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転生先が少女漫画の白豚令嬢だった  作者: 桜あげは 
14歳

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54:人間不信とダンスの達人

 その後の私は、リカルドの友人に囲まれてワイワイしながら、数年ぶりに間食をした。

 約二年越しのケーキの味は、非常に甘く美味しい。


(それにしても、露骨すぎるよね)


 私は、リカルドの友人たちを見ながら、複雑な気分になっていた。


(なんか、痩せる前は散々な扱いだったのに……痩せた途端に手のひらを返すようなこの違い)


 ダイエットをしたいと望んだのは自分だけれど、軽く人間不信になりそうだ。

 気付けば、私は会場に置かれていた菓子を次々につまみ、無意識に口に運んでいた。


(ハッ……やばい、ついストレスを食べ物で発散しようと手が伸びてしまった!)


 嫌なことがあった時、食べることで記憶を忘れようとするのは、ブリトニーの悪い癖なのだろう。

 幼かったのでよく覚えていないが、両親が揃って消えた時の私は、辛い気持ちを慰めるように、たくさんのお菓子を食べまくっていたそうだ。


「ブリトニー、先ほどから立ちっぱなしだが、大丈夫か?」

「平気、お祖父様に鍛えられているから」


 この中で、今まで通りに私に接してくれるリカルドだけが信用できる。


(あーあ、リカルドと婚約できたら楽なんだけどな。二度も断られているから難しいよね)


 彼は次男だし、漫画ではマーロウ王太子の取り巻きだった。

 お隣のアスタール伯爵領を継ぐかもしれないという噂はあるものの、真偽のほどは不透明。

 もし、この先彼が王都で生活し続けるのなら、婚約者もいずれは王都で生活することになりそうである。こんな死亡フラグの多い場所で暮らすのは嫌だ。


 しばらくすると、リカルドの友人たちも散っていって、私と彼は再び二人だけになった。

 近くにいた給仕さんに頼んで、お茶を手配してもらい、たくさん置かれている椅子の一つに腰掛ける。


「なあ、ブリトニー」


 少し俯き、ぶっきらぼうな調子でリカルドが口を開く。僅かに彼の耳が赤い。


「ん? 何?」

「その……なんだか、今日はいつもと違って見えるな。なんというか、美人だ」


 なんということでしょう!

 リカルドまで、化粧詐欺に引っかかってしまったようだ。

 しかし、私は友人を化粧詐欺の犠牲にする気はないので、真実を話しておく。


「何を言っているの? 私が美少女に見えるのは、詐欺メイクの力のせいだよ」


 それを聞いたリカルドは、思わず飲みかけた茶を吹き出しそうになった。


「……詐欺?」

「そう、本来の私のすっぴんは、リュゼに比べてパッとしないから。それを、メイクで最大限にカバーしているの」

「いや、だが……それは、化粧だけでなんとかなるものなのか?」

「信じられないなら、今度素顔を見せてあげようか?」


 もはや、リカルドは言葉を失っていた。


「……ま、まあいい。この後、ダンスが始まるのだが、お前はどうする?」

「それなんだけど、私、ダンスはすごく苦手なんだ。昔より、少しはマシになったんだけど、自信がないんだよね。隅っこでじっとしていようかな」


 なんせ、私は過去にダンス教師の足を骨折させた女だ。新たな犠牲者は出したくない。


「じっとしているのは難しいだろうな。お前、変に注目を集めているみたいだし、絶対に声をかけられるぞ」

「うへえ、化粧詐欺なんてするんじゃなかった」


 婚約者候補を探しに来たので、注目されるのは助かるが……ダンスの酷さでフラれる可能性大だった。


「困っているなら、俺が一緒に踊ってやろうか? どちらかというと、ダンスは得意な方だ」

「えっ……? でも、私は本当にダンスが下手だし、足を踏んじゃうかもしれないよ?」

「お前程度に、足を踏まれたりしないから安心しろ。余裕で避けられる」


 ……そんなにダンスが得意なのだろうか?

 彼の言葉を鵜呑みにした私は、助かったとばかりに素直に頷いた。


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