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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
ドロップドハンカチーフ2 第一章 進級
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 しかし、オトンがあんな大金隠し持っているなんて思いもしなかったぜ。大体オカンは知ってんのかよ?オカンに言ったところで、面倒な事になりそうだもんな。

 俺は、これからどんなことがあっても、オトンの味方につこう!

 そんな事を考えながら家に着き、思い出したようにポストを開ける。


・・・・・・あった。


 一応きょろきょろと見回す。犬の散歩をしている人がいるが、それ以外は誰もいない。家の中には入らずに、そのままC町へと向かい、公園真横の三太さんの家のポストに入れる。 無事に入れることが出来たが、柴犬が歯をむき出しにして吠えてきたので、逃げるようにして家に戻り鍵を締めた。


 夕飯は煮込みハンバーグだった。オカンの機嫌は随分良く、鼻歌まで歌っている。しかもアクアパッツァまで食卓に並んでいる。 


 オトンと久しぶりに逢えてうれしい気持ちは分からんでもないが、オトンがいない時だって頑張ってくれよ~と言いたい気持ちにはなったが、俺の気分だって浮かれ気味で、どうせならお祭り気分だぜ!と俺なりにはしゃいでいたら、姉貴に「亮介マジうざい」と言われて頭を思いっきり殴られた……。

 ひでーや姉ちゃん。

 姉貴にとって俺の喜びの祭り気分はうざいらしい。


 それから一週間もしないうちにオトンは再び海外へと飛び立った。


 オカンに免許取りに行く事を説明すると驚いてはいたが、オカンにお金を出してもらうわけではないので、特にうるさい事も言われなかった。


 ジュエリー(バイト先)の店長に事情を説明して、バイトに行く時間を減らしてもらう事にした。

 彫りの深い店長は、「俺の出来なかった夢をお前が果たしてくれ」とか何とか言ってやたら応援してくれている。まぁ、有難いのだが。


 一方で川嶋さんには、まだ言っていない。


 驚かせようと思っているのだ。免許を取ってから、川嶋さんに言う方がかっこいい、そんな気がして。


「ねぇ、関谷君今日バイト?」


 休憩時間に手招きして俺を呼んで川嶋さんが聞いてくる。

「うん、まぁ」

「じゃあ明日は?」


「明日も、バイト・・・・・・」

「じゃあ土日は?」


「あぁバイト、今忙しくて」

「えー何それー、せっかく映画一緒に観に行こうとおもっていたのに」


「ごめん、落ち着いたら俺の方から誘うよ」

「ふーん」川嶋さんは頬を膨らませている。


 ごめんね、免許取ったら一番に言うから。予鈴のチャイムが鳴り川嶋さんは音楽室へと向かった。


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