吸血鬼さん、今度はイン我が家③
まるで体温を分け合うかの様に、私達は暫くそうしていた。
と、リルゼイの唇が、そっと私の額に触れる。
「真由……ありがとう」
彼の瞳は何処か悲しげで、私も何故か少しだけ悲しくなった。
(昔、本で読んだことがある。確か、吸血鬼って死人なんだよね。だから、リルゼイも冷たいのかな……でも、もしそうなら私の温もりが、ほんの少しでもいいから彼を温めてあげられます様に)
彼に触れたまま瞳を閉じ、私は祈る。
二人の間を静寂だけが通り過ぎていく。
すると、そんな静けさをぶち壊す様にリビングから大きな声が聞こえてきた。
「おーい、真由ー、リルゼイくーん? 夕御飯の支度が出来たよー!」
父だ。
その声に、私とリルゼイは互いに顔を見合せると、ふっと笑い合い――手を繋ぐと、リビングに向かい駆け出して行った。
「ごめーん、パパ! 今いきまーす!」
☆☆☆☆☆☆
リントを肩に乗せ、私達はリビングのドアを開ける。
そこで私達を待っていたのは、テーブルの上にずらりと並んだご馳走の数々だった。しかも、よく見ると全て和食である。
「えっ、ママ? これ、どうしたの?」




