吸血鬼さんバトルする
「うぅぅ。 理不尽だぁ。 何で私ばっかりこんな目に~!」
リルゼイに横抱きにされながら、私は叫ぶ。
今、私達は、学校を目指して夜空を飛んでいる真っ最中だ。
時刻は、夜の八時十五分。集合時間から、もう十五分も経過してしまっている。
(皆、お願い……! 無事でいて……!)
クラスメイト達の笑顔を脳裏に思い浮かべながら強く祈る私。
それでも、星の見えない夜空を飛んでいると、時折、『もしかしたら、もう間に合わないんじゃないか』という思いと、ファー・ジャルグに対する恐怖が頭をもたげてくる。
しかし、そんな弱音を、ありったけの強気と思いと空元気で捩じ伏せて、私は視線を前方へと向けた。
其処に見えて来たのは――漆黒の闇に包まれても尚、朧気に輝いて見える私の学校だった。
実は私の通う学校は、周囲の灯りを受けてほんのりと光を放ち、浮き出している様に見える白亜の壁が特徴なのである。
その白い光を頼りに、校舎に接近する私達。
すると、金色に輝く一筋の光が私達を追い越していった。
「えっ? 何、今の?」
風の様な勢いで走り去って行ったそれに、私は思わず面食らう。




