吸血鬼さんバトルする14
けれど、千恵は怪我人なのだ。絶対に無理はさせられない。
もし、万が一無茶をさせて、彼女を喪ってしまう様なことがあった場合――私はこの先、まともに生きてはいけないだろう。
それ位、彼女は私にとって、とても大切な……かけがえのない存在なのだ。
(でも、千恵は言い出したら聞かないんだよね……)
大切な親友であるからこそ、私は彼女の性格を熟知している。
千恵は絶対に言い出したら聞かない性格なのだ。しかも、昔から代々続く商家出身の為か、義理や人情を非常に強く重んじる少女なのである。
差し詰め、女版清水次郎長といったところだろう。だからこそ、その性格故彼女はクラスの皆や部活の後輩達からとても好かれている訳なのだが。
(けど、どうしようかな。千恵のことだし、ダメって言ってもついてきちゃうよね)
そこまで考えると、私は再度リルゼイに視線を向ける。
と、どうやら彼も何か考え込んでいる様だ。きっと、千恵のことだろう。
仕方のないことである。何せ、彼女の性格を知っていた私だって、千恵が一緒に来たいと言い出すとは思ってもみなかったのだから。




