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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第二章 進展
58/149

25

でも、そこは敢えてクールボーイでいるわけさー。

「んで?予定空いてる?」

「うん、バイトがどうか分かんないけど、空けておくよ」

「まじでー?良かった。バイトだとしても午前中とかにしてよね?で、イチキタしてから集合でねっ」

「え?なに、それどこ?」


「どこって?」

「イチなんとか?」

「あぁ~イチキタの事?やだっ、そんな事もしらないのー」

「……」ん?なんだそれは?その言い方少しムッとするんだが。

「あ、ごっめーん怒った?」川嶋さんが俺の顔色を覗くようにして窺ってくる。

「別に」

「あ~ほら怒ってる~その言い方は。イチキタって一時帰宅してからっていう意味ね」


 そう言われれば、思い出した。

 それ、姉貴が使ってたわ、その言葉。他にも、フロリダいってくる、とかなんとか言って風呂入ってっぞー。

 まぁ姉貴に、そのことで、なんか言ったところで、何が返ってくるか分かったもんじゃねーから、まぁ放っておいているけどな。


「フロリダに行く~とかだろ?」

「え~それもう古いけど、関谷君もそんな言葉使うんだ?超意外―」

「いや、姉貴がさー」

「そういえば、関谷君ってお姉さんいたんだっけ?どんな人?美人?」

「全然、美人じゃねーよ」そう言って顔の前で左手を左右に扇ぐ。


「即答だね、お姉さん可哀想」

「いーんだって本当のことだから」

「何歳違うんだっけ?」

「2個上で高3」

「まじでー?受験生じゃーん」


「うん、大丈夫なのか知らないけどね。で、24日何かしたいこととかあるの?」

 姉貴の話を色々聞かれて答えるのは、非常に面倒で疲れるので、とにかく必死に話題を逸らす


「私ね映画観たいの、それからランチして街をブラブラしてから夜ご飯はオシャレなところで食べるの」


 なんか金かかりそうだな。おい。いや、金の事よりもこうして川嶋さんがイヴに俺と一緒にいたいって言ってくれることが幸せなんじゃないか、だよな?俺のハートは嬉しくてドキドキワクワク言っているようだ。


「予約とれるかな?昼はともかく夜はさすがに多いと思うし」

「あのね、パスタの美味しい店があってそこでもいいかな?」川嶋さんはそう言いながら右手で髪の毛を耳にかける。

「うん、いいよ」

「良かった、じゃあ私予約取っておくから24日絶対空けておいてよね」川嶋さんはそう言って手を振って自分の席へと戻っていった。

 授業中、俺は棒人間を書いて遊んだ。勿論二体のうち一体は俺でもう一人は川嶋さん。

 そろそろ棒人間も裸じゃマズいから服着せた方がいい?笑


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