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吸血鬼さんバトルする11
「大丈夫、千恵!?」
私は咄嗟にしゃがむと、彼女の周りに落ちていた細かな瓦礫を急いで払い除ける。
すると千恵は、彼女らしからぬ力のない笑顔で微笑んでみせると、ほっと息をつく。
「真由が無事で本当に良かった。ほら、あたしが来いって行っちゃったでしょう? だから、もしかしたら遅く来て、私達の知らない所で、不審者に出くわしてるんじゃないかと思ってさ。そしたら、地震が起きて。探しに行こうとしてたんだけど」
私は、親友が一人だけドアの外で隠れていた理由に納得する。
千恵はホールから出た所を、ファー・ジャルグと神獣の戦いに遭遇してしまったのだ。
「瓦礫は落ちてくるし、ドアからは大きな音はするし。私、訳が分かんなくて……動けなく、なっちゃって」
それは、どれ程怖かったことだろう。
私は胸ポケットから絆創膏を取り出すと、千恵の指先や足の目立つ傷にぺたぺたと貼っていく。
「ありがとう……ごめんね、真由。もし、私があんたからの不審者の情報を信じて、ちゃんと皆に伝えていれば」
そうすれば、こんなことにはならなかったのに――。




