表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/15

黒猫作戦

 健司が用意した服はすべて失われた。

 後に残るのは、健司と悪魔、そして全裸の守護天使。

 

「さて、フェイズ2だ。追撃といこう。こっからはマスターも結構大変だぜ。なんたって細かいコントロールが大事だからな」

「わかっているさ」


 黒猫を呼び出す。動物霊だった。もはや意思などほとんどない。だから、しっかりとコントロールしてやれば、健司の思うとおりに動く。


 な~ご、な~ご。


 キスティの目の前で、可愛らしさを振り撒く黒猫の霊。


「ぶっちゃけあの動きをマスターがやらせてるのかと考えるとキモい」

「言うな。いい年して人形遊びとか、別にいいじゃないか。許してくれよそのくらい」

「いや、許す許さないとかじゃなくて、純然たるキモさというものがだな」

「うるさい黙れ」



 キスティは目の前に現れた動物霊に対して警戒する。可愛い。だが、間違いなく罠だった。そして罠というものは、気にしてしまった時点で負けなのだ。

 疑心暗鬼を生ず。キスティは使役する天使を呼び、命令を下す。


「アリエル。防護壁を展開しながら私の前へ。リリエルは警戒態勢のまま。エリエル、この黒猫の解析を」

「了解です、マスター」

「可愛いですね。撃っていいですか?」

「撃つのは調べてからにしなさい、リリエル」



「さて、あの女の子たちの陣営、前回はじっくり見ることが出来なかったが。見たところ、堕天使が3体、だな。それぞれ別個に契約してるんだろうかね。結構なこった」

「何とかなりそうか?」

「あの砲撃は、マスターごと巻き込んじまうだろうからマスターに接近すればなんとかなる。防護壁を張ってる奴はありゃあ俺の部下の一人だな。なんとか説得してみる。もう一人は解析担当ってところか。まだ戦力を隠してるのかもしれねえし、なんとも言えねえってのが本音だな。なにより守護天使が居ないのが気になる。こんな商売やってんだ、切り札を何枚持ってるかなんて見当も付かねえぜ」

「それにしてもみんな可愛いな。お友達になりたいもんだ」

「ああ、まったくだぜ。狙ってみるかい、マスター?」

「もちろん。でも、いけるのか?」


「天使の三分の一を魅了した俺の力を信じな」


「よっぽど人望なかったんだな、お前の上司」

「いやでも、立派なお方だったよ実際。おっと、動きが出たぞ」



「その動物霊の解析が出ました。人語に訳します。『撃たないで。殺さないで。私は貴方の敵ではありません』」

「ということは、敵ですわね」


 エリエルの報告に、苦虫を噛み潰したような表情でキスティは答える。


「撃ちますか、マスター」

「いいえ、必要ないわ。どうせ撃っても、また新しいのがやってくるだけよ。それよりも、まんまと術中に嵌ってしまっている。余計な時間を取ってしまったわ」

「こうも妖霧が濃くては、敵の正確な位置が把握できませんね」


「『おっぱい柔らかいにゃあ。ぺろぺろしたいにゃあ。繁殖したいにゃあ』」


「その動物霊の解析はもういいわ。放っておきなさい」

「いえ、これは動物霊の思念そのものではありません。それを操っている者、おそらくは中島健司の思考が混じっています」

「追跡は可能?」

「はい。どうやら近くにいるようです」

「舐めた真似を。ですが近くにいるのでしたら丁度いい頃合いですわ。総員、索敵開始!」


 リリエル・アリエル・エリエルの他に、3つの影が周囲を見渡すようにして散開した。

 精神防壁の残り時間、あと3時間。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ