そもそもの発端
「……思いなら、既に十分伝わっています。ですが、それを認めるわけにはいかないのです。私には」
「何故?」
「私は、ルシファー召喚の白紙の契約書を回収するという任務に着いて日本にやってきました。既に誰かに使用されている場合は、使用者を消すという使命も同時に。貴方に消えてもらうことが、私の仕事です。どうやって貴方のような学生が悪魔王の契約書を手に入れたかはわかりませんが、貴方のような、バックボーンも何もない個人が拾ったのは幸運でした。貴方さえ殺せば、全て丸く収まります。そしてそもそも、貴方は危険です。世界を混沌に堕とす可能性すらある」
「おい悪魔。なんか知らない単語出てきたぞ。あとなんか僕凄い悪いやつみたいに言われたんだけどどう思う?」
「いや、誤解だろうな。白紙の契約書なんて使われてないしな、俺。世界を混沌に堕とす危険性は、まあ十分にあるけどさ」
「なんですって? 白紙の契約書を使っていない?」
「そりゃ契約書はちゃんと書いてもらったさ。でもそんなのは呼び出されたあとの話だ。下手な手順だったが古式ゆかしい悪魔の召喚法によって呼び出され、普通に俺が用意した契約書にサインしてもらって俺は健司と契約したんだ。白紙の契約書なんて無茶苦茶な代物を使われて、誰が素直にそいつの友だちになんかなるかってんだよ」
「つまり、僕を殺しても君の仕事は終わらないわけだ。よかったよかった。これで僕も、気兼ねなく友達に協力できるってもんだ」




