなく返り討ちにできた。


単発の魔法は盾で打ち落とし、噛みついてきてもゴング爺さんの鎧は傷すら付かない。


次第に狼は戦意を失うが、ガタ郎さんは許してくれない…結局、俺達は群を全滅させて依頼終了となった。


獲物をアイテムボックスにしまい、牧場の依頼主に報告を済ませてから街まで歩いて帰る途中で雪がちらつき始めた…


『ガイナッツはだいぶ暖かい地方だが、雪も降るんだな…』


と、思いながら、肩から下げたマジックバッグからフード付きマントを出して羽織ってまた歩きだす。


アイテムボックスは便利なスキルだが、俺しか使えないので、食糧と、着替えの一部をマジックバッグに入れている。


たまにガタ郎が顎を突っ込みリンゴやミカンを取り出して食べる為だ。


ガタ郎は大きいとはいえ虫魔物、鞄にすっぽり入らないか心配になるが、顎以上は入らないようで、やはり生き物は入れられないのだな…と感心していたが、ガタ郎は、


『リンゴが取り出せたら、入れようがどうだろうが、関係ないでやんす。』


と、言っていた。


ほぼ、マジックバッグはガタ郎のオヤツ入れだが、屋台の料理をしまうのにはマジックバッグの方が勝手が良いのだ。


白く積もり始める道を進み冒険者ギルドを目指す…

しかし、ようやく冒険者の仕事が始められたが、また依頼が少なくなる季節なのかな…?

読んでいただき有り難うございます。

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