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転生先が少女漫画の白豚令嬢だった  作者: 桜あげは 
18歳

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218/259

218:白豚令嬢、婚約者とお泊まりする?

 リカルドが私を迎えに来てくれたので、一緒に馬車に乗って帰ることにする。リカルドの乗ってきた馬も一緒だ。

 しかし、関所を出たところで、急に空が曇り始めた。

 ポツポツと雨粒が地面に染みを作っていく。

 

「ありゃぁ、降ってきちゃった」


 私が目を細めて空を見上げる間にも、雨は激しさを増していく。

 とはいえ、このまま関所に居座るわけにもいかないので、私たちは馬車で出発すると決めた。

 襲われたことを考えると、早めにハークス伯爵領についた方がいい。


「ブリトニー、本当にどこも怪我していないか?」

「平気。お尻も痛くないよ」

「尻……を狙ってきたのか? 不埒な輩め、許さん!」


 リカルドが何かを激しく勘違いしている。

 今にも下っ端悪党を斬り刻みに行きそうな彼を馬車に押し込み、私は強引に扉を閉めた。

 少し進んだ先に泊まる予定だった宿がある。

 急に降り出した雨のせいで、宿の中は混み合っていた。

 比較的良い宿だけれど、三部屋しか空いていないと伝えられる。

 どうしようかと悩んでいると、「二人部屋なら一番いい場所が空いているよ」などと、女将さんに言われ、リカルドと一緒に案内されてしまった。


「いやぁ、お客さんが夫婦で助かったよ。他は雑魚寝部屋しかなくてね」

「えっ……」


 私とリカルドは、顔を見合わせる。

 護衛たちには「雑魚寝部屋で寝るのは反対」だと言われ、私とリカルドは同じ部屋で宿泊することになってしまった!


(ひぇ~! 緊張する!)


 洞窟で一晩を一緒に過ごした仲だけれども、婚約者同士だけれども。

 色々考え、燃えるように熱い頬に両手を押し当てる私は、落ち着かない気分で部屋の中を歩き回る。


「ブリトニー、俺は長椅子で眠るから」


 広いベッドを譲ると言われ、私は申し訳ない気持ちになった。

 リカルドは、ハークス伯爵領から王都まで馬を走らせたので、絶対に疲れている。

 彼を長椅子に追いやるなんて、鬼畜の所業だ。


「駄目だよ、リカルド! 私が長椅子で寝るよ!」

「そんなこと、させられるわけがないだろ」

「じゃ、じゃあ、一緒に寝よう!」

「えっ……」


 ベッドは広いんだし、一晩だけだし、リカルドは紳士なので心配ない。

 

(ほんの少し恥ずかしいだけで)

 

 眠っている間に押しつぶさないよう、気をつけなければいけないけれど。

 きっと、なんとかなるはずだ。

11月15日

本日「転生先が少女漫画の白豚令嬢だった4」の発売日です。

どうぞよろしくお願いいたします。

https://syosetu.com/syuppan/view/bookid/3718/

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