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私のペットな吸血鬼  作者: 埜吹陸斗
24/81

お持ち帰りは吸血鬼で宜しいですか?⑥

「いやぁ、心配してたんだぜ? 可愛い妹がばーさんになっても、彼氏いない歴=年齢のままでいるんじゃないかってさ」


 失礼なことを愉快そうに笑いながらのたまう兄。


「超失礼! お兄ちゃんの馬鹿!」


 私も軽口で応戦しつつ、こっそり足にキックをお見舞いする。そして、直ぐに兄からの反撃に備え、防御の姿勢をとる私。


 だが、幾ら待ってもそれはやって来なかった。


(おっかしいなぁ。 何時もなら直ぐに頭をぐりぐりしてくるのに)


 不審に思って兄を見上げてみると、至極楽しそうに細められた兄の目と目が合った。


(絶対なんか良くないこと考えてるよ。もう、嫌な予感しかしないんだけど)


「今度は何……?」


 私は胡乱げな目付きで暫し兄を見つめる。


 すると、兄が徐に正面右側にあるキッチンカウンターの上を指差した。


 その指先を目で辿る私。


 すると其処には、でかでかと【祝! 真由ちゃん初彼氏!】と書かれた横断幕が張り付けられているではないか。


「な、なっ、何よこれ? まさかお兄ちゃんがやったの?」


 瞳にありっけの殺意を乗せて見つめると、兄は慌てて首を振った。


「違う違う、俺じゃない。母さんだ」

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