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蜘蛛の意吐 ~あなたの為ならドラゴンも食い殺すの~  作者: NOMAR
~あなたとわたしの未来のために~
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六の五

酒宴の続き

三人とも酔っぱらってきてます。


 ゼラとエクアドと盃を重ねる。監視されながらの酒宴だが、慣れてしまえばかつてのようにバカな話などしながら酒を飲む。


「そのうち、ゼラを連れてローグシーの酒場に行ってみたいものだ」

「ゼラの身体は酒場に入れないだろう」

「入り口前にテーブルと椅子を出して貰って」

「どの酒場も蜘蛛の姫を取り合いするんじゃないか?」

「そのときは何店回ればいいだろう?」

「ン、また皆でバーベキューパーティとかしたい」

「あのときは生肉無し、お茶無しでゼラにはもの足り無かったか」

「ンーン、皆で賑やかで楽しかったよ」

「そのうちローグシーの街の酒場でも、ゼラが遠慮無く飲み食いできるようになるか?」

「流石にまだ早くないか?」

「ン、焼いたお肉も皆で食べると美味しいよ」


 お茶に酔って体温が上がったのか、


「ぷーは」


 ゼラが、思いきり良く赤いベビードールをスポンと脱いで裸になる。エクアドはゼラの身体検査の立ち会いで、ゼラの裸体を目にするので、ゼラも俺とエクアドしかいないときは裸になってもいい、と思ってる。

 立派なポムンがプルンと弾む。エクアドはさりげなく視線を外して、


「ゼラはやっぱり裸の方が楽か?」

「ウン、倉庫の中で、人に見せなければいいんだよね?」

「カダール以外には見せない方がいいんだが」

「しかし、エクアド、アルケニー監視部隊の女性隊員はゼラの褐色の双丘を見たり触ったりしてるのだろう?」

「あれもどうかと思うのだが」


 ルブセィラ女史がゼラのポムンを触ると幸せな気分になると言い出し、女性隊員はゼラの胸に触ったりしている。男性隊員は触りたい者もいるのだろうが、そこは我慢している。


「ゼラは、その、人間の身体の学習になってるんだよな?」

「ウン、ゼラのおっぱい見せて触らせて、代わりに隊員の人のおっぱいをゼラが見て、触らせてもらうの」


 ゼラは上半身人間体へと進化した蜘蛛の子。人の身体というものがよく解らないという。最近はお洒落にも興味を持ち、服やアクセサリーもこれが綺麗、あっちが可愛いと母上に女性隊員達と話をする。

 それと共に人の身体も前より気になるようだ。ゼラが自分と人がどう違うのかと、女性隊員に聞いたり見せてもらったりしている。一応、ルブセィラ女史と母上に監督してもらっている所で、触りあったり見せあったりしている、という。

 その間、俺とエクアドは逃げるように外に出る。


「女性隊員の中にも、あの鎧鍛冶師妹のように目付きが危ないのがいるのが心配だが」

「ルミリア様が見てるから一線を越すことは無いと思うが」


 エクアドと二人でゼラの顔を見る。ゼラは自慢するように二つのポムンを手で持ち上げる。


「皆、ゼラのおっぱいに顔を埋めると、心が穏やかになって幸せな気分になるって言うよ?」

「それはとてもよく解る」


 俺だけじゃ無いのか。ハウルルもそうだったが、女性隊員達もそうなのか。微かに甘い匂いのする褐色の双丘は、男女問わず楽園の入り口なのか。


「エクアドも触ってみる?」


 エクアドが口にしたブランデーを、ばふっと霧状に吹く。小首を傾げて無邪気に言うゼラの破壊力は抜群だ。


「げほっ、ごほっ、ゼ、ゼラ、そういうのは(つがい)だけ、カダールだけにしてくれ」

「ン? 母上は? ルブセは? 女の人はいいの?」

「同性なら、まぁいいだろう。ゼラが人の身体について教えてもらうというのもあるし」

「子供は? 男の子もゼラのおっぱい触りたがるよ?」

「子供のすることなら、その、いやらしく無ければいいのか?」

「何歳まで子供? 何歳からダメな大人?」


 ゼラの話を聞きながらブランデーを呑み考える。


「早熟な子もいるから具体的に何歳とか言うと、何か違う気もする。俺がおっぱいを性的に感じるようになったのは、何歳からだったろうか?」

「カダール、落ちついているがお前の妻の胸を他の男が触ってもいいのか?」

「良くは無い。俺もハウルルがゼラの胸にしがみついているのを見て、嫉妬を覚えた」

「そういうものだろう?」

「だが、そのあとでこうも考えた。ハウルルに嫉妬を覚えた俺は、なんと器の小さい男だろうか、と。ゼラは何でエクアドに触らせようと思った?」


 ゼラはテーブルに肘をつき、テーブルの上にポムンを乗せる。


「エクアドはゼラの検査のとき、ゼラのおっぱいをチラチラ見るよね?」

「それは、そこに目が行ってしまうのは、男の悲しい(さが)というもので」


 言いながら目を背けてブランデーを呑むエクアド。うむ、男ならゼラの胸に目が行くのは仕方無い。世の中には違う趣味の男もいるだろうが、ゼラのポムンの引力は格別だ。

 ゼラは思い出すように視線を下げる。


「ハウルルもゼラのおっぱい好きで、それならハウルルが生きてる間に、もっとちゃんと触らせてあげたら良かったって、今になって思うの」

「それは、ハウルルはそうかもしれないが、俺は、」

「エクアドはゼラとカダールの為に、いつも頑張ってくれてるから、何かお礼できないかなって」


 うぅむ、ゼラにとってエクアドもただの絵本の人じゃ無くて、優しくしてくれるいい人だから何かしてあげたい、と思うようになったのか。これも人としての成長なのだろうか。


「おい、カダール、ゼラにちゃんと教えろ。恋人の身体を好きにしていいのは、心を許した恋人だけだと」

「あぁ、ゼラのおっぱいは俺専用だ。エクアドの言うことも正しいが、だが、この幸せの果実を俺が一人占めしてもいいのだろうか?」

「おい、カダール、酔っているのか?」

「だいたい、何故、俺一人がおっぱいいっぱい男と呼ばれねばならないんだ?」

「それは、カダールの記憶のゼラの裸身を、闇の母神と深都の住人に見せつけたのが、カダールだからだろう?」

「男とは口に出さなくとも、誰もが頭の中はおっぱいいっぱい男では無いのか? 俺だけがそう呼ばれるのは、不公平じゃないか?」

「人の頭の中は暴いて見せていいものじゃ無いだろう。そこに俺を巻き込むな」

「ゼラがお礼をしたい、と言うなら、俺が見てるところでエクアドにちょっと触らせるぐらいは、許してもいいかな、と」

「俺は弟になる男の嫁の胸をまさぐったりとかしないぞ。おかしな気の使い方をするな」

「エクアドの高潔さは立派だと思う。だが、一度もゼラの胸に触らず死ぬことになったら、後悔しないか?」

「酔いを覚ませカダール。俺はお前と気まずい関係になりたくは無い」

「エクアドはもっと呑め。それにゼラがいいと思うなら俺はそれもいいと考える。エクアド、人の小さな常識に囚われるな」

「おい、カダール」


 俺はブランデーのグラスを煽る。ゼラを独占したいというのは俺の我が儘で、これはこれで間違ってはいない。


「ゼラとムニャムニャしていいのは俺だけだ。だが、ゼラの溢れる優しさは俺の親友にお裾分けしてもいいんじゃないか。ゼラ、エクアドも恥ずかしがりで本当は触りたくても正直に言えないんだ。それが騎士というものなんだ」

「ウン、チチウエも男の意地はときにヤセガマンって言ってた」

「だから、ゼラの方からエクアドに触らせてやってくれ。ただし、俺が見てるところで、エクアド以外の男には気軽に触らせてはダメだぞ」

「ウン、わかった!」


 ゼラが立ち上がりエクアドににじり寄る。


「待て、待てゼラ、カダールは飲み過ぎて酔っているんだ。ゼラのおっぱいはカダール以外の男に許してはダメだ」

「カダールがいいって言ったよ? それにエクアドはカダールの親友だし」

「親友だからって恋人の胸を共有とか、何かおかしくないか? 所有権の問題はハッキリさせないと戦争になるぞ」

「エクアド、所有者の俺が許可すると言っている。こんなことで無用の血は流れない」


 腰を浮かせるエクアドの肩を抑えて椅子に押さえつける。ゼラがエクアドを見下ろして身を屈める。


「お、おい、なんでこうなる?」

「エクアド、ゼラのお礼を受け取ってくれ。ゼラ、エクアドにパフンだ」

「ウン、パフン」

「待て待て待て待て、ちょっと待ファ!」


 ゼラのポムンがエクアドの顔をパフンとする。息を飲んで硬直するエクアド。

 俺以外の男にゼラの胸を好きにされたくは無い。だが、エクアドは他人では無い。ゼラのお礼を受け取る資格のある男だ。一線を越えることは許さないが、ちょっともみもみするくらいはいいだろう。

 ゼラは子供を抱っこするように優しく微笑み、エクアドの頭をよしよしと撫でる。エクアドは無言のまま、身体から緊張が抜けていく。俺はそれを見ながら、エクアドの手から落ちるグラスをキャッチしてグラスに残る酒を飲む。


 ゼラの羞恥心は人と違う。人の中で暮らし少しずつ人の価値観や常識を学んでいる最中だ。していいこと、してはいけないことを学んで、これからはこういうこともしないようになるだろう。

 今はゼラの、優しくしてくれる人には優しくしてあげたい、というその気持ちを尊重してやりたい。ハウルルの一件から後で後悔しないように、今、できることをしようという気持ちを。

 エクアドはゼラの胸に顔を埋めたまま、止まっている。触ってもいい、と言ったのに手が中途半端なところで浮いたままだ。刺激が強すぎたのか? エクアドは俺よりは女に慣れているはずだが。

 グラスにブランデーを注ぎ、もう一杯ゆっくり呑みながら二人を見る。ハウルルを抱っこするのと同じようにエクアドを胸に抱くゼラ。エクアドもゼラには可愛い男の子なのだろうか。幼子を祝福する聖女の絵画のような、不思議な神聖さがある。


「……ゼラ、そろそろ、いいんじゃないか?」

「ウン」


 するべき事をした、というスッキリした顔のゼラに新しく入れたお茶のカップを渡す。エクアドにもブランデーを入れたグラスを渡すと、煽るように一気に飲む。ふう、と深く息を吐く。


「どうだった? エクアド?」

「……その感想はどう応えても俺が墓穴だろう。ゼラがお礼をしたいという気持ちは受け取った。だが、ゼラに言っておきたいことがある」


 ゼラがンー? と首を傾げる。


「俺がゼラにいろいろとしたいのは、これは俺のゼラへの礼だ。カダールのついでとは言え、ゼラには命を救われた。それにゼラが来てくれたことで、俺は自分の部隊を持てた上に伯爵家の一員だ。礼をするべきは俺の方だ」

「ンー、でも、エクアドが隊長でゼラとカダールの為にいろいろしてくれるのに、ゼラが何かしてあげたくなったの」

「あぁ、それは今、予想外の形で受け取った」


 片手で頭をかかえるエクアドのグラスにお代わりを注ぐ。


「エクアドは俺より経験があるんじゃ無かったのか?」

「そんなに遊んでる訳じゃ無い」


 ゼラが泥酔しないようにお茶はそこそこで止めておく。その後、珍しくエクアドが深酒し、テーブルに突っ伏して寝てしまう。ゼラと二人でエクアドを持ち上げて、ゼラの蜘蛛の背に寝かせて毛布をかける。


「俺達も寝るか」

「ウン」


 ゼラは背中にエクアドを乗せたまま寝床に。エクアドは既に熟睡している。

 俺が仰向けに寝てゼラが俺の胸を枕にするいつもの体勢に。寝る前にゼラのポムンを両手でむにむにする。


「あん、カダール」

「くすぐったいか?」

「ウウン、気持ちいい。でも……」

「でも?」

「ムニャムニャしたくなっちゃう」

「それじゃ、この辺で止めておこうか」

「カダールは、幸せ?」

「もちろんだとも」


 ゼラとお休みのキスをする。ゼラの褐色の双丘にも。

 エクアドとは騎士訓練校からの縁で、親友であり戦友。戦場を共にした仲だ。信頼する高潔な騎士であり、ウィラーイン家の養子となり俺の兄となる。

 だが、この夜、エクアドとはこれまで以上の深い絆ができたような気がする。ゼラのポムンという楽園に顔を埋めた兄弟という感じだろうか。


 翌日以降、エクアドは隊員達から『酔った勢いでゼラの胸の魅力に負けた男』として、女隊員からは生暖かい目で見られ、男隊員からは同情と嫉妬を買うことになる。


「結末が読めてはいても、回避できるかどうかは別の話、か」

「その、エクアド、すまん」

「酒の上のこととしてくれ」

「エクアドが手を出した訳では無いし、それも監視小屋から見てれば解るだろうに」

「……ゼラの胸に見蕩れて逃げ損なったのは事実だからな。抱きつかれてみれば、今までに感じた事の無いやすらぎに包まれた……、凄いなあれは」


 青空を見上げるエクアドの瞳は澄んでいた。




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