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金曜日。
「大丈夫?関谷君、最近疲れてない?」川嶋さんが俺を気遣う。
「まぁ、ちょっと色々あって」
「色々ってなに?」
「まぁ、大丈夫だからー」
川嶋さんに、ハンカチの事を言う気には無論なれない。川嶋さんでなくても他の誰かに相談するのも疲れるし、相談しても何も解決しないからということ。
それから、余計な心配をかけたくないということ。川嶋さんには絶対に危険な目には合わせられないからな。
まぁ、最後の方はかっこよくいってみるわけだが。
そしたらさ、もしかしたら1000分の1、いや1万分の一の可愛い子ちゃんが、亮介君カッコイイってなるかもしれないだろ?
土曜日。
久しぶりにバイトが休み。ゲーム三昧の日と、決め込む。
今日もポストにハンカチが入っている。
それを関井さんのお宅にバサッと入れ、そしていったん家に帰り、自転車に跨りゲームショップへと向かう。
雪が降っていないだけマシだが、それでも寒さが厳しく、信号に差しかかった所で鞄の中から手袋を出し、左手からはめる。
「あ~やっぱり関谷君だ」その声に振り向くと、私服姿の川嶋さんが手を振っている。
「あれ、どうして?」想像もしていなかった出来事に驚く。驚くというより、心が弾む感じだ。
よくばったり会うよな?これってもしかして赤い糸で結ばれていたりしてな。
「さっき、似ている人が見えたからそうかな?と思って追いかけたけどやっぱりそうだ。どこ行くの?」川嶋さんの鼻が寒さで赤くなっている。かわええ。
「暇だからゲームでも買いに行こうかと思って」今回はこの前のようにならないように、きちんと正直に行先を告げる。
「えーアルバイトかと思った。今日は休みなんだ?」
「そう、先週は連続出勤したしさー」
「マジでー。じゃあ良かったら一緒にあそばない?」すっごいテンション高めで川嶋さんは行ってくる。
一緒に遊ばない?だってさー。
「もちろん」俺だって負けずにノリノリでOKサインを出す。
俺と川嶋さん、エンジン全開!いざ、出陣。
ゲームショップに行く前に、近くの喫茶店に入る。
店内の暖かさにホッとする。
俺はコーヒーとアップルパイを。川嶋さんはシナモンロールとローズヒップティーを注文する。




