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気分を変えるためにも、ゲームでもするか。
最近は宇宙人物で仲間を集めていくゲームが俺の中でアツイ。
初めは意味が分からないでいたんだが、進めるうちに楽しくなってきたのだ。
おお!食糧見っけ。
淡々と作業をその後もこなしていく。
朝、ベッドから起き上がろうにも空気が寒く布団から中々出る気になれず、目は覚めてるのだが、そのまま布団の中で丸くなっている。
「亮介―いい加減おきなさいよ~」オカンの声が階段の方から響いてくる。
仕方なく起き上がりスリッパを履き制服を着て、カーテンを開ける。
窓には霜が降りている。ダダダダと勢いよく階段を上ってくる音がする。
いや、ドスドスというべきか?笑
「亮介___ 」やっぱり姉貴だった。
「ノック位しろって。今から下りる所だって」
「そうじゃないのよ、ほらっ」そう言って赤いハンカチを見せてくる。
「そうだと思ったよ」ハンカチを姉貴の手から奪いポケットに入れると、急いで階段を駆け下りて顔だけ洗い、すぐに外に出た。
そしてB団地に行き、清水さんのポストにサッと入れて走って逃げた。
「コラ待て___ 」
その声に振り向くと、50代ぐらいのおじさんが俺の後ろを物凄い剣幕で追いかけてきている。
キャ___ッ。
今度は女性の悲鳴だった。走りながら振り返ると中年女性の姿だった。あれは山口さんじゃないか。
山口さんは、清水さんの家の方に向かって走ろうとしているが、方向を変えて俺と目が合うなり手に赤いハンカチを持ったままこちらに向かって走ってくる。
中年女性とは思えない程の足の速さで俺を追いかけてくる。全身のありとあらゆるところに変な汗をかきながら追いつかれないように必死に走る。
が、パニックに陥ってしまっている俺は、自分の家がある道を通り過ぎてしまった。
すぐに引き返そうと後ろを振り向くも、もうすぐで、山口さんに捕まってしまう程の距離だった。俺は慌てて西津さんに教えてもらった裏道から自分の家に帰ることにした。
間に合うのだろうか?
西津さんの家を通り過ぎ、奥の近藤さんの家の前にある細い道。その道を走る。
そして、神戸さんの家の横を通り家まで走る。
山口さんよりも早く家に帰らなければ。頼む間に合ってくれ。
しかし、山口さんが既に俺の家の隣まで来ていた。チクショウ入れさせるもんか!
しかし、山口さんは走ってくる俺に気が付くと、慌てながら物凄い勢いでポストにハンカチを入れた。
そして、山口さんは来た道を戻って行った。
逃がすもんか。俺はポストに入れられたハンカチを取り出し、立ち止まることなく走り去る山口さんの後を追いかけた。
しかし、高校生の俺でも中々追いつけない程、山口さんの逃げ足は意外な程に速い。




