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転生先が少女漫画の白豚令嬢だった  作者: 桜あげは 
16歳

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142/259

141:冬がやってきた

 それぞれ話し合った結果……

 城では、ノーラやメリル、そしてリカルドと私の身を守るため、早めに悪い貴族を捕らえる方向で動くことが決まった。

 事件が起こるのはまだ先の予定だが、少女漫画よりもメリルが犯人を目撃したのが早まったため、いつ何が起こるか予測できない。


「俺たちの方でも、可能な範囲で調査を進めるし、アンジェラにもメリル殿下を気に掛けるよう頼んでおくよ」

「そうです。僕の方でもマーロウ殿下と対策をしておきます。ノーラ嬢のことは、ヴィルレイ様にも連絡が必要だね。彼女は単身で王都へ来ているし、実家は遠いから……」


 主にエミーリャとリュゼが中心になって、さくさく話を進めていく。

 

(年長組、心強いな……)


 とりあえず、私の記憶のことは伏せて、マーロウやアンジェラ、ついでにルーカスにも注意を促しておくことになった。


「ブリトニーとリカルドは、しばらく外出しないように。部屋には常に護衛を付けるよ。メリル殿下もたぶん、同じ措置がとられると思う」


 保護者のリュゼから、私は身の安全を優先するようにと告げられる。


(嫌だけれど、こればかりは仕方がないかも)


 何事も、命には代えられない。


「……大人しくしている間でも、できることはあるよね、リカルド」

「ああ。限られた場所でしか動けないが、何もできないということはないはずだ」


 静かに決意する私たちを見て、リュゼも頷く。


「そうだね。ブリトニーたちに頼むことも出てくるかも知れないから、そのときはよろしく」


 私とリカルドは、気合いを入れて返事をした。



 数ヶ月かけ、エミーリャとリュゼは相手の包囲網を狭めていった。


(あまり気が合わなそうな二人だけど、やっぱり手を組んだら強いな……)


 メリルの証言から足取りのつかめる人物を優先し、怪しい相手を捕らえ、残りの人員を聞き出す。

 関係者は、ほぼ捕縛できたものの、肝心の黒幕の証拠がつかめないらしく、メリルの監視係と化しているアンジェラは、たまに私の元に愚痴を言いに来る。

 犯人捕縛に関してはできることがないので、ほぼノータッチだが、私とリカルドは街道の設置に関して動いていた。私はリュゼの、リカルドはマーロウの代理として、手伝える部分で仕事をしている。動ける範囲が城の中など限られた場所だけだから、限界はあるけれど……


 慌ただしく動いているうちに、季節は冬になっていた。

 私の足は完治したが、リカルドとの婚約の行方は相変わらずである。

 まだ大きな手柄を挙げられていないリカルドだが、今の状況では何をするにしても厳しい。


(私にできることがあればいいんだけど……)


 春まで、あと少ししかないが、私もリカルドも、そのことに関して何も話せずにいる。

 そんな中、大きな事件が起こった。


 証拠を集められ、追い詰められた黒幕の貴族が自棄を起こし、自分の領地に立てこもってしまったのだ。黒幕は王都の東隣の領地を治める大貴族で、説得にも応じず、勧告にも屈しない……徹底抗戦の構えを見せているそうだ。

 ミラルドの事件に続き、不穏な空気が城内に広がる。

 王都から兵士たちが送られることになり、マーロウやリュゼも同行することが決まった。

 マーロウは立場上、王の代理として行かなければならず、リュゼは彼を手助けする役目を負っている。


(ハークス伯爵領が北の国に攻め入られたとき、マーロウ様に助けてもらった借りがあるからね)


 リカルドも同行したいと主張していた。

 最初は渋られていたものの、大半の関係者が捕縛されたことや、今更リカルドを襲っても、もう意味がないこともあり、彼の同行は許可された。

 私の仕事はといえば、彼らが動きやすいように城で兵士たちをサポートする業務……の手伝いだ。

 今回は、城内にある王女の執務室で、アンジェラやエミーリャとの共同作業である。

 護衛付きだが自由に動けるようになったメリルも、城内をチョロチョロと走り回り、できる仕事を手伝っていた。

 ノーラは今、婚約者のヴィルレイの元へ身を寄せている。これを機に、二人の仲が進展することを、私は密かに望んでいた。


 そうして……

 いよいよ、王の代理としてマーロウが東の地に赴く日がやってきた。

 王都の東を治める大貴族の元へ出向くメンバーを、少し細くなった私は静かに見送る。


「マーロウ様、どうか、くれぐれもお気をつけて。リュゼお兄様は、無理をしすぎないように。リカルドも、怪我しないでね」


 アンジェラやメリルも、不安そうに兄である王太子を見つめていた。


「城でのことは私にお任せ下さい、お兄様。立派に父……陛下をお支えいたしますわ! もちろん、お兄様のサポートも!」

「ああ。任せたぞ、アンジェラ」

「はい! メリルに関しましても心配ご不要です!」

「心強いな、ありがとう。ああ、そうだ……ブリトニー」


 いきなり話を振られた私は、驚いてマーロウの瞳を見つめる。


「帰ったら、ブリトニーに伝えたいことがある。私は、まだ君を……」

「マーロウ様……?」


 ……去り際に、小声で危険なフラグを立てないでください。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章がうまい。 [気になる点] 社会の成り立ちや仕組みを知らないからか、とにかく薄っぺらい。「動く」だとか「サポート」だとか全く具体性がないから何やってるかわからない。「悪事」がなんなのか…
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