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うわー、あそこの家、超デカいな。耳山さん。なんかサングラス掛けたような男の人が中に入っていたんだが?もしかしてそっち系?暴力団的な?
うわ、その隣の家、翠さん。ベンツが3台も停めてあるんだが?
マジ金持ちだろー、何の仕事してんだろ?
そのまま立ち止まることなく、坂道をおりていく、ちょいちょい新築が立ち並んでる。
向こうから、コンビニの袋を下げたサラリーマンが坂道を歩いて上ってきている。こんな時間に仕事が終わったのだろうか。
ジロジロと見ていては失礼だから、目線を合わさないようにして、すれ違う。
そのまま坂道を下り、一番下の角の家、築四十年くらいで緑色の屋根の目立さんの家にポンっ黄色いハンカチを入れ、そこから一気にダッシュで家まで戻る。
静かにドアを開け、外を確認して誰もいないことを見て、自分の部屋へと戻る。
「始まった」何故だか、そんな風に感じながら階段をゆっくりと上った。
新学期。
学校の事務所前の外にある掲示板に張り出されたクラス替えの紙を見ながら自分の名前を探す。
あった。3組か。そして、3組の名簿の中に川嶋さんの名前があるか懸命に探す。
・・・・・・ない。
「残念だね」その声に振り向くと川嶋さんが口を尖がらせて立っていた。
「川嶋さん」俺の心はドキッと嬉しくなる。ついつい、顔が緩む。
「私、2組だったの」
「そーなんだ、でも隣のクラスじゃん」
「同じクラス狙っていたのにー」
ん?
ねぇそれってさ、それって、もしかして俺と同じクラスって事?俺と同じクラスになりたかったって、そーいう事なのか?
「まぁ、これからも遊ぼうよ」そんな事をいいながら、こんな返事なんかで良かったのだろうか、と一々不安になる俺。
高校二年生になった事だし、原付バイクの免許を取ろうかと考えている俺は、席につくなり携帯で、情報をかき集める。
講習を受けて、それから学科試験か。まぁ、免許取るのはそんなに難しくないにしても、問題はバイクだよな。
結構金かかるよな。二輪が取りたいが、大型ともなれば18歳からで、年齢がもう少したりないんだよな。




