お説教
「・・・説教?」
「はい!お師匠様がこれ以上バカなこと言わないための説教です!」
少しだけ痛み、赤くなっている頬を抑え、首をかしげる。
ーーーいったい、朝凪さんは何を言うのか。
どんな言葉が来てもこの気持ちは絶対に変わらない。そう意気込んで、祐樹はゆっくりと目をとじーーーーーー
「まず、お師匠様はとてもかっこいいいです!」
「………………ん?」
「それから、とっても頼りなって、とてもお強いです!」
「………んんん?」
説教とは、宗教の教義・教典を、信者などに、口頭で説き明かすこと。また、 教え導くために言い聞かせること。また、堅苦しい教訓をいう語であるのだが………。
「あの………朝凪さん?」
「何ですか!後、お師匠様はお説教中はお喋り禁止です!」
「いや、あの……それって説教じゃなくて………」
ーーーただの褒め殺しっていうですけど……。
その後、祐樹は10分ほど、説教という名の褒め殺しを受け続けた。
「ーーーーなんです!わかりましたか!お師匠様!」
「……あぁ、うん。もう分かった……分かったから………もうやめてくれ」
あまりに褒められ続け、耐性のない祐樹は、壁に頭を付け、完全に疲れた様子でそこにいた。
それはまるで………そう、全てが真っ白に燃え尽きた某ボクシング漫画アニメのように……。
「………なんかあれだわ。色んな意味で死にてぇ……」
「あ!お師匠様!まだお説教が足りませんか!?」
「もういい!もういいから頼む!やめてくれ!!」
精神的に深く追い詰められた祐樹。いよいよギブアップした。
「………はぁ」
ふかーくため息をついた祐樹。先程まで胸の内にあったどす黒い何かは、自然と霧散していった。
「………なーんか。さっきまで思っていたことが、全部どうでもよく思えてきたな………」
「……!じゃ、じゃあ!」
「だけど、君を俺を殺すためのヒロインに育てるのはやめない。これだけはどうしても譲れない」
これだけは、どうしても祐樹は認める訳には行かない。
「……………」
「そ、そんなにほっぺた膨らませてもダメだ」
「あ、今迷いましたね」
一体どこでそんなの習ったんだ?と先程の菜々のあざとい仕草を見てしまい、内心頭をかいた。
「……まぁ分かりました。今はそれでとりあえず納得します……お師匠様を殺すなんてことは絶対にしたくありませんけど」
あれから、菜々と別れもう今日はこのまま個人ラボで寝ようかなと考えていた祐樹の元に、一つの連絡が入った。
相手は、学園長である。
「やぁ、来たね祐樹」
「なんの御用でしょうか」
いつも、祐樹が呼ばれる時は各科の生徒会長と一緒が多いのだが、この学園長室にいるのは祐樹一人だけである。
「なに、私の方からもちゃいとお説教とやらをしようと思ってね」
「……お説教、ですか?」
お説教と聞いて、少し祐樹の顔が引き攣る。美冴はそれを見逃さなかった。
「まさか、あの子とガーディアンの契りを結んだのは、自分を殺すためのヒロインに仕立て上げるなんて悪いことーーー一体どこで考えたのかな?」
美冴は、ニコッと笑った。だがしかし、祐樹はその笑顔から怖さしか感じなかった。
「正座」
「……あ、あの、がくえんちょーーー」
「せ・い・ざ」
「…………………」
その後、2時間ほど本気のお叱りと説教を受けた祐樹だった。
ついに、前々から予兆のあったアビス大侵攻が始まった!瑠璃学園の戦える全ヒロインが出動し、アビスを次々と倒していく中、今回の親玉アビスが現れてーーーー
「会長!ジャガーノートが動きません!」
「ギフトの方も使えません!」
「なんだと!?」
「朝凪さん…………いざとなったら、俺の事をよろしく頼む」
「ダメです!お師匠様ぁぁぁ!!!」
次章『アビス大侵攻』楽しみに待っててください!
「ありがとう。俺の事をこんなに必要としてくれてーーー出来ればもっとみんなと一緒に居たかったな…………おい、こんな時くらい力ぐらい貸せ!アビス!ルナティックレッドアイズ!!」
祐樹の髪が凶器の赤に染まり始めるーーーー
例にも寄れず、今日更新!




