吸血鬼さんバトルする③
すると、リントが勢いよくポケットから顔を出すと、激しく頭を振りながら話し始めた。
「恐ろしいなんてもんじゃないよ。ううん、恐ろしいなんて言ったら、本当は良くないんだけど。でもね、凄く怖いんだ。だって、神獣は僕達精霊や幻獣の凄く上の存在だから。僕達を束ねて、ルールを作っているのが、彼ら神獣なんだよ」
其処まで聞くと、私は少しだけ考えながら口を開く。
「ん~、よくわかんないけど、それってこの国で言うところの総理大臣みたいなもの?」
と、小さく首を振るリント。どうやら違うらしい。
彼は言葉を選ぶ様にしながら、ゆっくり話し始めた。
「総理大臣って言うより……どちらかと言うと、昔の王様に近いかな。僕ら普通の精霊と違って、彼らには沢山の大きな力があるからね。だからこそ、本来なら、神獣はあまり人間界には姿を現さない筈なんだ。神獣にとって、人間の世界は、空気も合わないし……何より、力の源になる自然が少ないからね。でも、そんな神獣がわざわざ姿を現すなんて……」
それでも、お馬鹿な私には、神獣というものが人間にとってどれだけ恐ろしい存在になり得るのかいまいちピンと来なかった。




