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アースドラゴンと共に自宅まで戻った。道中でイエティとアースドラゴンの戦いが勃発したりしたけど、割愛する。
「ただいま、セバスチャン」
「おかえりなさいませ、コメット様。おめでとうございます。アースドラゴンを無事にテイム出来たようですね」
「ああ、アースドラゴンはセバスチャンに任せる。有効活用してくれ」
「承りました。ドラゴンの素材は貴重な上に需要も高いですからね」
「先生?なんだかこの人恐いんでやすが……」
「たしかに恐いときもあるけど大丈夫、死ぬ事はないさ。ロックドラゴンも居るしな」
「アニキもここにいるんでやすか!?」
「ああ、後で挨拶しに行くといい。俺はすぐにシャトラインに行って防具の作成依頼をしてくるから。セバスチャンあとは任せた!」
「はい、いってらっしゃいませ」
シャトラインのやる気の無い武器防具屋に急ぐ。
「こんにちは、おっちゃん居るかい?」
「また来たのか」
「この前のアースドラゴンの革鎧を作った職人を教えてください」
「なんでそんなことを知りたいんだ?」
「鎧以外の部位の防具を作ってもらおうと思って」
「ふむ、本来は教えないんだが、そういう理由ならいいだろう。俺だよ」
「え?」
「このラボーが作ったって言ったんだ。素材はあるんだろ?見せてみろ」
鱗が入った袋を手渡す。
「こんなに大量にしかも状態もいいなんて、どうやって手に入れた?」
「アースドラゴンから剥ぎ取ったとしか言いようがないんだけど。それで作って貰えますか?」
「いいだろう。ここまでお膳立てされて作らなかったら俺のポリシーに反する」
採寸やデザインなど必要な準備を行った。
「じゃあ頼みます。頃合をみてまた来ます」
そう言って、武器防具屋を出た。防具が出来上がるまで何をしようかな?
防具が出来上がるまで、魔法の研究をしようかな。
魔法の詠唱について考察してみる。
以前ヘレナの火魔法を観察した時に、詠唱が始まると同時に魔力の中心に穴が見えた。ここではマジックホールと呼ぶことにする。
詠唱は魔力に対して属性と性質を与えるものだとヘレナから教わったし、魔道書にもそう書かれている。
まずは仮説を立ててみる。もしかしたら魔力に対して属性と性質を与えているのは詠唱ではなくマジックホールなのではないか。
もしも、詠唱以外でマジックホールを作り出すことが出来れば無詠唱が可能になるのではないだろうか?
まずはマジックホールが現れる条件を調べる事にする。
魔力を手に集めて詠唱する。
「火の力よ」
マジックホールが出来上がり魔力が赤く染まる。
魔法名を唱えないと魔力は少しずつ霧散していく。
「ウォーター」
と唱えてみる。魔法は発動しなかった。
最後のトリガーとして「ファイア」という言葉は必要なようだ。
では詠唱の部分はどうだろうか?
魔力を手に集める。詠唱をせずに火属性のマジックホールをイメージする。
マジックホールが出来上がり魔力が赤く染まる。成功だ!
「ファイア」
と魔法名を告げると手のひらから前方にファイアが放たれた。
《スキル:無詠唱1を取得しました》
次は同じ手順で魔力を赤く染めて魔法名を変えてみる。
「ファイアアロー」
前方に小さいファイアが出た。属性は与えられたが、性質は与えられていないようだ。
何度も詠唱をしてファイアとファイアアローのマジックホールの違いを観察した。
OODAループと呼ばれる意思決定と行動に関する理論がある。Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)を繰り返すことで素早く目的を達成することが出来る。
観察の結果、ファイアとファイアアローのマジックホールには形と動きが違うことが分かった。まるで縮小版のファイアアローのような動きをするマジックホールだった。
次はファイアアローのマジックホールの動きをイメージで再現しファイアアローを撃てるか試す。と意思決定する。
次は実行だ。魔力を集めてファイアアローのマジックホールをイメージする。
「ファイアアロー!」
ファイアアローが勢いよく飛んでいき的である木の板を貫き燃やす。
「無詠唱が出来てしまった……」
その後2週間程かけてコメットは既に覚えた魔法のマジックホールを全て覚えて無詠唱で撃てるように練習を行った。




