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吸血鬼さん、今度はイン我が家⑦
「では、早速だけどリントくん? 学校で君に何が遭ったのか……詳しく僕達に聞かせてくれるかい?」
「うん」
父の言葉にリントは小さく頷くと、襲撃時を思い出す様にゆっくりと語り始めた。
「あれは確か、今日の朝六時頃だったと思う。僕はあの時、渡り廊下の軒先に生えた氷柱から力を分けて貰おうとしてたんだ。そうしたら、裏門の方から急に女の人が飛び出して来たんだよ」
「女の人?」
訝しげに尋ねる真由に、こくりと首肯くリント。
「うん、綺麗な女の人。でもね、何だかちょっと様子がおかしくて。何て言ったらいいんだろう……見た目は普通の女の人なのに、まるで、中身は別人みたいな。歩き方もふらふらして、男の人みたいだったし。兎に角、何か凄く変な感じがしたんだ」
リントの言葉に、私とリルゼイは互いに顔を見合わせる。どうやら、考えることは互いに一緒だったらしい。
(中身が別人みたいな女の人って、もしかして)
しかし、嫌な予感に顔を見合わせる私達を他所に、リントは話を進めていく。




