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吸血鬼さんIN学校11
つまり、非常に危険な存在が、単身――或いは複数、この辺りに居るということではないのか。
そこまで考えると、慌ててリルゼイを振り返る私。
と、彼も同じことを考えていたのか、私に一つ頷いてみせると、重々しく口を開いた。
「……いる、な。 何かが、この場所に」
私は得体の知れない寒気を感じ、小さく身震いをする。
すると、私の体が不意にあたたかな腕の中に引き寄せられた――リルゼイだ。
彼は、不安に震える私をそっと撫でると、穏やかに告げる。
「大丈夫だ、真由。君も、君の大切なこの場所も、私が絶対に護ってみせる」
そう言うと、リルゼイは優しく私の額にキスをする。
「リルゼイ……」
彼が大丈夫だと言うと、本当に大丈夫な気がしてくるから不思議だ。
私は静かに瞳を閉じると、彼の温もりに身を任せる。
と、そんな私の頬をつんつんとつつく小さな指。
(ん? 誰?)
私がうっすら目を開けてみると、小さく首を傾げながら此方を見つめる精霊の少年の姿があった。
(やばっ、忘れてた!)




