#160 お勉強。
優弥が図書室へ向かうと、図書室前には女子の大群がいた。
「奏太くーん!私にも教えてー!!」
「竜くーん!私が教えてあげるー!」
「きゃー!ヒナちゃぁーん!」
必死な女子達の姿に、優弥は思わず立ち止まった。
『奏太君?竜君?ヒナちゃん?』
因みに、ヒナちゃんはおそらくカナのことだろう。
苗字が日向なので中学時代はそう呼ばれていたのだ。
そんなことは置いといて。
ここに奏太がいるのは確か。
優弥は女子達の間を無理矢理通り、図書室のドアを開けた。
『ちょっと奏太っ!何して・・・』
奏太達はなんと、勉強していた。
図書室の机で、奏太と竜が向かい合い、叶が奏太の隣に座っている。
勉強している、というよりかは竜が勉強を教えられているのだろう。
「ゆーやん!ちょっとゆーやんも俺にべんきょー教えてよ!」
竜がぶんぶんと手を振ってくる。
優弥は竜の隣に立ち、目の前にいる奏太をじっとみつめる。
奏太は無反応だったので、優弥は奏太がかけていた眼鏡を無理矢理外した。
「・・・何」
ようやく奏太が優弥の方を向く。
『コンタクトじゃないの?』
「・・・さっき落とした」
『こんなとこで勉強してたの?』
「竜が泣きついてくるから・・・」
『一緒に帰ろうよ』
「・・・」
奏太は、チラリと竜を見る。
竜はその視線に気付き、広げていたノートを閉じた。
「そろそろ下校時刻も迫ってるし・・・奏ちゃん家で勉強しよっか♪」
「何でそうなるんだよ」
「まぁ、ここじゃ騒がしいしね」
そう言って叶はチラリと女子達の方を見た。




