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「何?ないわけ?じゃあ今から作ってきなさいよ。最後にこれをしっかりどこかの家に入れて」
はぁ―――ぁあああ!?そこまで言うんなら自分で行けばいーだろーがよ、自分で行けっつーの。
そう言いたい気持ちでいっぱいなんだが、あいにく俺の喉を通ってその言葉は出て来ず、声になって出てきた言葉は「ハイ」と、まるで兵隊がするような返事であった。
くーぅッ、情けねー。(カッコ悪いって?うん、それ俺が一番よく分かっている涙、そして涙)
「まぁもう少し待てばお姉ちゃんの車がくるからそれに乗せてあげても良かったんだけど、いかんせん納車はまだなもんでさ」
「は―――ぁぁあああああ!?なんだよそれ?」
「あら?言ってなかったっけ?誕生日すぎてすぐに免許取りに行って、数週間前に車買ったのよ」
「は?何それ?聞いてねーし」
「そうよ、だって言ってないもの、あんた入院してたし」
「マジかー、何の車?」
「軽自動車よ、ココア」
「うあわ~」
「うわぁ~って何よ」
いや、なんとなく先越されたこの感じ・・・・・・なんだ、この嫌な感じは。
何となく、話が長くなりそうなので、急いで黄色いハンカチをポケットに入れ、筆記用具を持ち出し階段を下り、玄関を出てC町へと向かう。
一番左下からC町##1
「目立、屋城、川南、納島、城田、杉良、羽島、そしてごみ屋敷の咲川。
続いて、二番目霜田、柴雨、屋内、新花、そして公園を挟んで三太、市早、環矢、中代
三番目芝居、木中。
その上からC町##2で一番左下から豆島、目黒、夢路、主基。
二番左から西屋、赤名、不留、桃白。
三番左から柿田、新築が二軒つづき(空き家)都民谷、
そして3階建てのビルがあり、101秦、102柳城、201壮大、202尺山301鼻島302島谷
そして一番奥左から金持ち二軒で、翠さんと耳山さん。」
これで全部か、暗くて見えにくい為に不審者と思われたかもしれないが、まぁ変に声を掛けてくる人もいなかったから大丈夫だろう。
走って家まで帰り、姉貴に手渡してすぐに夕飯を食べる。うんまー。「で、どこの家にいれてきたわけ?」オカンがそんな事を知っていると思わなくて、ブーっと噴出してしまった。




