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第18話





■side:京都私立華聖女学院高等学校 1年 清水 冬華






「くっ!」


 衝撃で思わず左手が操縦桿から離れそうになる。

 トレース型とは違う欠点ではあるものの、あっちはあっちで面倒事が多い。

 などと余計なことが頭をよぎるが、スグに目の前に集中する。


 最近のBattleDollsは、射撃戦が主体になりつつある。

 それを打開するためと技術力の向上によって高速化しつつもあるが、それでも射撃戦が基本だ。

 なのに現在、至近距離での切り合いをしている。

 地方大会の決勝でもそうだったが、どうしてこう接近戦が多いのか。

 確かに夏美が槍による接近戦を好んでいること。

 そしてその華やかさで一時期はブームになったこともあるが、やはり接近戦は難易度が高い。

 結果として射撃戦をした方が早いってことになり、かなり数は減ったはずだ。

 それでもこうして一部に人気なのは、やはり一撃必殺性が高いからだろう。


 相手からの突きを何とか回避した瞬間、相手の大きな刀の刃が下から横に向く。


「マズイッ!!」


 姿勢制御バーニアだけでなく一部スラスターも使用しての強引な機体移動。

 それにより突きから横薙ぎに変化した一撃をギリギリで回避する。

 相手は回避されたのがよほど驚いたのか、そのまま刀を引いて距離を取ってきた。


「あらまあ、これが避けられるとは思てへんかったわぁ」


 こちらに聞こえるよう、あえてオープン回線で話しかけてくる相手。


「そやけどまあ……お遊びはこれまでや」


 愉しそうでありながら、それでいてどこか怒りをぶつけてくるように。

 相手の雰囲気が変化したことで、こちらも気持ちを切り替える。


 そしてお互い武器を構えたまま動かなくなる。

 一瞬でも何かきっかけがあれば動くだろう。

 観客席も声が無くなっていく。


 一瞬の静寂。


 まさにそんな時だった。


「春の太刀、舞風」


 ノーモーションの最速の突き。

 何とか大剣を合わせることに成功して弾く。


「夏の太刀、夜祭」


 速さを求めた最小限の動きによる三連撃。

 これも1太刀目を機体を傾けて回避、2太刀目を防ぎ、3太刀目を後ろに下がって避ける。


「秋の太刀、紅葉」


 こちらに踏み込んだ瞬間に、軽く跳躍して空中で一瞬こちらに背中を向ける強力な回転斬り。

 思わず大剣でガードして耐えきるも後ろに大きく下げられる。


「冬の太刀、氷華」


 着地と同時に高速で踏み込んできての下から上への力任せの斬り上げ。

 そのままガードするもあまりの重さに少し体制が崩れる。

 まだまだ来るであろう連続攻撃に対抗するため、何とか脚を踏みしめて隙を消す。


 その瞬間、相手を見ると何故か動きがスローモーションに見えた。

 ゆっくりと上に上がった刀を両手で持ち、それを力一杯に最速で振り下ろしてくる。



「四季、一閃」



 相手の刀が、一瞬にして振り抜かれる。


 その瞬間―――左肩の防御マントごと左腕が宙を舞った。







*誤字脱字などは感想もしくは修正機能からお知らせ頂けると幸いです。

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