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私のペットな吸血鬼  作者: 埜吹陸斗
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吸血鬼さんバトルする20

 昨日ファー・ジャルグを蹴り飛ばした時にも感じたが、吸血鬼の身体能力というものは相当に高いらしい。


 と、蓋が外れたピアノの奥から私と千恵がよく知る人物が姿を現す。


「「美千代みちよちゃん?」」


 それは、私達の担任の教師、相澤あいざわ 美千代みちよだった。


 驚きに目を見張る私と千恵。


「え、どういうこと? なんで先生がピアノの中に? っていうか他の皆は?」


 思わぬ場所からの思わぬ人物の登場に、頭の中を全てクエスチョンマークだらけにしながら私は問い掛ける。


 すると、彼女もやっと私達に気付いたらしく、ふらつきながらも此方に這って来た。


 彼女の着ている藤色のジャケットやスカートは所々が裂け、頭や腕からも大量に出血している。


 見えるところでさえあんなに傷を負っているのだ。服に隠れて見えない部分にも、きっと打撲などの怪我が沢山あるのだろう。


 彼女は、そんな体を引きずりながら、此方に必死で這ってこようとするが、遂に途中で力尽き、倒れてしまう。


 途端、床には彼女の額から流れ出したのであろう紅が池を作り、その範囲を広げていく。


(このままじゃ先生の命が危ない……!)


 私は反射的に走り出すと、先生に駆け寄り、ぐったりとした体を抱き締めた。


 すると、事態の急を察したリルゼイも何時の間にか隣に姿を現し、先生に治癒を施し始める。


 彼の掌から、柔らかな紫の光が溢れ、先生の体を包み込んでいく。


 それらはリントや千恵の時同様、目を閉じたままの先生の体の隅々まで行き渡ると、傷を一つ残らず消していく。


 細かなものですら傷が無くなった瞬間、先生がゆっくりと瞳を開いた。


(良かった、先生が助かって!)


 担任が息を吹き返したことで、ほっと安堵の息をつく私。


 すると、先生が徐に私とリルゼイの手を握って語り掛けてきた。


「お願い、あの子達を助けて……!」

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