表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第三章 終業
78/149

12

「亮介?今どこ?この前渡したお守り代わりの袋返してくれない、今すぐ必要なの帰ってきてくれる?」

「分かった、帰ったら返すよ」

「帰ったらって、いますぐ帰るよね?その中にどうしても大切な物が入っているのよ。今すぐに必要なの。いい?あと15分以内には帰ってきてよ?じゃないと、あんたの命は……」

「はいっ」

そう言って、電話を切り、ポケットから自転車のカギを取り出す。


「川嶋さん、ワリィ。どうしても帰らなきゃならない急用ができた。この埋め合わせは必ずするから。今日の所は本当悪いんだけどさ、これで」


 俺は腕時計を見ながら、エスカレーターを階段の様にして下りる。人の真横をすみません、とかき分けるようにして進みながら。

 自転車の小さな鍵穴に慌てれば慌てるほど、鍵が差さらねー。チクショー。15分以内に帰らないと、どんな目に合されるかわかんねー、っつうのによ。


 自転車をものすごいスピードで漕いで、家に着き、姉貴に、これ、と言って袋を渡す。ハァハァ――。


「あ、亮介ごめーん。電話したんだけど出ないんだもん。袋の中にネックレス入ってると思ってたんだけど、よく見たらジュエリーボックスに入っていたのよー。ごめんね、亮介」

……な、なななななんですと?

 俺は川嶋さんとのスイートラブを中断してまで帰って来たと言うのに。それも、ネックレスとか……。俺は泣きそうになったね。


 肩の力が一気に抜けた俺は、倒れ込むようにしてベッドに横になる。川嶋さん怒っているかな。

 姉貴みたいに性格悪くないから、怒らないでいてくれるよな?


 川嶋さん、最近また可愛くなったよな。そして、なんだか艶っぽい。川嶋さん、そう言えば俺に何かを言おうとしていたけど、なんだったんだろう。もしかして、愛の告白だったりとかしちゃって?


 川嶋さんとの事を考えるといつも甘酸っぱい。


 あぁ、これで、全て終わった。平凡な日々が俺を待っている。


 自転車の鍵をしていないことを思い出し、外に出る。もうすぐそこまで春が来ている。来年も川嶋さんと同じクラスになれればいいのだが。


 そうして、ポストを開けると黄色いハンカチと白い手紙が入っていた。


――1完――




 最初から最後までご覧下さった皆様、本当に心より御礼申しげます。

 ありがとうございました。

 あなたにとって沢山の幸せが山のように訪れますように。


一旦完結いたしますが、日数を空けた後に続きます。

この後ろに続きます。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ