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悪役令嬢の父の愛と日常  作者:


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28話 夏の思い出

 そうだ! 後で日本に戻ったらこの写真をプリントアウトして額装しよう!


 画家の腕より忠実に映し出すこの文明の利器で!

 そうと決まれば!


「アレンシア、君も日傘をさしたままでかまわないからひまわりの前に立ってくれ、伯爵夫人もよろしければ」

「全く、あなたったら急になんです?」


 ゲルのようなテントの中で伯爵夫人とお茶を飲んでいた妻に声をかけたら、彼女は訝しげな顔をした。



「この魔道具で素敵な夏の思い出記念品が作れるからさ」


実は魔道具ではなくタブレットだけど、説明が面倒なので魔道具ってことにする。


「よくわかりませんが、せっかくですので公爵様のおっしゃるとおりに参りましょう、ね、公爵夫人?」


 伯爵夫人も俺の言葉を後押しするように柔らかな微笑みを浮かべて言ってくれたので、2人のレディをテントから連れ出す事に成功し、それからいい感じの撮影スポットを見つけた。


「あー、そこ、そこに二人で並んで立ってくれ。うんいい感じだ、しばし瞬きをしないでくれ」

「「えっ!?」」


「はい、撮影前にな、さん、にー、いち、ゼロ! って言うからな、このゼロ!の後で目をちゃんと開けておいてくれ、それまでは閉じててもいい」

「はあ? あなたったら、ずいぶん 面倒なことをさせますのね?」


「その今の美しさを永遠にとどめる為だから、少しだけ我慢してくれ!」

「!? 美しさを!?」

「ま、まあ、公爵様ったら」


 二人の夫人が照れている。でも、今はそれどころではない。俺は撮影に集中している。


「いいか、ゼロで笑顔を作って、目をしっかり開けるんだぞ、自分が1番美しく見えるように」

「し、仕方ないので早くしてください」

「いつでもどうぞ!」



 二人とも覚悟が出来たようなので、言われたとおりにしてくれて何とか撮れた。

 少し笑顔が硬いが、まぁ、それはそれで他のタイミングでも撮るからいいか。


よく世のお母さんは自分は子供の写真を沢山撮るけど、自分とのツーショットは撮れてないって、さみしいって言ってるからな。SNSとかで見た。

だからここは旦那側が撮影してやんないとだ。



「明日はよろしければ海辺の別荘にご案内いたしますね」


海!!


「それはいいですね、夏らしくて」


 ひまわり畑の次に海にも行けるなんて、サイコ~だな! スローライフ感がある!


「ちなみに、夜になれば当家から近い川でホタルも見れますが……」

「なんと、素晴らしい。ホタルまで見れるとは」


ワクワクするぞ。少年時代に戻ったかのようだ。


「はい、ですけれど、虫が苦手な方には不評なんですが」



 伯爵夫人は妻のアレンシアの興味なさげなポーカーフェイスを見て、少し控えめな感じになってしまってる。



「ホタルを捕まえる訳でなく、少し離れた場所であの光ってる様を見るだけですから、私は大丈夫です。ミルシェラも私と光る虫を見るかい?」

「むし? こわくない?」


 ん? 虫と聞いて少し怯んでいるのか?



「なんにも怖くないよ、カナブンみたいに人間に体当たりして来ないし、ホタルは恋の相手を探してるだけだから」

「こい?」

「好きな相手だよ、お嫁さんを探してる」


「じゃあ、みる、あ、みましゅ」


 アレンシアの視線を感じて言い直すミルシェラ。

 そんな訳で、夜には子供達と私とでホタル鑑賞をする事になった。アレンシアはホタルは見なくていいと、断ったので。


 夜にホタルとの撮影は難しいから、ま、いいけどな。撮影はせず、この瞳でだけしっかり見物しよう、他の光はホタルの婚活の邪魔になるらしいからな。


「ひとまず当家まで一旦戻りましょう」


我々は伯爵夫人の言葉に頷いた。

とりま次の予定はホタル鑑賞、そして晩餐会、明日以降が海だ。


明日も 晴れるといいな。


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― 新着の感想 ―
蛍は、爺やも子供のころに見ただけで最近はほとんど見る機会がなくなりましたね。秋口には、赤とんぼの群れが爺やのマンションを通ります。孫は、カブトムシが大好きで、飼ってましたよ!でも、うちのかみさんは、大…
虫が苦手ならお猫様が来たら下手すると朝、阿鼻叫喚な感じになりそう・・・ 鈴虫やコオロギなんかは(少数なら)良い音出すけど、見た目がな〜 逆に土に紛れて見えない事にかけるのもありか?
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