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「ねぇ、関谷君の家ってどの辺?」
「そこの団地の所?」右手人差し指で家の方向を差す。
「マジで?じゃあ親戚の家と近いじゃん?」
「親戚の家って?」
ローズヒップティーを入れたカップを置きながら「ほら、この前食べたところのうちの親戚が経営してるっていったその親戚の事」といった。
「え?マジで。名前はもしかして……?」
「川嶋だけど?父親の兄なのよ」
はーマジでー?結構衝撃的な事実だった。B団地に川嶋っていう家があるけど、そんなに珍しい名字でもないし、俺はてっきり赤の他人だと思い込んでいたのだが。
「もしかして、そのおじさんから何か聞いてない?」ハンカチのこととかさ、と言いたかったが、それを言うのはやめておいた。
「どうかな。なに、ハンカチの事とか……?」いきなり核心をついてくるので俺はおもわずむせ込んでしまった。
「だ、大丈夫?」
お水をゴクリと飲んで「平気」という。
ハンカチって?とオウム返しに質問をする。
「なんだぁ、やっぱり知らないかぁ。なんかね、赤いハンカチがポストに届くらしいよ?」
「それで?」
「さぁ、あんまり真面目に聞いていなかったしなぁ。そういえば、多田って人逮捕されたよね。知ってる?すっごい近所迷惑な音量で音楽流して捕まった人、ニュースでもやったよ?」
「知ってるよ、俺の家も映ってたし」
「えーマジで?奥さん亡くなって、変になったんだよね、その捕まった人」
「うんまぁ。川嶋さん、もしさっきのハンカチの事本当だって言ったらどうする?」
「ないないない、ありえないでしょ」笑顔であっさりと否定する。
「だよね」
「え?なに、まさか本当なの?」
川嶋さんに、話した方がいい、何故だかわからないが、そんな気がした。
深く深呼吸をした後に、川嶋さんに一部始終を説明した。
「それマジで?あの団地そんなに危険な事になってるの?おじさん何も言っていなかったんだけど、言われてみれば、ポストをやたら気にしてた気がする」川嶋さんはあんぐりと口を開けている。
「それで、もし何か小さな事でも分かれば協力してほしい」
「ちょっと待って、頭の中こんがらがってる。ずごーい前に関谷君の鞄取ろうとして赤いハンカチを落としたの覚えてる?」
あの時はなんだか焦ったしよく覚えている。鞄を取り上げられた時に、ポケットから落ちてしまった時には、慌てて拾ったし。
「あの時に、もしかして叔父さんの赤いハンカチ?なんて思ったんだけど、そんな漫画みたいな話あるわけないじゃない?叔父さんから聞いた時だって、私をからかって遊び半分で言っているものだと思っていたもの。それに関谷君がまさか巻き込まれてるなんて思わないでしょ?でも、関谷君がこまっているなら勿論私、協力するよ?」
「おぅ、ありがとう」
川嶋さんの事は、信用できる気がした。本気で協力してくれるだろう。




