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俯棺風景  作者: ししゃもふれでりっく
第四話 追う女王
24/116

プロローグ




 Reincarnation。


 略してリンカ。


 それがこの世界での私の名前だった。


 今にして思えば皮肉な名前を付けたと思う。


 輪廻転生、生まれ変わり、再生。そんな意味を持つ名前がこの世界で何の意味を持つというのだろうか。死んだ幼馴染を思い、何度も同じ事を考えた。


 もっとも、何度考えても結論は同じだった。


 何もない。


「……だるい」


 あちこちから鳴るぐちゃ、ぐちゃという水気を含んだ肉同士を打ち付け合う音を聞きながら、椅子に座って肘かけに肘を置き、顎に手をついて、そんな真面目腐った事を考えていた。もう既に答えは出ているのに、違う答えが出てこないかなんて、無意味に意味を見出そうとする馬鹿馬鹿しい行為でもしていないと、あまりの面倒くささに部屋に引きこもってしまいそうだったが故に。


 嘘だけれど。


「……くさい」


 漂う男と女の匂い。吐き気を催すようなすえた肉の匂いが鼻腔を擽り、私を滅入らせる。ハァとため息を吐こうとして、止めた。そんな事をしてしまえば尚更その匂いに汚染された空気を体内に入れる事になる。それだけは嫌だった。


 そんな匂いを延々と発し続ける数多くの男女プレイヤー。現実の性別も不確かなキャラクター同士による交わりは、それこそ肉林とか肉の宴とでも言えば良いだろうか。喘ぎと吐息だけがこの部屋のBGM。弦楽器を与えられた子供が弾き方も分からず打ち付けるような、そんな不快な音だった。そんな音を作り出す、いいや、そのBGMを堪能しているギルドメンバー達は、何故そんなにも楽しそうなのだろう。愉悦を帯びた顔、だらしなく涎を垂らす顔……見ていて愉快なものではなかった。


 ギルドメンバーの大半がこれなのだから始末に負えない。


 このギルド、ROUND TABLEが九州地方の城主となってから早1ヶ月。ギルドの現状といえばこれだった。


 総勢100余名の中規模ギルド。そのギルドマスターが私。まぁ、他のギルドがどれぐらいの人員を確保しているのか分からないので中規模かどうかも分からないけれども……。


 マスターになったのは、有体に言えば面倒見が良いからという理由らしい。が、この規模になれば面倒見の良さとかそう言うのは関係ない。目の前で繰り広げられているように、皆が皆、勝手気ままに自堕落な生活を送っている。どうせ死ぬのだからと肉欲に溺れながら生きている。


 それを生きているというのだろうか?


 きっとここに居る者達は生きていると言うだろう。今回参加していない者達も含めて8割方のギルドメンバーはそう言うだろう。肉欲の限りを尽くすだけの生を人生と称するだろう。残り1割強―――正確に言えば私含め13人―――はもうちょっと考えて生きていると思う。まぁ、正直に言えばその内の何人かは微妙な所だけれど……。特に私の現実の知り合いなどは……。


 13人の内、私を除いた12人。それが私の最初の仲間達だった。一緒に最初の街から逃げる時に偶然集った者達。13人と今はいない1人でギルドを作り、気付けば多くの人達がギルドに参加していた。そして、今、彼らは幹部と呼ばれている。


 まぁ、幹部などという呼び方は仰々しいと思う。


 ただ、集団があればそれを統率する者が必要なのは当然の事で、ギルド発足時から所属している者達がその役割を担うのもまた当然の成り行きだった。そう、成り行きである。だから、当然、不満というのは出て来るものである。


「なんであんな奴が幹部なんですか」


「……うるさいなぁ」


 最近ギルドメンバーになった者が豪奢な椅子―――王様の椅子みたいな感じである―――に座って肘をついている私に近づいて来て声を掛ける。


 名前も覚えてない男プレイヤーだった。


 このプレイヤーがギルドに参加した経緯は、このギルドに彼の恋人がいたからという至極大した事の無い理由である。実年齢は相当に若いのだろう。血気盛んなのは良い事だが、こうして事あるたびに―――私が顔を出すたびに―――不満を告げて来る。ちょっと調子に乗り過ぎである。


 ちなみにその彼女さんはといえば……肉林に視線を向ければガタイの良い男の上に乗って、乗馬の訓練をしていた。とどのつまり、彼氏を無視して肉に溺れているようだった。まぁ、彼氏自身も肉に溺れているみたいだけれども……と彼の姿を見る。


 乱れた髪、少し赤みを帯びた顔、着崩れた服はつい先程まで肉林に立つ木であった事を証明するものだった。


 楽しむだけ楽しんで不満だけは言う。何とも典型的な自己中心的性格だと思う。


「黙ってあっちに参加していたら?彼女さん楽しそうよ?彼氏として負けてられないんじゃない?」


 先程はどうにか押さえたため息を押さえきれず、ハァとため息一つ吐く。そして、肉の宴を指差す。彼女さんの乗っていた馬が枯れ果て、乗馬訓練していた彼女さんは次の馬を探し、それを見つけて再び、肉の匂いと分泌物を辺りに撒き散らし、喘ぎと吐息を延々と吐き出し始めた。彼氏さんがこうして私に意見を具申している間にも……


 とっても素敵さいていな彼氏彼女関係だった。


「今は彼女の事は関係ありませんっ。そんな話していませんっ!マスター……身内贔屓は」


 私のどうでもよさげな対応が気に喰わなかったのか彼は顔を真っ赤にして怒っていた。


「黙れ」


 今の彼は言って良い事と悪い事の判断も付かないらしい。


 こんな世界だからタガが外れているのかもしれないけれど……けれど、それを理由にしては獣と同じだ。


 などと格好良い事を考えてみたが、当然、嘘である。


 ギルドメンバーが肉欲に溺れるのを止めていない時点で、そんな事欠片も思っていないという話である。


 こいつの彼女さんが次々に馬を乗り継いでいようと、ギルメンの大半が肉林を形成していようと興味は無い。彼らがそれを生きていると感じているか?とか、ギルメンの大半がこれだから始末に負えないとか、そんな事に興味は無い。正直、どうでも良いと思っている。そんな事を考えていたのは苦痛な時間を紛らわすために吐いた自分への嘘でしかない。


 こんな世界で正義感を振りかざして何かをしてやろうなんて思うわけがない。さっさと終わらせて帰りたい。そんな思いがあるぐらいだ。


 ほんと、この楽しくない世界の終わりとやらはいつなんだろうか……。


 本当、面倒くさい。


「……嫌なら出てけば良いよ。誰も引き留めない。城を出た瞬間に餌にされるかもしれないけど」


 そう言って、ひらひらと手を振りながら男を追い払う。これで仕舞いだ。相手をするのも疲れる。


 面倒くさい。


 だるい。


 怠惰と言う言葉が具現化したような存在が、今の私だった。


 そんな私の態度が気に喰わないらしい少年はさらに私に近づき、大声を上げた。


「マスター!」


「黙れって言ったよね?」


 煩いなぁと苛立ちを浮かべながら、きゃんきゃん騒ぐ男キャラに向かって凄んでみる。


 幹部達には目つきが悪いとか言われる私である。しばらく睨んでいれば、男プレイヤーは不満そうな表情を浮かべたまま、すごすごと退散していった。退散していく方向が肉林というのは流石に笑えた。


 その彼の行き先はさておき、彼のすごすごと去っていく姿は妙に絵になっていた。


 作ったキャラクターなのだから、絵になるのは当然なのだけれども。


 どこかのゲームや漫画、小説のキャラクターを模倣したのだろう。100余名のギルドメンバーの内、似たような顔がいくつかあった。彼の容姿だけではない。他にも一卵性双生児といえるぐらいに似たキャラが何人もいる。


 テンプレートな容姿。


 何のオリジナリティもないつまらない容姿。私なんか髪の色だけ緑とか変な色にしてみたものの、その後、面倒くさくなって容姿はリアルそのままである。だが、その方が、味があるというものだ。なんて自画自賛しながら呆とする。


「どうしようかなぁ」


 どうもしたくない。


 できればここで怠惰に過ごしたい。


 けれど、この人数の人間プレイヤーが集まると、そうも言っていられない。この場にいるのもその一環だ。ギルドマスターとして睨みを利かせておけという話らしい。面倒にも程がある話だった。


 勿論、こういう物だけではなく、色んな所から意見が出て来るのでそれに対する検討を行う必要があったりする。全部を私が決める必要はないのだけれど、ゲーム的な意味で城主権限とギルマス権限を行使できるのは私だけなので、どうあがいても私がやらなければならないので致し方ない。


 そう考えてしまうのが、面倒見が良いと言われる理由なのだろうか。そうだとすると何とも釈然としない。良いように使われているだけのようにも思う。まぁ、御蔭で肉の宴に参加しなくて良いのだから良しとしよう。いや、これも変な納得の理由だけれども。


 そんな事を考えていれば、噂をすれば影というか、意見を出したがる急先鋒の1人が部屋に入って来た。


 その人物―――彼女は、肉林など見えていないとばかりに、ニコニコと楽しそうな表情を浮かべ、肉林のど真ん中をまっすぐに歩いてくる。モーゼとまでは言わないが、彼女の歩みを邪魔しないようにと致している最中の男女がくっ付いたまま場所を移動していた。


「ねぇねぇ、女王様」


 そんな彼女が私の眼前に立ち、そう告げる。


「誰が女王様よ」


「いや、貴女だけど」


 指を差された。


「やめてよ、エリナ」


 本当は、エリーゼ=トゥーエルなんとかなんとか……最後が『ナ』、という長ったらしいキャラ名であるが、覚えていない。面倒なので。元より彼女はリアルでの友人でもあるので、略称と称して本名であるエリナと呼んでいる。そのエリナが、ニヤニヤと意地の悪そうな―――イジワルそうなでないところがミソである―――表情をしながら口を開く。


「Queen Of Death。可愛い名前じゃない」


「どこがよ」


 つい先日、ゲームマスターに付けられた私の二つ名がそれだった。


 略してQOD。ちょっと変えるとQED(証明終了)である。だから何だと言う話だけれども。


 ギルドで城を落とした後、何やら無謀な人達が城を奪おうと攻めて来た結果だった。そういう無謀な集団は今でも結構来ている……というのはさておいて。ランキングからSCYTHEが落ちて、代わりに私が繰り上がった。そして、ありがたくもゲームマスターから二つ名を得たのである。いらない。全く持っていらない。


 ちなみに、現在のランキングは、WIZARD、NEROが不動で後は、DEMON LORD、SISTER、そしてQueen Of Deathこと私。


 WIZARD以外、全員城主だった。


 とはいえ、である。別に私1人で襲って来たプレイヤーを全員殺したわけではなく、ギルドメンバーによる殺害カウントも私に入っているというだけだ。そういう設定が可能なのがギルドの良い所らしい。もっとも殺す時にPT参加していなければ経験値が貰えるわけではないので、私のレベルはそこそこほどほどである。まぁ、ギルドマスターのレベルが低いと示しが付かないとかで、無理やりPTに誘われ、いやいやながら処刑という名目で捕えられたプレイヤーの首を撥ねる作業をしてはいるのだけれども。


 ちなみに、サブギルドマスター―――春という名の男の子である―――の勧めでVIT>STR=DEXというステータス振りである。そこそこほどほどに武器が使えて、そこそこほどほどに拳銃が使えて、そこそこHPが多い。そんな中途半端なステータスである。まぁ、私が何もしなくてもギルドメンバーが適当に動いてくれるので私のステータスなんてあまり意味はないのだけれど。


「で、リンカ。そろそろやらない?折角だからやろうよ。ね。ね」


「やりたいならあっち行って頂戴。私を巻き込まないで」


 エリナの緩い貞操観念と同じにして欲しくはない。私がこの身を捧げたいと願うのは……この世界にいない人だけだ。そんな事を考えた所為で、その人の事を思い出し、ハァ、とため息が出た。


「違うわよVR処女。城攻めよ、城攻め」


 VR処女……対義語はリアル処女だろうか。


「やりたければ勝手にやれば良いじゃない。部隊だけじゃなくて派閥のメンバー全員持って行って良いわよ。落としたらそこの城主任せるけど」


 面倒くさい、と目を閉じる。


 目を閉じれば暗闇が私を包み込んでくれる。見たくない物を見なくて済むのでとっても良い。このまま寝てしまおうかしらん?とか思っていたら頭を叩かれた。


「痛いわよ」


「痛くしたのよ」


 STR>VITキャラによる攻撃は痛いものである。きっと。


 さておき。このエリナが言っているのは当然私達が住んでいる居城の事ではなく、他の城である。一番近い中国地方の城の事。さらに言えば、城主のいる城である。


 他の地方……中部、北陸、四国に関しては未だ城主はいない。誰も欲しくないのか、単に取りに行こうと思う人がいないのか。私達がここを取った後、散々襲って来た人達の事を思えば城が欲しいと思っている人は多いと思うが……現につい先日もそんな人達が現れて処刑したし……正直、何で空いたままなのかは分からない。


 ともあれ、中国地方の城を落としたいとエリナは言うのである。


 城主を殺して、手に入れたいというのである。


 酷い話もあったものである。


 がんばって城主を倒して城を取ったばかりの新米城主になんて酷い事をするのだろう。


 嘘だけど。


 私が面倒じゃなければ、それも割とどうでも良い。対岸の火事である。知らない人がどこで死のうとどこで生きようと興味を持つわけがない。それが現代日本人というものだろう。昨日はあっちの殺人事件の話を聞いて悲しんで、次の日にはお笑い番組を見て笑って。そんな他人なんて興味ない人達の集まりだ。特にこのゲームに参加しているようなゲーム好きの面子なんて、毎日人が死んでいようが、興味を持たない。


 私もそんな一人だ。


 別にゲームが好きというわけではないけれど、引きこもって本を読んでいられればそれで良い。悲しい物語を読んで悲しんで、楽しい物語を読んで楽しんで。その間に世界でどれだけの死が産まれているかなんて知るはずもない。他人の死なんてそんな大げさに語るようなものじゃない。


 私にとって、他のプレイヤーの生き死になんて全部、他人事。


 ギルドのメンバーだって、殆どのメンバーの事はどうでも良い。


 エリナの派閥のメンバーだって、私は名前すら覚えてない。覚えたら情が移るからなんて、そんなセンチメンタルな理由ではなく、どうでも良くて、面倒だからでしかない。


 とどのつまり、


「やりたいならやれば」


「だからリンカって好き!」


 他人の城を強奪しようと画策している子にそう言われても全然嬉しくなかった。


 ちなみにこのエリナという子、現実の方では普通に普通の女の子だったのだけれど、この世界に来て、より正確にいえばギルド幹部と呼ばれるようになって変わった。


 他人に持ち上げられる事に喜びを感じてしまったのだ。現実の彼女は誰かに持ちあげられるような物を持っていなかったように思う。普通に普通の女の子。対して見目が良いわけでもなければ、勉強ができるわけでもない、恋だの愛だのに血気盛んになっているわけでもない、どちらかといえば図書館の隅でふるくさい恋愛小説を読んでニヤニヤしているタイプの陰気な子だ。私はそんな彼女が好きだったのだけれども……今の彼女はどちらかといえば苦手だ。


 作られた、どこかで見たことのある金髪碧眼巨乳で薄着という女の子女の子したキャラの姿をかたどり、それをペルソナとして自我を再構築。えらくテンションの高い、いわゆるあざといキャラとなったのが今の彼女だ。そして、そんなキャラを好きな男性というのは多い。結果、同じく作られた容姿の見目だけは良い男キャラ達が彼女を持ち上げた。


 その結果出来あがったのが、私のギルド、ROUND TABLEの幹部―――実を言えば、円卓の騎士と呼ばれている……正直、ださい―――の1人であるエリナの派閥である。


 目下、最大派閥である。


 所属しているのは、他のVRMMOとかで廃人と呼ばれる類の男キャラばかりである。皆それぞれに見目が良いのが笑いどころである。初めて彼らの事を見た時、変身願望強いなーと思った。


 自分が成れない者に成りたいというのは誰にでも少しはある感情だろうけれど……流石にこうなんというか……うん。正直、気持ち悪い。現実世界で巧く行かないから、ゲームの世界でがんばったのだろうけれど……私は所詮、データでしかないと思う方だ。


 ゲームが終了したら何にも残らない。それでいて、遊んでいた間に他の人が先に進んでいる事を妬むのがまた、気持ち悪い。


 ま、そんな人達がすべてではないけれど。ゲームを通して築いた人間関係は残るわけだし、その人間関係から新しく何かが生み出されるなら否定する程でもないかな。


 ともあれ、『私はこの世界ならなんでもできるんだ』なんて思っているのがエリナである。見目だけは良い男達と毎晩毎晩逆ハーレム状態で致しているとかなんとか。そんなに楽しいかね、とVR処女かつリアル処女であるところの私は疑問に思う。


 そんな彼女のことである。もしかするとこの世界から帰りたくないのでは?と時折思う。


 私は今すぐにでも帰りたいと思う。


 そのためにはいずれギルドメンバーも、あのこも殺してしまわないといけないのだけれど……仕方ない。ここには……彼がいないのだから。


「そういや、弟君、いつになったら出て来るのよ?」


 考え込んだ私に、エリナが小馬鹿にしたように笑っていながら問い掛けてくる。


「しらない」


 気の弱いあのこは、初日の魔法使いによる惨劇の御蔭で心が折れてしまった。


 意識はあるし、話しかければたまにだけれど返事もする。食事もとっているし、心が死んでいるわけではない。けれど、心が折れている。


 自分から何かをしようとは思わないし、何もしていない。


「円卓の騎士の面汚しって言われてるの分かってるんでしょ?なんとかしなさいよ」


 ちなみに率先して言っているのはこの女である。と言う事を私が知っている、というのを彼女は知らない。


「何とかはしているわよ。何とかは」


 面倒くさがり屋な私だけれど、あの子の面倒に関しては割と甲斐甲斐しく見ているつもりである。いずれ殺す事になるとしても、出来ればあの子は最後に回したいと思っている。


「お姉ちゃんなんだから、しっかりしなさいよ」


「どの口が言うんだか……」


「この可愛らしい口よ?ま、弟君の事は良いわ。じゃ、好きにさせてもらうわね。落としたら私のお城って話、覚えておいてよね?」


 言質は得た、と言いたいのだろう。まったく……どこの馬の骨が彼女にそんな入れ知恵をしたのやら……


 去って行くエリナから目を逸らし、目を閉じる。


 とりあえず、お風呂入りたい。


 お風呂に入って染みついた匂いを消したい。


 女王様がみておられるぞーとか訳の分からない呷りをしている肉に塗れた者達。


 どうして、こんなギルドになったんだろうなぁ、と少し思い悩む。


 人が増えたからだろうなぁと思う。


 結局、最後は1人だけ。


 そんな事、皆分かっているはずなのに……もう、忘れたのだろうか。こんな風に欲に塗れているから、この狂った世界に慣れるのも早いのだろうか。


「ほんと……つまんないゲーム」


 さっさと帰りたい。






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