吸血鬼さんバトルする⑥
私は、彼が放った言葉の孕む不吉さに、少しだけ眉を潜めた。
「そんな……それじゃぁ、まるで……」
(神獣が、人間なんてどうでもいいって思ってるみたいじゃない)
私は思わず、そう口に出しそうになる。
しかし、もしそれを告げてしまったら、何だか本当になってしまいそうで、私はぎゅっと口を噤んだ。
と、不意に視界がぐらりと揺らぐ。
「きゃぁ!? 今度は何……!?」
ぎゅっとリルゼイにしがみつく私。けれど、あまりに慌ててしがみついた為、まるで彼の胸にすがりつく様な形になってしまう。
(わーわー!? どうしよう~!?)
今まで兄以外の男性とあまり接したことのなかった私は、不測の事態であったとは言え、自ら男性の胸に飛び込んでしまったことに激しく動揺する。
きっと、あの時の私の顔は、採れたての苺の様に赤かったことだろう。
(リルゼイと出逢ってから、ドキドキすることばっかりだよ……)
彼の胸に頬を寄せたまま、内心でそう呟く私。これからクラスメイト達を救出しに行くというのに、私がこんな様子では、一体どんな表情をして会えばいいのか。
(少し頭を冷やさなくちゃ)




