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転生先が少女漫画の白豚令嬢だった  作者: 桜あげは 
18歳

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243/259

243:多すぎる宿題が出た

「ブリトニー嬢、もしかして……暗号が解けたのか!?」

「あ、あの、その」

「アクセルのように、強引なことはしないと約束する。間違っていても構わない。どうか、内容を教えてもらえないだろうか」

「ええと……プライベートを綴った日記のように見受けられました」


 私はやんわりと、いろいろ端折って日記の内容を伝える。

 

「な、なるほど、了解した。それでは、こちらはどうだ?」


 そう言いつつ、グレイソンは分厚いノートを三冊取り出した。


(こ、こんなにたくさん、懐に~? ぜったい重いよね?)

 

 見るからに武人ぽいグレイソンのことだから、普段からこうして鍛えているのかもしれない。

 私は受け取ったノートに目を走らせる。


「こちらは、目標ノートのようですね。野望めいた内容が綴られています。残りは、体の仕組みや病状についての記録と、薬についての記録です」

「助かる。このようなノートがレニの部屋には大量に残っていて、現在はアクセルに頼まれて私が保管している。それで、相談なのだが……」

「なんでしょう」


 嫌な予感を覚えつつ、私はグレイソンを見た。


「これらを私にもわかる言葉で書き写してはもらえないだろうか。もちろん、ただでとは言わない」

「この量を、ですか?」


 今あるノート、めちゃくちゃ分厚いんですけど?

 

「いや、西の国にあるノートも送りたい。書き写すのは、医療に関する本だけでいい」


 ノロケ日記を写せと言われなくてホッとした……ではなくて!


「ちょっと量が多いのですが!?」

「急げとは言わないし、アスタール領でもノートを活用してくれていい。二国間の商品取り引きの便宜も図ろう。それに、これらを引き受けてくれたなら、私のほうでアクセルを強制帰国させよう。二度と中央の国へ立ち入らせないと約束する」


 王子の権限で、強制帰国まで可能だとは。

 

「……もっと早く、アクセル様を帰して欲しかったです」


 もにょもにょ言いつつ、結局は引き受けるしかない状況に陥る私だった。

 ついでに、もう一つの懸念事項を質問しておく。


「あの、殿下は東の国の病気について、何かご存じありませんか?」

「伝染病のことか? うちの国でも患者が出たようだ。東の国の土木事業を見学していた者だが」

「中央の国と同じみたいですね」

「とりあえず隔離措置をとっているが……」

「原因は水なので、人から人への感染はないみたいですよ。現にムーア公爵が同じ状況ですが、家族は誰一人感染していないですから」

「そうか。ということは、変な水でも飲んだのだろうか?」

「飲み水と言うより、肌を出した状態で川に入ったら駄目みたいです。それ以上詳しくはわかりません」

「なるほど、不可解だな。水に問題があるのか、危険な生物が生息しているのか。我々は調査隊を派遣するつもりだが、素足で川に入らないよう忠告しておこう。情報に感謝する」

「いえいえ、できれば翻訳するノートの量を減らし……」

「よろしく頼んだ。もちろん、礼はさらに弾ませてもらう」

 

 グレイソン殿下は押しの強い笑みを浮かべ、力強く頭を下げた。


(ええ~……そんなことされたら、ぜったいに断れないじゃん!)


 渋くてまっすぐで天然なグレイソン王子は、意外にしたたかだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] いや断ろうよブリトニー… 毎度のことながらいいように利用されてるなあ。 婚約者がいる令嬢に言い寄るような貴族なんて国の恥なんだから、王子たるもの責任持って即刻送還すべし。 交渉材料にするなん…
[一言] 「気持ち」はわかるんだけど、君のことを物だと思ってるよ、君に自由意思が許されるなんて思ってないよという執拗に態度を取り続けることによって、「知識」を別けて貰おうとするのはさっぱりわからんなぁ…
[一言] 日本住血吸虫症かな? あれ対策くっそムズいが…まあ影響は中間宿主が存在する特定地域だけだし主人公は介入しないのかな
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