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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第三章 終業
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11

その後、民家に助けを求め、俺は救急車で病院に搬送され、川嶋さんも一緒に付添ってくれた。その後警察から事情聴取を別々に受けることとなり、俺はそのまま病院に残り、川嶋さんはご両親が迎えに来たから心配いらない、と警察に聞かされた。


 翌日。

 西津さんと、隣の古川さん「強姦未遂及び殺人の容疑」で逮捕された。二人の家からは、モニター画面がテレビ局の様に設置されており、そこで、A団地B団地の様子を監視していたらしい。


「関谷君、ごめんね私……」病室にお見舞いに来てくれた川嶋さんが泣いている。

 左手の骨は折れていて、しばらく入院することになったのだ。


 小学生の頃、友達とふざけていて、不意に学校の窓ガラスを割った時に右足を骨折して以来、骨が折れるなんて久しぶりの事だった。昔よりも今の方が痛みが強い気がするのだが。


「俺の方こそ、ごめん」

「私、叔父が犯人だと思い込んでしまったの。それで、どうしたらいいか分からなくなってしまって」


後から分かったことだが、川嶋さんの家にあの日カメラが付いていなかったのは、川嶋さんの親戚が車庫に車を入れようとしたところ、バイクが停めてあることに気が付かずに、車がバイクに当たってしまい、その衝撃でバイクが倒れた時にミラーか何かが小型カメラに直撃したらしく、古川さんと西津さんは新しいカメラを設置することを考えている最中だったらしく、川嶋さんの親戚は、カメラの存在すら全く知らなかったらしい。


「無事でよかった」そう言って川嶋さんの頭をポンポンと優しく撫でるようにして右手で優しくたたいた。


退院後。両手も自由に使えるようになって、健康と言うものがいかに幸せかと言うことを気づかされた俺は、川嶋さんを映画に誘った。


 その前に、ポエムに入り川嶋さんはクリームパスタ、俺はオムライスを注文して、何回も何回も噛んで今のこの幸せをかみしめる。

オカンのオムライスも美味しいけれど、ここのオムライスもまた違った意味で、甘く美味しい。

 そして、川嶋さんの笑顔が見れること、それも目の前で。

 これ以上に幸せな事はない。


 映画を観た後、川嶋さんは「あのね」と恥ずかしそうに言う。

「ん?」と言った瞬間に携帯電話の着信音が鳴り響く。


 一体誰だよ?

 画面を見ると、姉貴だった。

「はい」俺の顔はみるみるうちに強張っていくのが感じられる。もちろん、単にビビっているだけなのだが。


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