236:王都で再会する令嬢たち
医療の話をリカルドに通し、毎日忙しく動いている私の元へ、アンジェラから手紙が来た。曰く、久しぶりに、城でお茶会を開きましょうとのこと。
おそらく、王都にいる令嬢仲間のリリーやエレフィス、ついでにメリルを気遣っての開催かと思う。
集まるメンバーは、この三人とアンジェラとノーラ、そして私みたいだ。
「うーん、久しぶりに皆に会いたい気持ちはあるけれど」
悩んでいると、リカルドが後押ししてくれた。
「ちょうど、俺もマーロウ殿下と話したいことがある。一緒に行くか?」
「問題なければ行きたい!」
こうして、私は友人たちに会いに行けることになった。
最近会ったのは、アンジェラとメリルだけなので、他のメンバーと話せるのは嬉しい。
エレフィスは王太子妃の最有力候補として王妃教育を極めているようだし、ノーラは暫定の領主としてキリキリ働いているようだ。たまに手紙が来るけれど、ストレスが多いみたいで彼女の胃が心配である。
リリーはメリルの侍女として西の国へ向かうらしいけれど、城で新たな汚部屋を生産していないか心配だ。
馬車の中で「前世の薬を広めるついでに、医療以外の教育機関も設立できないか」という話をしつつ、王都へ向かった。
以前のように変な輩が現れることもなく、道中は平和だった。前のあれは一体、なんだったのだろうか……謎である。
リカルドと私が城へ到着すると、エレフィスとメリル、リリーが出迎えてくれた。
「ブリトニー様!」
駆け寄ってくるリリーは可愛い……
エレフィスはまた大きくなっている。
(マーロウ様の仕業だな)
けれど、彼女は嬉しそうなので、彼と仲良く充実した日々を送れているみたいだ。
しばらくして、アンジェラやノーラも到着した。
ノーラの馬車からは……
「あれっ? ルーカス様!?」
意外すぎる人物が降りてきた。
(なんで、彼がノーラと一緒にいるの!? どういう組み合わせ!? そういえば……)
以前、ルーカスは「守りたい女性が現れた」とか、「前向きに行動してみようと思う」とか、なんとか話していた気がする。
(ルーカス様の守りたい女性って……まさか、ノーラ!? でも、彼は中央の国の国王陛下に仕えているんじゃなかったっけ?)
私の疑問を感じ取ったのか、こちらを見たルーカスが説明し始めた。
「お久しぶりです、リカルド、ブリトニー嬢。驚いておられます?」
「そりゃあ……まあ……」
「僕、ノーラ嬢の屋敷の庭師に転職したんです!」
「はあーーーー!?」
そこにいた全員が素っ頓狂な声を上げた。彼の後ろにいたノーラが「違うでしょ!」とツッコミを入れている。
(ノーラ、ルーカス様の扱いが雑になってる……)
自領で数々の修羅場をくぐり抜けたからか、ノーラの顔つきは以前よりも凜々しくなっていた。
「陛下の命令で、彼はうちの領地……グレイニアへ派遣されているのよ。監視と内政の手伝い、それから北の国の動向を探る目的でね。王都に置いておくと、暇つぶしに余計なことばかりするからって、陛下に田舎へ飛ばされたのも理由の一つらしいけど」
「ノーラ嬢、『陛下御用達・夜のお遊びマップの作成と配布』は、余計なことではありません。貴族の皆さんにそれはもう人気なんです」
「ルーク……じゃなくて、ルーカス様! アンジェラ様とメリル様の前で、なんてことを言うんですか!」
友人のために、ルーカスを諫めるノーラだけれど、当のアンジェラとメリルは意外にも平然としていた。
「まあ、お父様ですからね」
「そうですね、お姉様と私の関係からしてそうですものね。他にも兄弟が現れるかもしれないわ」
娘にこんなことを言われる国王陛下って一体……
他のメンバーは賢明にも無言を貫いた。
昨日から投稿しております。
「芋くさ令嬢ですが悪役令息を助けたら気に入られました」
https://book1.adouzi.eu.org/n2047go/
よろしくお願いします。












