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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第二章 進展
63/149

30

 真っ暗な夜道をキラキラと眩しく照らす一戸建ての外壁に飾られたイルミネーション。

 遠くから見ても、それはツリーとサンタクロースの絵だとハッキリと分かる。


 そこの家を通りすぎる時に、一体、どんな家の人が飾ってるんだだろうか、と中を覗くようにしながら通る。

 しかし、一回じゃ見えないので、一度通り過ぎてからの、あたかも今日初めてここを通るんです、というような感じでもう一度家の前を自転車でゆっくりと前を通る。

 中の人と目が合った。おじさんか。


 だが、そのおじさんに気をとられてしまいすぎて、どんな外観の家だったか、見れずにいたので、また戻って、あたかも初めて通りましたという感じで堂々と通り過ぎる。

 今度は爽やかにスローモーションで。


 あ、不動産会社か。なるほど。個人の家でこれだけやったら金かかるし、電気代も相当かかるだろ。

 すっかり納得した俺は、もう戻ることなく家に帰る。

 あそこが不動産会社なんて知らなかった。あんなところにあったっけ?まぁ不動産会社になんか用事がないので気が付かなかっただけかもしれんが。

 でも、あれだけ大掛かりに飾ってりゃ、下手に広告出すよりも余程、知名度があがったんじゃね?

 

 翌日。「亮介、起きて大変なのよ」と姉貴に叩き起こされる。

「なんだよハンカチかよ……勘弁してくれよ」そう言って、布団の中で丸くなる。

「手紙、手紙が届いたのよ……。読むわよ?」


『多田家に赤いハンカチを入れられて26日が経過した為、タヒにました_。再開として、前回鬼だった関谷さんの鬼です。マイナスポイント計2点です。さぁがんばりましょう※鬼にハンカチを戻すとき以外は、必ずポストに入れなければなりません。』姉貴が震えた声で読み上げる。


 それを聞いて俺は、驚いて飛び起きる。

 なに?多田さんが死んだ?俺はスウェットのまま家を飛び出て多田さんの家を見に行く。

 しかし多田さんの家はガランとしていて誰も居ない様だった。本当に亡くなってしまったのだろうか?


 肩の力を落としながら家に帰ると、白い乗用車に物凄い大きな音でクラクションを鳴らされる。

 なんだんだよ?そう思って振り返ると、運転席の窓から紙の薄い多田さんの姿があった。

 生きてたんだ!


 しかし、俺の喜びとは裏腹に、「この人殺しやろうめ」と、罵声を浴びせてくる。 人殺し?俺は耳を疑った。

 そして、多田さんは車から降りくるなり、俺の胸倉を持つと思いっきり殴ってきた。一体何がおきているのだろうか。

 殴られた頬を左手で抑えると、口が切れているのか、血が手につく。


「お前のせいで、俺の妻はな……」そう言って、多田さんはその場に倒れ込んだ。 状況が飲み込みきれてない俺はその場に立ち竦んでしまう。

 人殺しって……俺が?

 この俺が人殺し?違う。俺は人殺しなんかじゃない。誰の事も殺したりなんかしていない。


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