254:採寸!!
私とリカルドはやっとアスタール領へ戻ってきた。
いろいろなことが起きたが、全部解決できてほっとしている。
この日はいよいよ、ドレスの採寸がある。ごくりと喉を鳴らした私は、静かに体重計に乗った。そして……
「痩せた!!」
緩やかに体重は減っていき、なんとか平均的な範囲に収まってくれていた。
今回のダイエットは、さほど苦しくなかった。
全部リカルドのおかげだ。彼の提唱したダイエットが私に合っていたに違いない。
痩せなければならないという強迫観念や、何かに追い立てられるような嫌な気分にはならなかったし、ストレスから暴食に走りそうなときは、リカルドがさりげなく別の方向に誘導してくれた。
「うう、結婚式までこの体をキープしなきゃ」
新たな目標ができてしまったが、当初の希望は叶えられたのでよしとする。
ドレスの採寸は滞りなく進み、試着用の仮ドレスのボタンを、体圧で弾き飛ばすこともなくほっとした。
採寸が終わったので、私はリカルドがいる彼の執務室へ移動する。
リカルドの執務室は、ザ・実用的といった感じ。綺麗に整理整頓されていて、彼の性格がよくわかる空間だ。私はわりと好きである。
東の国から帰ってきてからの彼はずっと忙しく、開けっぱなしの部屋の扉から、部下の人たちがひっきりなしに出入りしていた。
「リカルド~、いる~?」
ひょっこり顔を出すと、一番奥にいたリカルドがさっと立ち上がり、私を出迎えてくれた。
「ブリトニー、お疲れ様。ドレスの採寸は終わったのか?」
「うん。リカルドのおかげで、いい感じに採寸できたよ。改めてありがとう」
「礼を言われるほどのことじゃない。ブリトニーが頑張ったから痩せたんだ」
「今回はそれほど『頑張った!』という感じじゃないよ。いつもみたいに無理せず、苦しまずに痩せられた。それはリカルドが協力してくれたからだよ」
気恥ずかしい気分になりながらも、私は感謝の気持ちを彼に伝える。
リカルドは愛おしげに私を見つめていた。
「一度、休憩にしよう」
部下たちに指示を出したリカルドは、私を連れて庭に向かう。
温暖なアスタール領では、一年中何かの花が咲いている。
「結婚式が終わったら、アンジェラ様たちと一緒に催しの準備もしなきゃだね」
「ああ、また賑やかになりそうだ」
私たちは顔を見合わせ微笑み合った。












