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アビス襲来ーーー①

 ここからは、ダイジェストにてお送り致します。


 三回目、王様に再び祐樹がなり、見事若菜ぶち抜きでアイアンクローを綺麗に決めて、非常にスッキリする。


 四回目、王様にミラがなり、ハリエットを抜き、この後ジュースを奢ってもらうことに。


 五回目、若菜が王様になり祐樹ぶち抜きを狙ったほっぺチューだったが、樹莉が当たった。


 六回目、王様が神奈だったが、命令が「あ、アイアンクローしないでください!」という、とある一人に向けた命令だったので、番号関係なく祐樹が撫でて落ち着ける係となった。


 そして、七回目………。


『王様だーれだ』


「ほう?私か」


 と、声を上げたのはアメリアだった。


「ふむ……なら、私はあれがいいな。『壁ドン』と言うやつがいい」


 壁ドン……?再び全員の心の声が一致した。王様ゲームとかいう20年前のものを持ってきた若菜に全員が視線を向けるも、ふるふると首を横に振った。


「私が日本に来たばっかりの頃、少女漫画というものを見つけてな、男女の恋愛模様を描いた作品なのだが……その中に、壁ドンなるものがあり、女子がキュンとする場面があった」


 なんだそれ……と祐樹は思った。


 壁ドンという行為には、大きくわけて4つ意味に分けるれている。


 一つ目が、集合住宅地等で、隣の部屋が騒がしい時に壁をドン!と殴る行為。


 二つ目が、壁を叩きたくなるほどの不満や憤りを感じた時など、腹が立った時に壁を殴る行為。1つ目のスラングから派生したもので、主に男性アニメファンの間に存在する用法であり、視聴者が嫉妬するような恋愛描写に反応して壁を叩く行為で、転じて「幸せそうなカップル(いわゆるリア充)を見かけた時に嫉妬して壁をドンドン叩く行為。


 三つ目が、男性が女性を壁際(または窓際、柱など)に追い詰めて、手を壁にドンと突き迫る行為、および恋愛漫画等における描写であり、派生として「顎クイ」「股ドン」「蝋ドン」「網トン」が生まれた。


 四つ目が、自動車やバイクなどのヘッドランプ、フォグランプ等を壁に向かって点灯・照射させる行為。ヘッドライトの配光特性やカットライン、光量などを確認する目的で行われる。また、それらの乗り物が壁にぶつかることを指す。


 当然、アメリアが指している壁ドンは三つ目の方であり、決して一つ目と二つ目ではない。四つ目等言語道断である。


 アメリアが三つ目の説明をすると、全員祐樹の方へ視線を向けた。


「………なんだ、つまり、アメリアはキュンとしたいってことなのか?」


「いや、ただ単にどんなものなのか知りたいという知的好奇心の方が強い。ついでに顎クイや股ドンもやってくれると助かる」


「と言っても、まだ番号も言っておらんし、祐樹殿がなる確率も九分の一なのじゃ。アメリア殿の話を聞く限り、女同士でやっても虚しいだけなのじゃないかのう………」


「いや、ただ単に、私がされてみたいだけだ。性別は問わんよ………ということで、三番」


 スっ、と全員が割り箸に視線をおろしーーーー


「あっ」





「それでは、頼もうか」


 結局、アメリアはその九分の一をぶち抜き、見事祐樹を当てることに成功。既にアメリアは壁際にて待機している。


「………待て、アメリアの説明を聞く限り、最初から壁際ダメなんじゃないか?」


「む?……言われてみれば、だな」


 と、たかが壁ドンのために細かなセッティングをする二人。やるからには全力でやるスタンスである。


「よし、俺がアメリアを追い込んで、壁ドンと股ドンと顎クイだな。上手くできるかよく分からんが」


「気にするな。あくまでも知的好奇心を満たすためだ」


 一歩歩くと、アメリアも一歩下がる。それの繰り返しで、トンっ、とアメリアが壁に背中をぶつけた音を聞き、すかさず股に足を差し込み、左手でドン!と壁を叩き、顎クイの三連発。


 少女漫画に登場するクソイケメンキャラにしか許されない、三連続攻撃。芋けんぴレベルなりに、現実では見たことがない。


「………どうだ?」


「………なんというか、その……ビックリの方が強かった気がするな…。それと、いざこうされると………思ったよりも祐樹との顔が近くてーーードキドキする」


 プイッ、と普段クールを身にまとっているようなアメリアの顔が少し赤くなり、そっぽを向いた。


 その瞬間、椿原学園一帯にアビスの襲来を知らせる警報が鳴り響き、祐樹の首筋にチリリ、と危険を知らせる反応が。


 ーーーっ、これ、SS級か。


 大体の反応でどのくらいの危険度かが分かった祐樹。すると、部屋の外からドタドタドタと、数人分の足音が聞こえてーーーー


「皆!出撃のじゅん………び………」


 バン!と扉を開けた美冴達がサイレンが聞こえたことで慌てて部屋に来たのだが、壁ドンをしている祐樹とアメリアの姿を見て一言。


「…………何やってるんだ?君たち」


 酷く、困惑に満ちた声だった。



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