吸血鬼さんIN学校④
「君の小指から伸びた赤い糸を辿ったら、辿り着けたんだ」
「っ!?」
彼の甘い言葉に思わず固まる私。
ちなみにこの時、彼の周りに居た女子軍団から、悲鳴にも似た叫びが巻き起こったらしい。
だが私は完全に前後不覚になっていた為、全く気付かなかった。
「なっ、なっ!? 赤い糸って、何言ってんのよ!?」
公衆の面前で甘過ぎる言葉を吐かれた事による、極度の照れと恥ずかしさと緊張で、私は大暴れする。
なんとか彼の腕の中から抜け出すことに成功すると、彼はそんな私に目を細め、優しく頭を撫でてきた。
「驚かせてしまったかな? 済まない、本当は近所の蝙蝠に聞いて来たんだ」
「吸血鬼って蝙蝠と会話出来るんだ!?」
彼の発言に違う意味で愕然とする私。
彼は愉快そうに笑いながら、私の両手にお弁当箱とドリンクを乗せてくる。
「先程から、ころころと変わって。本当に、君の表情はいつ見ても飽きないな」
「なっ……!? 何言ってるのよ、もう! この馬鹿居候!」
私は乱暴にお弁当箱とドリンクを受け取ると、彼に背を向け、体育館に向けて歩き出す。
と、背後から何やら感じる人の気配。




