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最終会議ーーー①

 夜には、最終会議として第一線、第二線に参加するギルドリーダーが、キチンと顔を合わせて行う会議がある。


 結局、あの後も人生ゲームをやりまくった裕樹は、『セクメト』リーダーの樹莉と『プリティヴマータ』リーダーのエレナと一緒に集合場所に向かっていた。


「いいか、樹莉。花火先輩に合ったら速攻謝れよ。分かったな!」


「いい加減わかっておるのじゃ……後裕樹殿よ、何故儂にしかそれを言わないのじゃ」


「今まで接してきての印象のせい」


「なんじゃとー!?」


 人生ゲームをしたことで、裕樹と聖百合花の女子達とは仲が多少は深まり、こうして裕樹も緊張しないで話せるようになっている。まぁ元々、女しか居ないところに男が一人だけポツリなので、慣れてしまっているということもあるだろうが。


「樹莉さん。そろそろ着きますから、謝る準備ですよ」


「わ、分かっておるのじゃ………どれくらい怒られるかのう………」


 と、分からない恐怖に樹莉は自信を抱きしめる。


「ま、かなり怒られることは確定だなーーー着いたぞ」


 既にいたのは、瑠璃学園のメンバーと、椿原学園のメンバーだった。


 近づいてきた人物に全員が視線を向けると、次の瞬間、花火は走り出し、樹莉の頭をがっしりと掴んだ。


「おいこら、こののじゃロリ」


「の、のじゃロリ!?」


「だれの許可得てウチの大事な大事な裕樹くん連れ去らっちゃってんのかなぁ?ん?」


「ちょ、ちょっと待つのじゃ花火様……っ!このまま力を入れると、流石にヒロインである儂もーーーーー!!」


「問答無用!!」


「のじゃーー!!!」


 とてつもない形相で樹莉のことを見事なアイアンクローをかましている花火。その視線がゆっくりと、エレナの方を向いた。


「っ!?」


「ひっ!?」


 エレナは咄嗟に裕樹の服を掴み、後ろに隠れ、その視線を受けていない筈の裕樹も、咄嗟にエレナを守る動きとなってしまった。


「裕樹くん、無事だったかな?」


「え、えぇ……あの、花火先輩……そろそろ樹莉から手を離した方がーーーー」


「ん?」


「のじゃぁぁぁぁ!!!」


 ギチギチギチと明らかに頭からなってはいけない音が響き渡り、エレナはもう完全に裕樹に抱きついてふるふると震えていた。


「は、花火姉様!?そろそろダメです!」


「そ、そうよそうよ!花火!貴重な戦力が!」


 と、慌てて『アルフヘイム』リーダーの加藤沙綾と、何気に初登場の『ローゼンメイデン』リーダーの一ノ瀬夏鈴(いちのせかりん)か慌てて花火のことを止める。


「ダメよ!沙綾ちゃん!夏鈴!この子はね、裕樹くんとのイチャイチャ時間を無情にも奪った悪魔なのよ!!」


「花火がどれだけ裕樹くんのことを想っているかどうかわかったから、いい加減離しなさい!」


 と、夏鈴がギフトを少し使い、やっと樹莉の頭から花火の手が離れた。完全に殺られた樹莉は、そのまま地面に倒れるーーー前に沙綾が慌てて受け止めた。


「だ、大丈夫ですか!?」


「の、のじゃ……儂、死ぬかと思ったのじゃ………」


 口から何やら魂的なものが抜け出ているが、まぁ生きているなら大丈夫だろう。


「こうして会うのは初めましてだな、ミスター」


「ごきげんよう、裕樹さん」


 と、向こうでは危うく殺人が起きそうになっていた裏では、『カンブリア』リーダーのアメリアと『ヴィクトリア』リーダーのフェリシアとの顔合わせが始まっていた。


「ごきげんよう。そして、こうして直に会うのは初めましてだな。アメリア、フェリシア」


 裕樹が手を出すと、快く手を出してくれて握手を交わした三人。


「……所でミスター。後ろの彼女はいつまで抱きついているつもりなんだ?」


「す、すすすすいません裕樹さん……あ、あの。もう少しこのままでも……」


 先程の恐怖が抜けきっていないのが、若干涙目な様子でガタガタと震えていた。花火、恐るべし。


「…………うん、落ち着くまでこのままでいいから……あのさ、もう少し力弱めてくれない?ちょっとお腹の方が……」


「ご、ごめんなさい……!」


 えぇ……?と思いつつも、まぁ多少は我慢するかとなんだかんだ甘くなっている裕樹。


「裕樹」


「アデル」


 そして、今まで少しだけ空気を読んで、裕樹に話しかけるのを我慢していたアデル。


「ごめんなアデル。急に第一線に呼んで……」


「構わない。アビス沢山殺せるし、裕樹と一緒だから」


 と、分かりにくいが、少しだけニコリと笑ったアデル。その反応に、裕樹は嬉しくなった。


「そうか。ありがとうな」


「構わない」


「よし、これで後は青野学園だけだな」


 アメリアがそう言うと、少しぐるりと周りを見渡した。


「すいません皆さん。遅くなりました」


「噂をすれば、か」


 コツ、コツ、と足音を立てて現れたのは、青野学園所属、『カンパネラ』リーダーの美波が人を引きずってやってきた。


「「「「「……………………」」」」」


 そう、人を引きずって………。


 あまりの光景に、五人全員が黙り込んだが、何とか裕樹が声を出した。


「…………あの?」


「なんでしょう小鳥遊さん。それと、直で会うのは初めましてですね」


「あ、初めまして………」


「そこの四方も、遅れてごめんなさい」


「いーのよ。こっちも無事に制裁、終わったから」


 語尾に星でも着きそうな程に上機嫌な花火、その先では、沙綾と夏鈴が一生懸命樹莉のことを何とかしようと頑張っていた。

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