コーラ……
お、遅くなりました……
思わずため息を吐きたくなるが、なんとか堪えて口を開く。
「もしかして………カツアゲ、ですか?」
「は? ンなわけねーだろ、借りるだけだって」
「ちなみに、貸したら返してくれますかね?」
「あったりめーだろ! ちゃんと気が向いたら返してやるって!」
それこそカツアゲだろう………
気が向かなかったら永遠に返ってこない訳だし、そもそも返す気があるのかって話だよなぁ。
改めて目の前にいるヤンキーを見てみる。
背は俺よりも少し低い160後半くらいで、ブレザーの代わりに黒いパーカーを着ているが、それ以外は制服をしっかりと着こなしている。髪はショートヘアでピンク色に染められている。口調は男っぽいがそれ以外は普通の女子という感じがする。
というか、普通の女子生徒じゃん。あ、普通のヤンキーの女子か。
「………なにジロジロ見てんだよ」
「あ、すみません」
「それよりも、早く貸してくれねーか? 喉渇いてんだよ」
「はぁ…………はい、ちゃんと返してくださいね?」
「おう、ありがとな!」
ヤンキーは俺から小銭を受け取り、すぐに自販機に突っ込んでコーラのボタンを押した。
「………あー、生き返る!やっぱコーラだよな!」
「はぁ、そうですね」
コーラねぇ……美味そうだけど、今はお茶の気分かな。
自販機に小銭を入れてお茶のボタンを押そうとすると、ヤンキーが動いた。
「なにお茶なんて買おうとしてんだ? コーラだ、コーラ!」
「ちょ、なにするんですか!? お茶の気分だったのに!」
このヤンキー、勝手にコーラのボタンを押しやがった!?
………仕方ない、諦めよう。
「オマエ、名前は?」
「鈴春 晴です」
「オッケー、晴だな。私は榊 杏奈だ、よろしくな!」
「はい、こちらこそ」
そろそろ行かないと時間が…………でも、なんでこの人余裕そうにしてるんだ?
「すみません、俺はもう行きますね」
「ん? なんだもう行くのか? もっとゆっくりしてけよ」
「でも、初日から遅刻は………」
「別にいいだろー、サボっちまえよー」
さすが、ヤンキーだ……………
とりあえず、教室に行かないと!




