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エッセイ

大介、トットちゃんを観に行く

作者: 山本大介

 40年近くぶりにトットちゃんに会いに行く。

 

 小学校低学年の子どもにしては分厚い「窓ぎわのトットちゃん」を母から手渡されました。

「これ面白いから読んでみなさい」

 と、40年近く前になりますか、母がどういう意図で私に渡したかは定かではありませんが、きっとなにか思うところがあったのでしょう。

 私も結構、独特な子どもでしたから、母はこの本にシンパシーを感じたのかも(笑)。

 表紙には、いわさきちひろさんの可愛い絵が描かれていました。

 私はぺらりとページをめくります。

 当時も本好きでしたが、こんな分厚い本読めるかなと思っていたような・・・。

 だけど、母の読んで欲しい熱い眼差しに、私は頑張って読むことにしました(笑)。

 で、いざ読んでみると、それはそれは夢中になりましたね。

 なんか、近親感や思うところがあったのかも。

 長い時間をかけて読みふけります。

 ふう。

 読後、息をつきました。

 たしか、3日ぐらいかけて読んだと思います。

 その後、母にめっちゃこの本の事、めっちゃ喋ったと思います。

 凄く良かったのです。

 この本を読んで、ちょっとお兄ちゃんになったような気もしました。

 そう、心に刺さった一冊なのです。




 で、今日は、ずいぶん久しぶりにトットちゃんに会いに行くのです。

 現在公開中のアニメ映画「窓ぎわのトットちゃん」ですね。

 公開もしばらく経っており観客はまばらでした。

 ゆったり没頭出来そうです。

 上映が開始されると、可愛らしいトットちゃんがスクリーンに現れました。


 むむ、大人も子どもも、ほっぺが赤くて、唇が分厚いような・・・目のところアイシャドウっぽい・・・というツッコミはずいぶんされているのかな(笑)。

 昭和15年・・・第二次世界大戦が本格的にはじまる前の話だったのかあ、黒柳さん今90歳だもんね・・・改めて知る時代背景にそっかあと納得しました。


 当時のトットちゃんは集中力が散漫でじっとしてられない、今でいう多動なのかなあ。

前の学校では浮いた存在で、担任から三下り半をつきけられて、トモエ学園にやってくるところからはじまります。

 そうそう、そうやった~しっかし、お母さんもトットちゃんハイカラやね~。

 まだ大らかな時代やったやなあと。


 トモエ学園をお母さんと訪れ、電車の教室に心を奪われたトットちゃんは、即この学園の生徒になりたいと思いました。

 そりゃあね、誰だって電車の教室は憧れるよね。

 しっかし、慌しく動く走る3歳児並みの突発的行動、親や先生、大人はずいぶん心配したでしょうね。

 小林校長先生との面談は、おそらくトットちゃんは午前中ずっと喋りっぱなしだったと思います。

 しかも話が急にあっちゃこっちゃで支離滅裂、小さい子ってそうですよね。

 それを聴き続ける校長先生は出来た人です。

 教育方針も当時からすれば異端の革新的なやり方でした。

 どの教科も好きにやっていいってマジ?

 新しい電車がやって来るから、夜、あったかい格好してきていいって、すばらやん。

 自主性を重んじる、悪くいえば放任主義・・・当時にそんな学校があったとは驚きです。

 障害のある子も一緒に同じことをする。

 えっ、リトミックがこの時代に・・・。

 先生方も悩みながら、子どもたちに接しています。

 私もそんな学校に行ってみたかったなんて(笑)。


 ただ、トットちゃんの後先を考えない行動は一歩間違えば危険そのものですよね。

 お友だちと木にのぼるシーンは、せめて先生くらい呼べよと。

 2人だけの秘密・・・にしてはちと怖かったなあ。

 まさに暴走機関車なのです(笑)。

 あと、どうやって降りたんだろう。


 サイフを落として便所の汲み取りを探すのあったなあ。

 プールは全裸かあ・・・みな同じか。

 ひよこ・・・確かに夜店のひよこは弱いもんね。

 ワシらの頃はスプレー(だろう)カラーリングされているひよこもあったもんなあ。

 そう命の大切さを学ぶんですね。

 お父さんの楽団の練習場まで、友だちと暴走ドライブ・・・ヒヤヒヤだじぇい。

 子どもの一生懸命さは、ちよっとした優しさが友だちを傷つけたり・・・ありますよね。


 ついに近づく戦争の影がトットちゃんたち子どもたちにも・・・。

 それまでのパパ、ママの呼び方からお父様、お母様に・・・服装もあんなにハイカラだったのが質素になっていきます。

 そして大切な友人の死、トットちゃんも少しずつ周りがみえはじめて、お姉ちゃんになっていきます。

 やっぱり環境や人の出会いって大事だなあと。

 トットちゃん家族が疎開に行った後、東京大空襲でトモエ学園は燃えてしまいます。

 ・・・まさに激動の時代ですね。


 そんな時代にトットちゃんは、周りの人たちに恵まれます。

 理解のある両親。

 校長先生、トモエ学園。

 友だち。

きっと今より、トットちゃんが生きた時代は難しかったと思います。

 生まれた環境が違っていたらと思うと、ちょっぴりゾッとします。

 ねぇ(笑)。

 だけど、やっぱり素晴しいお話でした。


 鑑賞後、ほっこりとした私は、イオンのフードエリアで、てりやきモスバーガーセットを食べながら、トットちゃんの思い出に浸るのでした。

 


 そうでしたね。

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