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転生先が少女漫画の白豚令嬢だった  作者: 桜あげは 
17歳

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182/259

181:少女漫画が更にとんでもないことになっていた

 王宮では、すでに準備万端のエミーリャとセルーニャが待っていた。本当はヴィーカも連れて来たかったけれど、ここは危険が多すぎる。

 体調が思わしくないこともあって、彼女は屋敷の地下を出ない。

 せめて地上に部屋を用意しようかと申し出たが、あの従者が頑固なのだ。地下が安全だと言って聞かない。

 仕方がないので、そのままにしている。


 エミーリャとセルーニャは、オリエンタルな衣装を身に纏い、豪奢な毛皮の敷かれた長椅子に私たちを案内した。


「お久しぶりですな、ブリトニー嬢! また会えて嬉しいですぞ!」

「セルーニャ様、ご無沙汰しております。わざわざ来ていただいてすみません。エミーリャ様も、ありがとうございます」


 かしこまって座る私とリカルドを見て、エミーリャが苦笑する。


「まあまあ、状況を知りたいのは僕も同じだから。それで、ヴィーカ王女……だっけ? 何かわかった?」

「ええ、彼女の言葉が全て真実かはわかりませんが、大まかな話は聞けました。やはり、北の国は中央の国を狙っていて、戦いを仕掛ける気でいるとのことです。とはいえ、未来が変わってきているので、本当に動くのかは曖昧ですが」


 私の話を、セルーニャが難しい表情で聞いていた。


「念のため、ハークス伯爵家で北の動きを調べているのですが、少しきな臭いと言えます。なにやら武器を集めているようで、ここ数年税金もかなり上がっているとのこと。民は苦しい生活を強いられていますね」

「アスタール伯爵領の件であれだけ叩かれたというのに、懲りない国ですな」

「もし、本当に北の国が仕掛けてくる気なら、その前に動きを封じるつもりです。黙って攻め入られてなるものですか」


 とはいえ、ハークス伯爵領の者が北の国を独断で攻撃するわけにはいかない。

 堂々と武装した北の国がハークス伯爵領に攻め入ろうとしていても、北の国に入るには中央の国の国王の許可がいる。

 その時が来たら、迅速に動いてもらいたいものだ。

 北の国が何もしないでいてくれるのが一番なのだけれど。


「それから、ヴィーカ王女から聞いた少女漫画……じゃなくて未来の話ですが、ルーカス殿下とエミーリャ殿下の身が危険にさらされる可能性も無きにしも非ずで」


 そう告げた瞬間、セルーニャの眼鏡がキラリと鋭く光った。


「それは聞き捨てなりませんな……!」


 彼は弟のエミーリャをとても可愛がっている。重度のブラコンなのだ。

 エミーリャの方も、セルーニャにとても懐いていた。


「詳しく話してもらいますぞ!」


 私は、ヴィーカから聞いた内容を、そのままセルーニャたちに伝える。


「ふむ……第二部の展開に第三部の話。全く知らなかったですぞ」

「セルーニャ殿下は、第二部が発表されてすぐ亡くなられたのですか?」

「そうですぞ。しかし変ですな」


 眼鏡を曇らせたセルーニャは、首を傾げながら言った。

 リカルドは聞き慣れない単語をスルーしている。彼には、第二部を「近い未来」、第三部を「遠い未来」という説明をしていた。


「確か、第二部の発表があった後、『メリルと王宮の扉』を描いていた漫画家は、トラックにはねられ亡くなったかと……」

「ええっ!? どういうこと!?」


 予想外の話を聞いて、私は混乱した。


「少女漫画本誌にて『第二部始動』の知らせがあった後、漫画家が亡くなり連載は保留となっていたのですぞ」

「それじゃあ……漫画家が亡くなってから連載が再開され、第二部が世に出されたということでしょうか?」

「かもしれませんな。ですが、第二部や第三部が完全な形で世に出ていたというのは、遺作ということにしても、少々おかしいのではないかと思うのです」


 確かに。第二部が始まる知らせが出ていた時には、第三部のことは発表されていなかった。

 そして、亡くなった漫画家の作品を……それも、続編を大々的に連載する例は稀だ。

 あの時点で、漫画家が作品を全て完結させていたとも思えない。

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― 新着の感想 ―
そう、原作ありの漫画で担当が変わった話ならば。。。(つд;*) 謎の漫画家二人、別の解釈でのコミカライズも謎に人気作品だとありえますね。。
[気になる点] うーん、ヴィーカがその作者とか?
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